5月30日にボルドーの10年ぶりの優勝で幕を閉じた2008-09年シーズンのリーグ・アン。今シーズンは終盤に上位4チームが僅差でひしめく大混戦を演じたが、破竹の11連勝でラストスパートをかけたボルドーに勝利の女神が微笑んだ。

 リヨンは2月末にバルセロナに完敗してチャンピオンズリーグ(CL)敗退が決まったあたりから王者の威光を欠き、ずるずると後退したが、来季のCL出場権がかかった第36節のマルセイユ戦で意地を見せ、3位の座を確保した。一方のマルセイユはこの一戦を落としたことが響いた。

 優勝争いを演じた4チームで最悪の終わり方をしたのがパリ・サンジェルマン(PSG)。一時はリヨンの来季CL出場を危うくしたが、終わってみれば6位で、CLどころかヨーロッパリーグ(旧UEFA杯)の出場権も逸した。残り3試合で2敗1引き分けと失速したのが悔やまれる。

 PSGは、シーズンの大詰めでル・グエン監督が来季の契約を更新しないことが決まり、内紛で自滅した形となった。後味の悪さはシーズン閉幕後も残っている。優勝したボルドーが、司令塔グルキュフにつづき、移籍が決定的と見られていたチーム得点王のシャマクも一転して残留を表明し固い結束を見せたのとは対照的に、PSGは空中分解寸前といった様相だ。

 シーズン最終戦の翌31日、昨シーズンPSGで現役を退いたペドロ・ミゲル・パウレタ(元ポルトガル代表)の記念試合がPSGの本拠地パルク・デ・プランスで行なわれたが、試合に出場したPSGの選手たちには、サポーターから容赦ないブーイングが浴びせられた。

 ブーイングのターゲットとなったひとり、GKミカエル・ランドローは2日付のフランス・フットボール誌に退団の意向を明らかにしている。移籍先としては、エスパニョール・バルセロナが有力候補と伝えられる。

 もうひとり、MFジェローム・ロテンは1日付のレキップ紙上で、「こんな首脳陣といっしょでは残ることはできない」とバザン会長とロッシュ・スカウト部長を攻撃し、クラブとの決裂が決定的になった。

 ル・グエン監督からも「無能」と批判されたロッシュ・スカウト部長は、元選手としてパウレタの記念試合に出場したが、サポーターに激しく罵られた。

 シーズン前には、名門復活をめざしたビルヌーブ会長のもと、マケレレ、ジュリ、セセニョンといった大物を相次いで補強したPSGだったが、その会長も株主と対立しわずか8ヶ月で事実上の解任。その後も勢いはつづき一時は2位にまで浮上したものの、ル・グエン監督の退団表明で“お家騒動”はピークに達し、何とも残念な幕切れとなった。現執行部では、選手やサポーターの信頼を取り戻すのはかなり困難と見られる。