バルセロナのブラジル人右SBジュリアーノ・ベレッチのチェルシー電撃移籍に強い衝撃と怒りを感じているのは間違いなくセビージャのダニエウ・アウベス本人だろう。

 チェルシーはこれまでアウベス獲得に向け再三オファーを出してきたが、「4200万ユーロ(約66億1800万円)以下では売らない」と強気の姿勢を見せるセビージャのデル・ニド会長の対応にしびれを切らし、一気に方向転換。アウベスを諦め、550万ユーロ(約8億6600万円)、3年契約でベレッチ獲得をあっさりと決めてしまった。これでアウベスのチェルシー行きが消滅。アウベスを破格の値で売れると踏んでいたデル・ニド会長の作戦も今回ばかりは完全に裏目に出るという結果となった。

 ブラジル代表戦を終えセビージャに戻ったアウベスは、集まった報道陣に対し「何も話すつもりはない」と語るに留めたが、“怒り心頭”といった様子がうかがえた。「チェルシー移籍というビッグチャンスを逃したくない」と公言し、クラブ側にオファーを検討するよう要請していたアウベス。年棒600万ユーロ(約9億4500万円)、5年契約で契約するはずの話が一夜にして消滅した彼の心境は察するに余りある。

 アウベスはチャンピオンズリーグ予選、対AEKアテネとの第1戦目は欠場。もちろんチェルシー移籍を視野に入れてのものだ。しかし、レアル・マドリーとのスペイン・スーパーカップには2戦ともに出場している。25日にはホームでリーガ開幕戦を迎えるセビージャ。フアンデ・ラモス監督がアウベスを招集リストに加えるか否かは今のところ謎だが、アウベスのモチベーション低下が懸念されるところであり、チームの士気にも影響を及ぼすことにもなりかねない。新たなシーズンが始まろうとしている矢先に、何とも不穏な空気が漂い始めている。

(スペイン通信)