就活の第一歩といえば「就活サイト」での企業エントリーが一般的になっている。とりあえず『一括エントリー』にチェックを入れて今日の就活は終了、と安心している人はいないだろうか。

 就活の舞台裏に詳しいマーケティング・プランナーの谷村智康氏は、そんな安易な考えを否定する。

就活サイトというのは広告しか載っていない“フリーペーパー”です。広告ビジネスなのだから、基本的にお金を出す側に都合の悪いことは書いてない。就活生はそれを頼りにしなくてはならないように誘導されているんです。就職という一生ごとを、広告キャンペーンにあおられて決めざるを得ないのは、若者にとっても採用する企業にとっても不幸なことだと思います」

 学生にとって、効率的な就活を行なうために就活サイトは欠かせない。部屋にいながら多数の企業情報を収集でき、同時にエントリーも説明会の予約もすることができるからだ。だが、忘れてはならないのは、大学のキャリアセンターや就職課とは違い、ビジネスであるということ。お金を出す側、つまり出広企業が、多くの学生のなかから優秀な学生だけを集められるシステムになっているのだ。

 2000年以降、「就活」という言葉が一般的に広まったのと同時に、就活自体がひとつのビジネスとして成長していった。「就活というのは就職産業が中心となってつくり上げたフィクション。本当はそこに参加した段階で“負け”なんです」と語るのは、前出の谷村氏だ。

就活中の3年生には酷な話かもしれませんが、一部有力大学の、現在の就活システムに乗って素直にゴールにたどり着ける人以外は、就活をバイパスするようなルートを探したほうがいい。就職にはもっといろいろな方法があるのですから」(谷村氏)

 就活サイト、就活セミナー、就活本に一切頼らないゼロ円就活でも内定は出るのである。

(取材/梶野佐智子)

【関連記事】
例年より2ヶ月遅れでスタートした就活。焦っていない学生は、すでに負け組?
ビジネススキルのない「無個性」では、TPP後の就活で生き残れない
新卒一括採用の消滅!? ユニクロが検討する「大学1年生採用」の衝撃
内定もやりがいも手に入れる、バイトから正社員を目指す“新・王道就活”
「手に職があれば安心」も今は昔。技術職の仕事単価は10年前の約半額に