日本代表MF本田圭佑の兄で、代理人を務める弘幸氏と、仲介役のファブリツィオ・デ・ヴェッキ代理人が22日、モスクワでCSKAモスクワとの交渉に臨んだ。本田の夏のミラン移籍に向けての交渉で、会談後は楽観的な雰囲気が漂っていた。両者は23日に再び会談する。

CSKAが要求する500万ユーロ(約6億6000万円)と、ミランが提示する300万ユーロ(約4億円)の差は、大きく縮まった。交渉においては、本田自身の希望も大きな役割を果たしたようだ。その本田はこの日、クリリヤ・ソヴェトフ戦に出場。特別に印象的ではなかったが、2−1の勝利に貢献している。

22日午後、ミラノでは、FIFA公認代理人のエルネスト・ブロンゼッティ氏が、ミランのオフィスでアドリアーノ・ガッリアーニ代表取締役と会談。終了後、同代表取締役は『スカイ』で、「選手は移籍を強く望んでいる。彼は子供のころからのミランファンなんだ」と話している。

モスクワでの交渉が23日も続くのは、障害が「金銭的なことだけではないからだ。問題は、彼らが選手を引き留めたがっていることだよ。CSKAはチャンピオンズリーグのために、12月まで彼を引き留めたいと思っているんだ。だが、選手は残留を望んでいない」とのこと。

なお、マッシミリアーノ・アッレグリ監督はこの日、本田について「彼はCSKAの選手だ。良い技術を持っている。典型的なトレクアルティスタ(トップ下)の選手だが、サイドでもうまくプレーできる」と話している。

ブロンゼッティ代理人との会談後、ガッリアーニ代表取締役は、「本田? 様子を見よう。決定的なタイミングだ。彼は子供のころからのミラニスタなんだよ。我々は何度も日本でインターコンティネンタルカップを戦っている。もちろん、こういう選手がミランを応援してくれているのはうれしい。明日の会談が決定的になると思う。今日の時点でそれ以上は言えない」とコメントした。

しかし、22日夜、CSKAのロマン・ババエフGM(ゼネラルマネジャー)は、次のようなコメントを残している。

「ミランは我々の立場を知っている。我々が何を、どれだけ求めているか、彼らは知っている。彼らが本田を望むなら、マーケットのルールを尊重しなければいけない。彼らがミランだから、我々には選手を無料で放出する用意がある、すでに手に入れた状態だ、などという確信を持ったり、ごう慢になってはいけない。今の我々に彼を売ろうという目標はないんだ。12月までプレーする。多くのクラブが本田を気に入っており、彼らのオファーはミランの提示額の倍だった。選手はミランを望んでいる。我々にそれをかなえる用意はあるが、ディスカウントはなしだ。そして彼は、マーケットにはルールがあることを分かっている。タダはない、とね」

それでも、本田自身は、そのルールを理解しながらも、ミラン移籍を容易にすべく、できるだけのことをしている。

「僕はここで3年、良いシーズンを過ごしてきました。でも、今は環境を変えたいです。クラブもそれは知っています。交渉がどうなっているか、お金の問題だけなのかどうかは、知りません。ミラン行きを夢見ている? サインが実現するまでは、ほかに何も言えません。でも、冬にはチームを変えます」