「パスタ巻いてる?」でおなじみのHi−Hiだが、実は94年デビューという芸歴の長さ。なぜいまブレイクしたのか、その理由に迫る

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『R−1ぐらんぷり』でブレイクした「ワイルドだぜぇ〜」のスギちゃん、かたや『THE MANZAI』で一躍全国区となった「パスタ巻いてる?」のHi−Hi。この2組、いずれも1973年生まれの38歳と、かなりの遅咲き芸人だ。

 1973年世代の芸人といえば、千原ジュニア、ロンブー淳、バナナマン設楽、ブラックマヨネーズ、小籔千豊など、いまやテレビ番組に欠かせないトークの実力者揃い。数年前まではフルーツポンチやはんにゃなどの若手芸人に勢いがあったが、現在はむしろ、この38、39歳である中堅世代の活躍が目立つ。

 なぜいま、1973年世代が人気なのか。スギちゃん、Hi−Hiのブレイクの理由について、お笑いマガジン『コメ旬』編集長でお笑い評論家のラリー遠田氏がこう説明する。

「彼らにはふたつの共通点があります。ひとつ目は、芸人に人気のある芸人であること。面白いけど玄人ウケのネタをするため、テレビ向けではなく、どうしてもブレイクに時間がかかってしまうんです」

 似たようなタイプでは、『THE MANZAI2011』でビートたけしに称賛されたテンダラー。ボケの浜本は1974年2月生まれの38歳だ。また、くりぃむしちゅーや爆笑問題、土田晃之などに絶賛されている古坂大魔王も1973年生まれ。遠田氏が続ける。

「ふたつ目は、今までお笑いブームに何度乗り損ねても辞めなかったタフな芸人であること。これは特に最近出てきたニューウェーブ組(スギちゃんやHi−Hiなど)に言えますね。肝(きも)が据わっていて、根性としぶとさがあるからネタにも落ち着きが感じられます。ウケるためにはなんでもする貪欲な若手たちとは正反対の存在です」

 確かにガツガツしておらず、妙に余裕のある点が彼らの共通点。ではなぜ、タフさや落ち着きが求められているのか。

「まず、いまは10〜20代の若い世代がテレビを見ないので、若手より視聴者の年代に近いお笑い芸人が求められるようになったのかもしれません。あと、震災以降“勢いある若手イケメン芸人”より“倒れても倒れても起き上がってきた中堅芸人”を求める機運もあったのではないかと思っています」(前出・遠田氏)

 彼らの共通点である芸歴の長さを「引き出しの多さ」と評するのは、『めちゃイケ』などの放送作家として知られる元祖爆笑王氏だ。

「スギちゃんやHi−Hiは、いくつかのネタ番組でウケなかった経験を糧(かて)に、ネタを練り直してはい上がってきました。この世代でデビュー後、すぐに成功したのは田村淳ぐらいで、それ以外のみんなは紆余曲折を経て、いろんな勉強をしています。楽屋をのぞくと新聞や雑誌を読んでネタを集めていますし。インプットがあるから引き出しが多くなり、トークが盛り上がるんです。しかも、『これで一発当ててやる』という気負いがなく、自然体でいられることも面白さにつながっていますよね」

 どんな相手とのトークも引き出しの多さで巧みにこなし、かといって「前へ前へ」とガツガツしてない。それが1973年世代に共通する人気の理由ということだ。

(取材/田島太陽、撮影/井上太郎)

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