「あ〜あ。時代劇に出てくる人みたいに『この人はいい人、あの人は悪い人』ってハッキリ見分けることができるといいですよねえ」

 取締役会でボスたちが不在になった秘書課で、少し緊張感が解けたのか、Z取締役付きの新人秘書がため息まじりにつぶやいた。

「なかなかそういうわけにもいかないわよ。そんなことを言うなんて何かあったの?」

 先輩秘書が問いかける。

「あ、はい。実は先日、当社へ資材を供給してくださっているL社のB本部長さんに失望した、というか腹が立った、というか……」

「どうして?」

「B本部長さんって一見したところ、人がよさそうでちょっと紳士的な感じがするじゃあないですか。ところが……」

「ええ? それはヒドイ!」

 秘書一同驚く。

「ですよね? それでうちのZ取締役が憤慨して文句を言ったらしいんですけど、まったく反省の色ナシって感じで」

「うちのZ取締役が、というか我が社が完全にバカにされちゃってるってわけですか」

「申し訳なさそうな顔をして、舌出してるんですよ、きっと!」

「そういえば、ときおり意地悪そうな顔つきをすることがありますよねえ?」

「でも善人と悪人みたく明快に分けることができなくても、第一印象の良し悪しっていうか、人相みたいなのはありますよねえ」

 中堅秘書が口を開いた。

「ある! ある!」

 一同大きくうなずく。ボスたちがいないことも手伝って、話がどんどん盛り上がる。

「今までに第一印象がよくないと思った人って誰かいた?」

 そう、こんな問いかけに、いの一番に名前があがってしまう人っているものだ。

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