自転車での世界一周旅行を続けていた日本人の河原啓一郎さんが、中国で自転車の盗難に遭い、地元警察の捜査の結果無事手に戻ってきた出来事について、中国では「中国人のメンツに関わる問題だ」との声もあった。だが、中国人ブロガー「居日華」さんは「自転車窃盗と中国人のメンツは関係ない」というタイトルでブログを書き、異論を唱えている。

 ブロガーは中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」で日本人が自転車の盗難に遭ったニュースを知ったと言う。ウェイボー上の“愛国的”な人の中には「日本人が中国で自転車の盗難にあったことは、中国人のメンツに関わる」と考える人もいた。だが、地元警察は日本人に対し自転車を貸与した上、入念な捜査の結果自転車を日本人の元に返すことができた。そのため、評論家の中には「中国人のメンツが保たれた、国民の素質が高まっている」と発言している人もいるという。

 だが、ブロガーは「今回の出来事と中国人のメンツや国民的素質は切り離して考えた方がいいと思う。日本でも中国でも、自転車の盗難はよくあること。海外旅行中にトラブルに遭う日本人も珍しくない」と言い、自転車の盗難事件程度のこと中国人のメンツが失われることはないと主張した。

 さらに、「ネット上では警察の対応を批判する声もある。普通の中国人が同じように自転車を失くした場合、警察はこんなに力をいれて捜査することは絶対にない」と説明。その上で、「個別の窃盗案件を取り上げて国全体の国民性について語るのは、合理的でない」と評した。

 また、窃盗は日本でも決して珍しくないことについて触れ、日本では万引きが原因でコンビニや書店が少なからず閉店に追い込まれていることや、近年は高齢者の万引きも増えていることなどを指摘。「それでも日本人の素質は高いとほめ讃えることができるだろうか」、「日本人1人の自転車が盗難に遭ったというだけで、13億人の素質を判断できるのだろうか。荒唐無稽な話である」と結論付けていた。(編集担当:西谷格)