北京五輪100キロ超級の代表選考を兼ねた、4月29日の全日本選手権(日本武道館)は、石井慧(21歳、国士舘大学)が優勝。準決勝では棟田康幸(警視庁)、決勝では、柔道界を代表するビッグネーム、鈴木桂冶(平成管財)を倒し、見事、北京五輪100キロ超級日本代表の座を手に入れた。

決勝戦後には、試合終盤、守りに入った後悔と苛立ち、結果を出せたことによる安堵感で顔をグシャグシャにして号泣した石井だが、日本柔道界に誕生した若きスター、石井とはどのような人物なのだろうか?

石井は1986年12月19日生まれの21歳。意外にも柔道歴は短く、現在は、小学6年生から始めて9年目。本人曰く、柔道師範の父は自分から柔道をやるというまでやらせなかったというのだ。

しかし。負けず嫌いの性格から練習の虫となり、中学、高校と各世代で優勝を果たし、名を馳せた。国士舘大学に進学後も、練習の虫なのは変わらない。朝稽古、筋力トレーニングを含めると1日7時間は練習するという。

そんな石井の素顔はしっかりとした真面目な青年だ。趣味は読書で、歴史小説からアスリートのエッセイまで幅広いジャンルを読む。「イチロー選手の本の言葉はシビアに響きました」と他競技選手の本は参考になるといい、戦国武将の上杉謙信が好きで「武将たちにはいまにないかっこよさがある」と、「毘沙門天」の文字を帯に入れる。

柔道着の洗濯や自炊も自ら行うなど、一見古風で家庭的なのかと思いきや、好きな音楽はレゲエという今時な一面も併せ持つ。一躍注目の的となった石井慧21歳。奢ることなく金メダルを目指す。
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