中国人作家の莫言氏がノーベル文学賞を受賞した。中国籍の作家として初めての文学賞受賞に、中国のインターネット上も沸きかえったが、南京晨報は11日、「ネットユーザーからは少なからず疑問の声が上がっている」と報じた。(写真は「CNSPHOTO」提供)

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 中国人作家の莫言氏がノーベル文学賞を受賞した。中国籍の作家として初めての文学賞受賞に、中国のインターネット上も沸きかえったが、南京晨報は11日、「ネットユーザーからは少なからず疑問の声が上がっている」と報じた。(写真は「CNSPHOTO」提供)

 中国ではこれまでにダライ・ラマ14世と劉暁波氏がそれぞれノーベル平和賞を受賞している。しかし、中国政府は両名ともに「現体制の転覆を狙う反動分子」と断定しているため、両名の受賞は事実上なかったこととされている。

 スウェーデン・アカデミーは受賞理由として、「幻想的なリアリズムで、民話、歴史、現代を融合させた」としており、莫言氏は受賞に対して「受賞は何かを意味するものではない。中国には数多くの優秀な作家がおり、彼らの作品も世界で認められるべきだ」と述べる一方で、今後の創作活動にいっそう努力したいと語った。

 「反体制派ではない中国人」による念願のノーベル賞受賞に対し、中国は大いに沸き返ったが、中国のネット上では冷ややかな声も上がっている。ネットユーザーからは「わが国には莫言氏よりも優れた作家は数多いのに、なぜだ?」、「莫言氏の作品はノーベル文学賞を受賞できる水準にない」など、莫言氏の受賞に対する疑問の声があがった。

 中国ネット上の一部の声に対し、南京師範大学文学院の何平副教授は、「中国人はノーベル賞を渇望していたにもかかわらず、受賞が決まると非文学的な観点から批判ばかりする」と指摘、ネット上で批判するユーザーたちの多くは莫言氏の作品を読んだことのない人だと一蹴した。(編集担当:及川源十郎)