■ ボルシアMGへの入団が決定的

柏レイソルに所属しているロンドン五輪代表候補のMF大津祐樹がドイツ・ブンデスリーガのボルシア・メンヘングラートバッハに移籍する可能性が高くなった。噂レベルの話ではなく、メディカルチェックなどを行うため、すでにドイツに渡っているということで、問題がなければそのまま契約となる見込み。またしても、ブンデスリーガに挑戦する日本人が出てきた。

ボルシアMGというと「古豪」と表現するのがぴったりのチームで、優勝回数は5回。これは、バイエルン・ミュンヘンに次いでリーグ2位の数字であるが、1969-1970、 1970-1971、 1974-1975、 1975-1976、 1976-1977と30年以上前のことである。

ここ最近は、タイトル争いからも遠ざかっていて、昨シーズンは16位。入れ替え戦に回って、FW鄭大世のいるボーフムと対戦したことは記憶に新しいところで、カリスマサッカーライターの金子達仁さんがボルシアMGの熱狂的なサポーターであることもよく知られている。

■ ドイツで活躍できるか?

移籍が決定したとなると、MF大津がどのくらいの活躍ができるかが興味の対象となるが、どのくらいの活躍ができるか、現時点で予想するのは難しい。

MF大津の武器は「フィジカル・コンタクトの強さ」を生かしたドリブル突破であるが、日本では武器になった「フィジカル・コンタクトの強さ」が、ドイツでそのまま武器となるのか、否か。これが、移籍してすぐにポジションを確保して、試合に出続けることができるかの分かれ目となりそうである。

ドイツで改善を期待したいのが、「フィニッシュの精度」であり、2008年が14試合でノーゴール、2009年が33試合で6ゴール、2010年が9試合で1ゴールという数字は、ポテンシャルを考えると、かなり物足りない数字である。テクニックもあるので、ドリブルでペナルティエリアに侵入することはできるが、ラストのところでアイディアや精度を欠くシーンは少なくなかった。

「外国人助っ人」となるので、「ゴール」あるいは「アシスト」という目に見える結果が必ず必要になってくる。怪我から復帰してきて「運動量」や「守備意識」といった黒子の部分は向上しているので、攻撃的な部分でも成長を期待したいところである。

■ 増え続けるブンデスの日本人

それしても、ブンデスリーガでプレーする日本人は、ここ1年で激増している。

昨シーズンは、ドルトムントのMF香川、シャルケのDF内田、フライブルクのFW矢野、シュツットガルトのMF岡崎、ヴォルフスブルクのMF長谷部、ケルンのDF槙野の6人がブンデスリーガの一部でプレーしたが、今シーズンは、さらに、アウクスブルクのMF細貝、バイエルンのMF宇佐美の参戦が決定しており、ここに、ボルシアMGのMF大津まで加わると、合計で9人となる。

8月5日に今シーズンのリーグ戦が開幕するが、開幕カードを見ると、シュツットガルトとシャルケ、ケルンとヴォルフスブルク、アウクスブルクとフライブルク、バイエルンとボルシアMGが対戦する予定なので、ハンブルガーSVと対戦するMF香川だけが仲間外れになってしまうが、それ以外の選手は、すべて日本人所属チームとの対戦となる。

1999年にMF名波浩がセリエAのベネチアに移籍して、ペルージャのMF中田英寿と対戦したときのダービー(=豪雨のダービーマッチ)のときは、日本中が大騒ぎしたが、今シーズンは、日本人ダービーは当たり前すぎて、全く話題にならずに終わってしまう「日本人ダービー」も出てきそうである。

■ ブンデスリーガの外国人

これほどブンデスリーガに所属する日本人が多くなると、チェックするのも大変である。あまりにも日本人が多くなると、ドイツの人も「日本人が多すぎる。」と思わないかどうか心配になってくるが、ここで、ブンデスリーガの外国人プレーヤーとその国籍について調べてみた。

参考にしたのは、昨シーズン終了時点でのデータなので、シーズン途中で退団した選手などは除かれている。また、二重国籍等の事情をかかえている選手もいると思われるので、間違いもあるかもしれないが、参考までにまとめてみると、以下のようになった。


もっとも多いのは、もちろん「ドイツ国籍」で282人。総数が533人だったので、約53%がドイツ国籍となる。2位がブラジルで24人、3位がオーストリアで16人、4位がクロアチアで14人、5位がチェコで12人と続いていく。「世界最大の選手輸出国」と言われるブラジルはさすがであるが、オーストリアが3位というのはやや意外で、東欧の選手が多いのが1つの特徴といえる。

その下は、オランダとフランスが11人で6位タイ、スイスが10人で8位、デンマークとトルコが9人で9位タイとなっているが、日本は6人(香川、内田、岡崎、矢野、槙野、長谷部)で15位タイ。これでも、かなり多い方であるが、新シーズンは、宇佐美、細貝、大津と+3人となる見込みで、合計9人。一大勢力となってくる。

面白いのは、スペイン、イタリア、イングランドの選手が、ほとんどいないことであり、スペインは3人、イタリアは2人、イングランドはゼロ。スペイン人のFWラウールの活躍が目立っているが、あまり人材交流は無いのが現状である。

他には、アルゼンチンが1人だけというのも意外な結果で、ニュルンベルクのDFオラシオ・ピノラのみ。アフリカ人も少なくて、ガーナとコートジボワールが4人で最多となっている。日本以外のアジア人は、韓国が2人、オーストラリアと中国とレバノンとイランが1人。韓国人はハンブルガーSVのFWソン・フンミンとヴォルフスブルクのMFク・ジャチョルがプレーしている。

ちなみに、下の表の一番右側はゴール数で、日本はトータル10ゴールだったので、20位タイであった。今シーズンは、MF宇佐美、MF大津と攻撃的なポジションの選手が加わったので、この数字も大きく増えることを期待したい。


 国籍選手数ゴール数
1ドイツ282340
2ブラジル2442
3オーストリア1624
4クロアチア1446
5チェコ1210
6オランダ1133
6フランス119
8スイス109
9デンマーク92
9トルコ911
11ギリシャ818
11ポーランド813
13スロバキア76
13ボスニア・ヘルツェゴビナ712
15日本610
15米国61
17セルビア512
17ベルギー515
19ガーナ43
19コートジボワール416
19ペルー417
19ポルトガル46
19ルーマニア43
24カメルーン37
24スペイン316
24スロベニア317
24チュニジア311
24ハンガリー37
24フィンランド31
24ベネズエラ34
24マケドニア32
32アルジェリア20
32アルバニア20
32イタリア20
32コンゴ共和国20
32スウェーデン21
32ノルウェー211
32ブルキナファソ22
32モロッコ21
32韓国23
41アイスランド19
41アルゼンチン12
41イスラエル12
41イラン10
41ウクライナ13
41エジプト10
41オーストラリア10
41カナダ11
41ギニア10
41グルジア10
41コロンビア14
41セネガル122
41チリ110
41ナイジェリア10
41ナミビア10
41パラグアイ116
41ブルガリア11
41ベラルーシ10
41レバノン12
41ロシア18
41中国10
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