IT業界って、ブラックな噂が多いよね?
IT業界に関するさまざまな思い込みを、SE兼イラストレーター、きたみりゅうじが一刀両断の「“IT業界の勘違い”クリニック」。今回は特別版として、 ITエンジニア適職フェアに生出演。現役SE3人を迎え「その評判、ホントなの?」をライブイラスト付きで検証します!

適職フェアでDr.きたみと3人の現役SE、大いに語る!
 9月28日、ITエンジニア適職フェア(新宿NSビル)の特設会場で始まったトークイベント。第一線で活躍中の3人のSEときたみりゅうじ氏が、SEという仕事についての世間の――場合によってはSE自身の思い込みについて大討論! さて、その中身は……。

■Part1 「客先常駐の仕事って、キツそうだよね?」
 特にIT業界ではごく一般的な勤務形態のひとつである、客先常駐。しかし、「しょせんは下請仕事でつまらなそう」「同じ仕事をしていても、客先社員と給料が……」「上司と離れているから評価が心配」「周りはみんな“お客様”、コミュニケーションが大変などの声も?
 意外なことに、会場で「そう思う」と手を挙げた聴衆は、ほぼ皆無。さて、その実態はいかに。

富士ソフト 井芹 聡司氏
「 さして「きつい」ということはないと思います。自分自身の場合で言うと、現在は2チームに分かれ、お客様先で仕様をまとめ、それを自社に持ち帰って進行するという仕事をしています。ですから、一方では自分がほぼ常駐SEとしてお客様先で働き、もう一方では、自社内でパートナー企業からのSEさんを迎えて働くという、両方の立場を経験しているわけです。
 けれど、それぞれ外の会社の方と接するのは楽しいし、新しい知識を吸収するきっかけにもなる。
 お客様先での仕事に関しては、スケジュールこそある程度お客様先導で決定される面はありますが、その他は比較的自由にさせてもらっています。」

DTS 小俣 忠史氏
「 そうですね。私も、「キツイ」とは言えないんじゃないかなと思いますね。
 給与の格差に関しては、頑張ればなんとかなる範囲内だと思います。また評価については、確かに業界的には、以前は上司の目が行き届かず、“見なし”で評価してしまうようなところもあったかもしれませんが、今はそんなことはほとんどありません。
 DTSの場合なら、私のような現場のPMが評価に参加しますから、正当な評価がされやすい環境にあると思います。
 コミュニケーションが大変だと言われますけれど、そもそも大変な人は客先になんか出ていないんじゃないかなあ(笑)。むしろそれを楽しめる人が行っていると思う。」

■Part2 「IT業界って、サービス残業が多そうだよね?」
 IT業界、特にSEという仕事には残業が付きもの! 特に納期が近付き、デスマ状態にでも陥れば、もう夜も昼もな〜い!
 しかしその一方で、世の中の風潮は「残業、いけません」の締め付けが、ますます厳しくなる一方。というわけで、「残業の必要は相変わらず」との板ばさみで、結局、サービス残業がますます増える羽目に。
 そんな世間の評判はホント? 会場でも「そう思う」の挙手は、ちらほら程度はありましたが……。

きたみ氏
「むしろこの仕事は、9時−5時ではないことに魅力があると思う。プログラミングには波があるわけですし、裁量労働制、完全フレックスで問題がないんですよね。
もちろん、サービス残業を押し付けられるとすれば、それは大問題だけれど、残業そのものまで否定的なのはどうかと思う。5時までに上がる毎日が正しいの?って思うんです。
問題があるとすれば、自分できちんと考えて集中するときはして、時間を空けたときに、そこに仕事を押し付けている上司や会社がいた時。結局、これはマネジメントの問題だと思う。みなさんはいかがですか?」

ソラン 星 学氏
「今の職場では残業自体があまりないし、当然、サービス残業もありません。
 ただ、この業界の傾向としては、残業自体はやはり多いと思います。プロジェクトによりますが、私自身も、過去には「1ヶ月のうち、休めたのは何日?」ということもありましたし。
 現在の会社に入る前ですが、あまりに工数が多くなって、残業時間を付けづらくなってサービス残業してしまった、という経験はあります。ただ、その時も強要されたわけではありません。
 現在はそんなことはありませんし、ウチもそうですが、それなりの規模以上の会社ならサービス残業はすっかり追放されているんじゃないでしょうか。業界全体としても、最近は特に減っていると思いますよ。」

■Part3 「IT業界って35歳が限界だから、将来のキャリアパス描きにくいよね?」
 今なお、折に触れて思い出したようにささやかれるのが、「SEの35歳限界説」。進化・変化の激しい世界だけに、技術をフォローしていくのも大変。若いウチじゃなきゃやってられないよ、35歳にもなったら、付いていくだけで息切れしちゃうよ、というワケである。
 もちろん、35歳を越えてバリバリ活躍している人も多いのは確か。それなのに、今なおそんな説がささやかれるのはなぜ?

きたみ氏
「限界説が言われる原因の一つに、日本では「プログラマ」と言われる職の意味範囲が広いこともあると思う。単にコードを書くだけの「コーダー」も含まれちゃう。
けれど、機械的にコードを書くだけの仕事なら、さすがに35歳以上はきついかな。
いずれにせよ、20代と本当にまったく同じ仕事を続けられるかといえば、そうじゃない。それ以前に、年齢も進んで家族もできて、という時に、20代と同じ給料じゃ生活していけませんし、会社のほうでも「まったく同じ仕事しかできないなら若い人を使うよ」って、当然言いますよね(笑)。
それでもあえて同じ仕事でいいよ、止めておいてよ、というのはワガママでしかないと思う。」

富士ソフト・井芹氏
「まったくその通りですね。限界があるとすれば「まったく同じ」を求めているから。けれど、スペシャリストの道を進むにしても、スキルは上がるし、いろいろやりがいも出てきていると思う。まったく同じはないですよね。」

DTS・小俣氏
「うーん……。DTSの場合は、もしも仮に「ずっと同じでいたい」と求めている人がいれば、制度的にはできてしまうかも。でも、「ホントに? ホントにそれでいいの?」と、10回くらい聞き直してしまうと思うなあ(笑)。
実際にはそんなことを言いつつも、その人なりの人生設計はあると思うし。」


ソラン・星氏
「仮にプログラマとしてずっとやっていきたいと思っても、特化していけば、それなりに当然単価も上がってくる。どんな道筋であっても、目指すところがあれば、その頂上を目指せるんだと思いますよ。」……≫続きはこちら

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