地震の際、身を守るための家具の固定法
通常の大きな地震では、家具類の転倒や落下、割れたガラスなどによる負傷者が全体の3〜5割を占めると言われています(「東京都防災ホームページ」より)。倒れた家具の下敷きになったり、中から落ちて割れたものでケガをしたりするばかりでなく、逃げ道をふさがれてしまうことも。そんな危険から身を守るためには、あらかじめ家具を固定しておくことが必要です。どんな家具をどんな風に固定すれば良いのでしょうか。
【転倒防止の基本】
家具を置くのは、柔らかい絨毯や畳のような滑りにくい場所よりも、フローリングに置いた方が安全と言われています。滑りやすい分そのままずれて移動することはあっても、転倒する危険は少ないからです。また、収納家具の中身は、重たいものをなるべく下に入れ、重心を低くするように心がけましょう。ピアノや大きなタンスなど重たい家具は、できれば寝室にはおかないようにしたいもの。就寝中に地震が来ると逃げる間もなく下敷きになる恐れがあります。どうしても寝室以外に置く部屋がない場合は、ベッドや布団の上に倒れないような位置に向きを工夫するといいですね。
【タンス】
L字金具等でタンスを壁に固定する方法が確実ですが、賃貸住宅ではネジや釘を使えないこともあるでしょう。天井との隙間に突っ張り棒タイプの補強材を使ったり、天井との隙間をピッタリ埋める高さの収納ユニットや段ボールなどを載せておいたりすると、揺れても天井が支えになって転倒防止の効果があります。さらに、タンスの前面下部と床の間に、専用の差し込み式ストッパーや厚紙、新聞紙などを挟んでおくと、家具が後ろの壁にもたれかかかる形になり、転倒しにくくなります。上下が分かれているタイプのタンスは上の部分だけが飛び出してくることもあるので、固定用の器具を使って上下の連結を強化しておきましょう。
【本棚】
別記事でご紹介しています。詳しくは
【液晶テレビ】
従来のブラウン管テレビに比べて、不安定で倒れやすい薄型テレビ。危険なのはもちろん、高価なものだけに買ったばかりで壊れてしまったらショックですよね。画面の背面とテレビ台とを固定する専用の転倒防止ベルトや、衝撃を吸収し、前にずり落ちてくるのを防ぐための滑り止めジェルなどが市販されているので、これらを利用するといいでしょう。なお、転倒防止ベルトはテレビに付属していることも多いので確認を。また、キャスター付きのテレビ台は台ごと動く危険があるので、キャスターをはずしておいた方が安全です。
【食器棚】
タンスと同様の転倒防止に加えて、中のワレモノが飛び出して破損する危険にも備えが必要です。食器の下に滑り止めマットを敷いておく、観音開きの扉が開いてしまわないようにストッパーを付けておく、ガラス戸になっている場合はガラス飛散防止フィルムを貼っておくなどの防止策をとっておきましょう。食器棚を新しく買うときは、観音開きではなく、引き戸や引き出しタイプのものを選ぶと安全です。これら、家具の固定用グッズは、ホームセンターなどに行くといろいろなものが市販されているので、一度のぞいてみるといいでしょう。
【家具の配置も考えてみよう】
万が一家具が倒れてしまったときのことを考え、寝ている間やよくいる場所で下敷きになることはないか、出入り口をふさいでしまうことがないか、家具の置き場所を見直してみることも大切です。
いくつかの方法で固定してあれば、リスクは確実に減らせるはず。災害への不安を生々しく感じる今こそ、できることはぜひやっておきたいですね。
文●永井祐子(エフスタイル)
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