15日間待っての発表だ。ミランは5月26日、すでに彼を選んでいた。そこから後戻りすることはなかった。9日、下部組織を率いていたフィリッポ・インザーギ監督が、正式にトップチームの指揮官に就任することになったのである。

15日待っての発表だが、少しサプライズでもある。クラブの公式声明でインザーギ監督の就任を発表したミランだが、クラレンス・セードルフ前監督とはまだ契約に関して合意に達していない。それでも、ミランはこれ以上待つことを望まなかったのだ。そして先に解任に動いたのである。

そのセードルフ氏だが、もはや以前からクラブ、そしてシルヴィオ・ベルルスコーニ名誉会長から信頼されていなかった。ベルルスコーニ名誉会長は、マッシミリアーノ・アッレグリ元監督の解任後、セードルフ氏を求めた人物だ。

セードルフ氏はヨーロッパリーグ出場権を逃すという落胆させる結果と、議論を呼ぶチームマネジメントの代償を払うことになった。解任発表までこれだけ待つことになったのは、ミランとセードルフ氏には年俸250万ユーロ(約3億5000万円)での2016年までの契約があるからだ。

この15日間、ミランとセードルフ氏の弁護士たちはほぼ毎日コンタクトを取ってきた。その密度は日に日に濃密なものとなったが、結果は出なかった。両者は合意しておらず、セードルフ氏の選手時代の偉大な過去もあって多くの人が望んでいた契約解消は、実現していないのだ。

解任は、セードルフ氏とミランの2016年までの契約が存続することを意味する。クラブは税込で総額1000万ユーロ(約14億円)を支払わなければいけない。

いずれにしても、ミランは正式にインザーギ体制という新たな道のりを始めた。ベルルスコーニ名誉会長は6日、「インザーギは勝利に飢えている」と話していた。契約期間は2016年6月30日まで。年俸は約70万ユーロ(約9800万円)だ。

インザーギ監督の冒険は、ニューフェイス2名からスタートする。フリートランスファーで加入するジェレミー・メネスとアレックスだ。これは始まりでしかない。新たなミランはこれから始まるのだ。