クリエイターと読者が創るソーシャル時代の電子書籍サービス「Yomuca」
2012年に入り、5インチ液晶のスマートフォンや高解像度なiPadやHD画質のタブレットなど、電子書籍を利用しやすい環境は着実に整いつつある。また角川グループが電子書籍ビューワの開発発表や世界的に人気の電子書籍ビューワkindleの日本版登場も期待されている。
電子書籍の閲覧環境が整ってきたことで、今後重要となるのが読むべき電子書籍コンテンツの質と量だ。一般に電子書籍といっても、2種類ある。1つは既に紙媒体のデジタル化した電子書籍。もう一つは最初からデジタルで作成された電子書籍だ。
特にオリジナル電子書籍はこれからの電子書籍市場の成長にとって大きな役割をもつといってもよいだろう。
今回紹介する「Yomuca」は、オリジナルの電子書籍の製作、販売を支援する新しいスタイルのサービスだ。Yomucaが、既存の電子書籍サービス・マーケットと大きくことなるクリエイターと支援者(読み手)を電子書籍の製作段階から結びつけているところにある。
■電子書籍クリエイターと読者ユーザーが作り上げる一体感
「Yomuca」では、クリエイターは自分の作りたい本のプロット(書籍のアイデア・企画)を投稿し、読者は面白いと思ったプロットにFT(1FT=50円)ポイントをつけて支援する。FTポイントが目標額に達することで書籍が制作され、支援者は無料でその電子書籍を読むことができるという仕組みだ。
「著者のスタートダッシュを読者が盛り上げる電子書籍販売支援サービス」とうたっているのも、納得できる。いわば、書籍専門のマイクロファンドプラットフォーム的で、アプリ開発のユーザー支援に近いといえば、イメージしやすいだろうか。
つまり、クリエイターと読者が一緒にあたらしい電子書籍作品を作れる一体感が魅力なのだ。
「Yomuca」では、電子書籍の製作が開始された時点で多くの読者がクリエイターが作成する作品を待っていることは、クリエイターのモチベーションが上がるだけでなく、公開時の販売スタートで大きな追い風となる。
かなり魅力的なサービスである「Yomuca」を立ち上げた株式会社Yomucaの代表取締役・田琳平氏に、お話を伺った。
■クリエイターと読者が繋がる「Yomuca」は一世代を築けるサービス
筆者:電子書籍の販売プラットフォームはすでに多数存在しますが、その中にあって後発の「Yomuca」が他のサービスと異なるメリットはどこにあるのでしょうか
高田:不特定多数の人にプロット(書籍のアイデア・企画)を読んで頂けることですね。そしてプロット(書籍のアイデア・企画)にFT(読者からのポイント)が貯まり完成した作品を、支援者(読者)のみ無料で読めるので、公開時から一定の読者を確保して展開できる点です。さらに「Yomuca」では、売上の9割が作者様に還元されますので、電子書籍クリエイターにとってはYomucaを使う大きな利点になると思います。
筆者: FT1ポイント=50円が10人集まっても500円ですよね。多くの人に読んでもらいたいなら、無料で個人ブログなどで公開したほうが読者は増えるのでは?
高田:FT(読者からのポイント)は製作費にかかる料金でなく支援という新しい形にしています。電気代や他の製作にかかる費用を負担してもらうというものです。また、私はクリエイターと読者を電子書籍の企画段階から結ぶことができる「Yomuca」は一世代を築けるサービスになると信じています。
現状の電子書籍市場で、まだ知名度がないクリエイターが個人ブログで公開してもなかなか見てもらえないと思いますが、Yomucaに載せて頂ければ沢山の方に見てもらえるという効果もあると思っています。
筆者:「Yomuca」が今後注目を集めると思っている理由はどこにあると思っていますか?
高田:スマートフォン市場の拡大です。年内にはiOSアプリのリリースをする予定です。アプリからFT(読者からのポイント)の参加や「Yomuca」の本が読めるというiPhone・iPadならではの楽しめるアプリを作りたいなと思っています。まだ、詳細は申し上げられませんが、ソーシャルメディア等に関わるアプリ限定コンテンツも作って行く予定ですので、楽しみにしてください。
■アイデア・企画の公開から1〜2日で書籍化決定作品も登場
筆者:プロット(書籍のアイディア・企画)の審査は、どのように行っているのでしょうか?
高田:社内スタッフでやっています。外部の本好きの知り合いに意見を頂く場合もたまにあります。
筆者:現在の応募数と審査が通ったプロット(書籍のアイディア・企画)はいくつくらいあるのでしょうか。
高田:2012 年3月29日に「Yomuca」を立ちあげてから今日(2012年5月現在)までで約100件の応募を頂きました。その中から10作品が審査をクリアしていますが、まだ審査が追いついてない作品も多々あり、今もプロット(書籍のアイディア・企画)は増加中です、「ドット☓仏像」という作品は、クリエイターさんが著名だったこともあり、プロット(書籍のアイデア・企画)公開から1日〜2日でFT達成しています。
筆者:「Yomuca」は、プロット(書籍のアイディア・企画)で2次創作の提案はできるのでしょうか?
高田:応募者数の伸びとともに、2次創作の応募が増えている現状はありますね。正式に原作者さんとコンタクトをとって許諾を受けていればOKですが、勝手に制作した2次創作はNGとしています。
なお、現在「Yomuca」では、公開記念!プロットを投稿して目指せ大賞の応募を7月31日まで実施中だ。書籍アイデアがある人は応募するチャンスだ。
「Yomuca」公開記念!プロットを投稿して目指せ大賞(7月31日まで)を実施中
・大賞 1名 :ダウンロード数が一番多かった作者に10万円
・Yomuca賞 2名:Yomuca選定の優秀作品にペンタブレット
■専門学校との協力も視野に、クリエイターを育て、未来を応援していきたい
筆者:3月に公開した「Yomuca」ですが、運営での苦労はありますでしょうか?
高田:やはりコンテンツ集めですね。同人誌即売会に出向いて声をかけたりもしていますが、なかなか難しいです。今は、知り合いなどにも協力を願って声をかけるなど、鋭意展開しています。
筆者:「Yomuca」のコンテンツを増やすために、今後考えている施策には、どのようなものがあるのでしょうか?
高田:専門学校と協力していくことを考えています。「クリエイターを育てる」、「未来を応援する」という理念で「Yomuca」を立ち上げましたので、若い学生さんと共同でなにか新しいことができないかなと思っています。
■出版社とのコラボでマネタイズ 「Yomuca」はクリエイター支援を優先
筆者:売上の9割をクリエイターに還元する「Yomuca」のビジネスモデル(収益)はどのように考えているのですか?
高田:出版業界などと業務提携を通してマネタイズをしていくことを目標としています。
筆者:想定されているマネタイズのモデルプランなどはありますでしょうか?
高田:例えば、出版社主催の漫画家コンテストを「Yomuca」で開催とか。出版社に持ち込みをしている方々とのコラボとか。そういうプランを考えています。クリエイターを支援することが大きな目標なので「Yomuca」単独の収益よりも、外(業界)との業務提携をしていきたいですね。
■「Yomuca」の先のにある目標とは?
筆者:今後の「Yomuca」目標や、企業として目指していくことなどお聞かせください
高田:「Yomuca」としては、今年中に「Yomuca」を流行らせたいですね。もっと言ってしまえば、いつになるかわかりませんが紙媒体を作りたいです。やはり本にしたいというクリエイターさんからのご意見は多いので、紙媒体での本作りはしていきたいですね。オンライン発でオンラインだけで完結する「Yomuca」を、オフラインでも展開していきたい。
そして株式会社Yomucaとしては、将来的に「Yomuca」だけでなく、さらに新しいサービスもリリースさせていきたいです。
筆者:「Yomuca」の当面の実績目標などを教えていただけますでしょうか?
高田:2012年末までに、作品は50作品以上を用意して、ECサイトのようにジャンル分けがされた本を買えるサービスにしていきたいですね。
また、リアルで本をシェアできる場所を作ることも考えています。「Yomuca」から生まれた作品を読める場所を現実世界に作りたいですね。
筆者:現在「Yomuca」は電子書籍をメインで扱っていますが、他のコンテンツ展開は考えていますか?
高田:「Yomuca」をリリースした直後に、音楽・動画版を作って欲しいという声をいただきました。似たようなサービスの音楽版が海外にはあるようで、チャンスがあればいずれチャレンジしたいです。
筆者:本日は、新しいサービス「Yomuca」についてお話いただき、ありがとうございました。
■ソーシャル時代のあたらしい電子書籍サービスに期待
ソーシャル時代を迎え、企業からの押しつけ製品から、利用者の声を反映した製品作りの転換期を迎えているが、「Yomuca」というサービスは、書籍というジャンルでのクリエイターと読者を結びつける新時代の書籍プラットフォームと言えるだろう。
特に、代表である高田氏からは新しい時代の電子書籍プラットフォームと、新しいクリエイターの育成を同時に進めていこうというパッションが伝わってくる。
利益のためのプロダクトではなく、理念のプロダクトでビジネスを成功させることは難しい反面、今、もっとも求められているものであり、市場の健全化や利用者メリットを実現する方法でもある。
「Yomuca」は、多くのクリエイター、書籍好きの読者が集うことで、大きなサービスになる。それはクリエイターと読者自身がつくれる、我々の未来でもあるだろう。
■Yomuca - 電子書籍販売支援プラットフォーム
電子書籍の閲覧環境が整ってきたことで、今後重要となるのが読むべき電子書籍コンテンツの質と量だ。一般に電子書籍といっても、2種類ある。1つは既に紙媒体のデジタル化した電子書籍。もう一つは最初からデジタルで作成された電子書籍だ。
今回紹介する「Yomuca」は、オリジナルの電子書籍の製作、販売を支援する新しいスタイルのサービスだ。Yomucaが、既存の電子書籍サービス・マーケットと大きくことなるクリエイターと支援者(読み手)を電子書籍の製作段階から結びつけているところにある。
■電子書籍クリエイターと読者ユーザーが作り上げる一体感
「Yomuca」では、クリエイターは自分の作りたい本のプロット(書籍のアイデア・企画)を投稿し、読者は面白いと思ったプロットにFT(1FT=50円)ポイントをつけて支援する。FTポイントが目標額に達することで書籍が制作され、支援者は無料でその電子書籍を読むことができるという仕組みだ。
画像:FT(読者からのポイント)で書籍化が確定する |
「著者のスタートダッシュを読者が盛り上げる電子書籍販売支援サービス」とうたっているのも、納得できる。いわば、書籍専門のマイクロファンドプラットフォーム的で、アプリ開発のユーザー支援に近いといえば、イメージしやすいだろうか。
つまり、クリエイターと読者が一緒にあたらしい電子書籍作品を作れる一体感が魅力なのだ。
「Yomuca」では、電子書籍の製作が開始された時点で多くの読者がクリエイターが作成する作品を待っていることは、クリエイターのモチベーションが上がるだけでなく、公開時の販売スタートで大きな追い風となる。
かなり魅力的なサービスである「Yomuca」を立ち上げた株式会社Yomucaの代表取締役・田琳平氏に、お話を伺った。
■クリエイターと読者が繋がる「Yomuca」は一世代を築けるサービス
筆者:電子書籍の販売プラットフォームはすでに多数存在しますが、その中にあって後発の「Yomuca」が他のサービスと異なるメリットはどこにあるのでしょうか
高田:不特定多数の人にプロット(書籍のアイデア・企画)を読んで頂けることですね。そしてプロット(書籍のアイデア・企画)にFT(読者からのポイント)が貯まり完成した作品を、支援者(読者)のみ無料で読めるので、公開時から一定の読者を確保して展開できる点です。さらに「Yomuca」では、売上の9割が作者様に還元されますので、電子書籍クリエイターにとってはYomucaを使う大きな利点になると思います。
画像:公開時から一定の読者を確保して展開できる「Yomuca」 |
筆者: FT1ポイント=50円が10人集まっても500円ですよね。多くの人に読んでもらいたいなら、無料で個人ブログなどで公開したほうが読者は増えるのでは?
高田:FT(読者からのポイント)は製作費にかかる料金でなく支援という新しい形にしています。電気代や他の製作にかかる費用を負担してもらうというものです。また、私はクリエイターと読者を電子書籍の企画段階から結ぶことができる「Yomuca」は一世代を築けるサービスになると信じています。
現状の電子書籍市場で、まだ知名度がないクリエイターが個人ブログで公開してもなかなか見てもらえないと思いますが、Yomucaに載せて頂ければ沢山の方に見てもらえるという効果もあると思っています。
筆者:「Yomuca」が今後注目を集めると思っている理由はどこにあると思っていますか?
高田:スマートフォン市場の拡大です。年内にはiOSアプリのリリースをする予定です。アプリからFT(読者からのポイント)の参加や「Yomuca」の本が読めるというiPhone・iPadならではの楽しめるアプリを作りたいなと思っています。まだ、詳細は申し上げられませんが、ソーシャルメディア等に関わるアプリ限定コンテンツも作って行く予定ですので、楽しみにしてください。
■アイデア・企画の公開から1〜2日で書籍化決定作品も登場
画像:読者と著書が「Yomuca」を利用する流れ |
筆者:プロット(書籍のアイディア・企画)の審査は、どのように行っているのでしょうか?
高田:社内スタッフでやっています。外部の本好きの知り合いに意見を頂く場合もたまにあります。
筆者:現在の応募数と審査が通ったプロット(書籍のアイディア・企画)はいくつくらいあるのでしょうか。
高田:2012 年3月29日に「Yomuca」を立ちあげてから今日(2012年5月現在)までで約100件の応募を頂きました。その中から10作品が審査をクリアしていますが、まだ審査が追いついてない作品も多々あり、今もプロット(書籍のアイディア・企画)は増加中です、「ドット☓仏像」という作品は、クリエイターさんが著名だったこともあり、プロット(書籍のアイデア・企画)公開から1日〜2日でFT達成しています。
画像:公開から1日〜2日で書籍化が決定した「ドット☓仏像」 |
筆者:「Yomuca」は、プロット(書籍のアイディア・企画)で2次創作の提案はできるのでしょうか?
高田:応募者数の伸びとともに、2次創作の応募が増えている現状はありますね。正式に原作者さんとコンタクトをとって許諾を受けていればOKですが、勝手に制作した2次創作はNGとしています。
なお、現在「Yomuca」では、公開記念!プロットを投稿して目指せ大賞の応募を7月31日まで実施中だ。書籍アイデアがある人は応募するチャンスだ。
「Yomuca」公開記念!プロットを投稿して目指せ大賞(7月31日まで)を実施中
・大賞 1名 :ダウンロード数が一番多かった作者に10万円
・Yomuca賞 2名:Yomuca選定の優秀作品にペンタブレット
■専門学校との協力も視野に、クリエイターを育て、未来を応援していきたい
筆者:3月に公開した「Yomuca」ですが、運営での苦労はありますでしょうか?
高田:やはりコンテンツ集めですね。同人誌即売会に出向いて声をかけたりもしていますが、なかなか難しいです。今は、知り合いなどにも協力を願って声をかけるなど、鋭意展開しています。
筆者:「Yomuca」のコンテンツを増やすために、今後考えている施策には、どのようなものがあるのでしょうか?
高田:専門学校と協力していくことを考えています。「クリエイターを育てる」、「未来を応援する」という理念で「Yomuca」を立ち上げましたので、若い学生さんと共同でなにか新しいことができないかなと思っています。
■出版社とのコラボでマネタイズ 「Yomuca」はクリエイター支援を優先
筆者:売上の9割をクリエイターに還元する「Yomuca」のビジネスモデル(収益)はどのように考えているのですか?
高田:出版業界などと業務提携を通してマネタイズをしていくことを目標としています。
筆者:想定されているマネタイズのモデルプランなどはありますでしょうか?
高田:例えば、出版社主催の漫画家コンテストを「Yomuca」で開催とか。出版社に持ち込みをしている方々とのコラボとか。そういうプランを考えています。クリエイターを支援することが大きな目標なので「Yomuca」単独の収益よりも、外(業界)との業務提携をしていきたいですね。
■「Yomuca」の先のにある目標とは?
筆者:今後の「Yomuca」目標や、企業として目指していくことなどお聞かせください
高田:「Yomuca」としては、今年中に「Yomuca」を流行らせたいですね。もっと言ってしまえば、いつになるかわかりませんが紙媒体を作りたいです。やはり本にしたいというクリエイターさんからのご意見は多いので、紙媒体での本作りはしていきたいですね。オンライン発でオンラインだけで完結する「Yomuca」を、オフラインでも展開していきたい。
そして株式会社Yomucaとしては、将来的に「Yomuca」だけでなく、さらに新しいサービスもリリースさせていきたいです。
筆者:「Yomuca」の当面の実績目標などを教えていただけますでしょうか?
高田:2012年末までに、作品は50作品以上を用意して、ECサイトのようにジャンル分けがされた本を買えるサービスにしていきたいですね。
また、リアルで本をシェアできる場所を作ることも考えています。「Yomuca」から生まれた作品を読める場所を現実世界に作りたいですね。
筆者:現在「Yomuca」は電子書籍をメインで扱っていますが、他のコンテンツ展開は考えていますか?
高田:「Yomuca」をリリースした直後に、音楽・動画版を作って欲しいという声をいただきました。似たようなサービスの音楽版が海外にはあるようで、チャンスがあればいずれチャレンジしたいです。
筆者:本日は、新しいサービス「Yomuca」についてお話いただき、ありがとうございました。
■ソーシャル時代のあたらしい電子書籍サービスに期待
ソーシャル時代を迎え、企業からの押しつけ製品から、利用者の声を反映した製品作りの転換期を迎えているが、「Yomuca」というサービスは、書籍というジャンルでのクリエイターと読者を結びつける新時代の書籍プラットフォームと言えるだろう。
特に、代表である高田氏からは新しい時代の電子書籍プラットフォームと、新しいクリエイターの育成を同時に進めていこうというパッションが伝わってくる。
利益のためのプロダクトではなく、理念のプロダクトでビジネスを成功させることは難しい反面、今、もっとも求められているものであり、市場の健全化や利用者メリットを実現する方法でもある。
「Yomuca」は、多くのクリエイター、書籍好きの読者が集うことで、大きなサービスになる。それはクリエイターと読者自身がつくれる、我々の未来でもあるだろう。
■Yomuca - 電子書籍販売支援プラットフォーム