いまや引く手あまたの人気芸人となったサンドウィッチマン(フラットファイヴ)が、芸人キラーの呼び声の高い「徹子の部屋」(テレビ朝日系)に11日、出演した。数多の芸人の心を折り、トラウマを作ってきた同番組に、サンドはどのように立ち向かったのだろうか。

 事前に「アメトーーーーク 春の売れっ子芸人30人祭り 徹子の部ーーー屋スペシャル」(テレビ朝日系)で同番組に対する予習をしっかりと行ってきたサンド。その傾向と対策をまとめてみた。

徹子の部屋・傾向と対策
1.ツッコミとボケをはっきりしておく
2.披露するネタは短めに
3.短いネタを多めにスタンバイしておく
4.M-1の賞金の使い道は必ず聞かれる
5.徹子はマッチョが好き
6.大好物のピザを用意する

 これを踏まえて黒柳徹子に扮した友近(よしもとクリエイティブ)と本番さながらのシミュレーションもこなし、盤石の構えで徹子の部屋へ乗り込んだサンド。その戦いぶりをふり返ってみよう。

 冒頭の紹介シーンで黒柳は、伊達のパンダがピザを食べている柄のネクタイに食いついた。パンダとピザ、どちらも黒柳が愛してやまないものだ。さらに2人は黒柳に持参したピザを勧め、一気に畳み掛ける。これで黒柳は完全に2人を受け入れた。さあ、ここからだ。

 同番組恒例のボケとツッコミをはっきりさせた紹介の後、再びピザに戻る。ゲストよりも先にホストである黒柳の写真が登場し、盛り上がるピザトーク。黒柳はM-1のアンケートネタをリアルタイムで見ことを明かし、ピザをほおばる。ここで富澤の『ピッツァです!』が出るも、黒柳は華麗にスルー。すでにここまでで2つ3つ富澤のボケが入っているのだが、黒柳は気づかない。しかし傾向と対策1を基に伊達がつっ込み、事なきを得ていた。名前の由来の話になるも、ピザでむせる黒柳。優勝して何が変わったかという質問に『360度変わりました』と答えた富澤。ここでやっと黒柳がボケを理解した。2人の高校時代の話から傾向と対策4の賞金の使い道へ。伊達が高級中華料理を食べたという話で“フカのヒレ”を連発。麒麟・田村の“おすべり”を思わせる展開だが、伊達が何度か“フカヒレ”とかぶせることで訂正に成功。2人が一緒に暮らしている写真を見て黒柳『ガールフレンドは連れてこられないわね』、富澤と黒柳で『どこか違う所』『泊まったりする所』『もう1人はいない方がいい』『本当に3人のサンドウィッチマンになっちゃう』と遠回しに下になりそうでならないトークを繰り広げた。

 ここまではアメトーークSPの効果か、非常に順調だ。ところがCM入り直前、黒柳はこう言った。『M-1グランプリをお獲りになったお二人なのでさだめしおもしろいだろうということで、万全の漫才を見せていただければ』。あり得ないフリでネタのハードルを上げられた2人。もはやこれまでといったところで、黒柳が伊達の傍らにある紙袋の存在に気が付いた。中に入っていたのは笹かまぼこ、牛タン、喜久福(仙台のお茶メーカーが作る抹茶生クリーム大福)の仙台土産三種の神器。これで黒柳の機嫌を取り、なんとか持ち直してCMに入った。

 CM後に「野生の王国」「遅いよ」「ハイジャック」と3つのショートコントを披露。ネタの間は『徹子の部屋!』というコールでつなぐという小技も見せ、黒柳は手を叩いて大喜び。ネタもおおむね好評だったが、M-1優勝を決めた宅配ピザのネタの冒頭部分を切り取った「遅いよ」が『ちょっとわかりにくかった』と解説を要求された。ネタを自ら解説しなければならないのは、芸人にとってこれ以上ない恥辱。それを黒柳はこの番組で幾度も芸人たちに強いてきた。しかしサンドは折れない。予習が効いているようだ。黒柳『お茶、召し上がってください』。仕事が増えた話、M-1の話、1,000万円の話から黒柳が「東京フレンドパーク」(TBS系)に出演した思い出話に移行。2度目のCM前に再び『お茶、召し上がってください』。