陜西省漢中市寧強県内の農家で3日、飼っていた豚が屎尿(しにょう)だめに転落した。飼い主の女性は豚を引き上げようと屎尿だめに入ったが、気絶。近隣住民が大勢集まったが、救助を躊躇(ちゅうちょ)した。1人だけが救助のため屎尿だめに入ったが、女性を救助した直後に気絶した。中国新聞社が報じた。

 事故が発生した農家では、夫が体に障害があるため働けず、妻が豚を飼って生計を支えていた。3日午後2時半ごろ、豚1匹を売ろうとして柵から出したところで、豚が屎尿だめに落ちた。豚は鳴き声とともに、2メートル下に転落したという。

 女性はただちに、豚を救おうとロープを持って屎尿だめに入ったが、すぐに気絶した。充満していたメタンガスなどで意識を失ったとみられている。

 夫はすぐに気づいたが、体が不自由なため自分では救えず、大声で助けを求めた。近隣住民十数人がやってきたが、強烈な臭気もあり、屎尿だめに入ることをためらった。

 駆けつけた隣人の陳輝さんだけが「私が行く」と言って、屎尿だめに入った。倒れていた女性の体を抱き起こし、その他の人が上から下ろしたはしごをつたって、女性の体を引き上げた。屎尿だめのわきに集まっていた人々に女性を渡すと同時に、陳さんも意識を失い、屎尿だめに転落した。

 陳さんを見た別の隣人が、縄を持って屎尿だめに入り、陳さんの体を縛った。自分はすぐに外に出て、大勢で陳さんを引き上げた。ふたりは漢中市中心医院(病院)に搬送された。

 病院側によると、女性は危険な状態を脱し、意識も取り戻した。陳さんは異物を吸い込んで肺炎を起こしたため、危険な状態を脱したが、9日現在も高熱が続いており意識も混濁しているという。(編集担当:如月隼人)