天才肌のドリブラー水野晃樹<br>【photo by Kiminori SAWADA】

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 今合宿中の練習グラウンドには、備品などを常備する場所がない。そのため、選手たち自らがボールや水などをバスからベンチ付近まで運ぶ。いつも率先して重そうな荷物を手にしているのが、水野晃樹や伊野波雅彦、太田吉彰など若手選手ということになる。それでも運びきれないのは当然で、ほぼ全員が何かしらを運んでいるのだが…。

 6月のキリンカップのメンバーにも選ばれた水野は現在、五輪代表候補チームでも中心選手である。二つの代表を掛け持ちしているために、休みらしい休みはほとんどないという。それでもA代表というグループにいる充実感と、それを五輪世代に伝えるという任務を強く認識し、貴重な時間を過ごしている。

「A代表には経験ある選手がとても多いし、俊輔さんとタカさん(高原)も積極的に話かけてくれるし、丁寧に教えてくれるので、僕としては学べることも多い。練習の時、盛り上げようと選手たちがどんどん声を出している。試合に向けてテンションを上げようとしているのがわかる。そういうのは五輪代表ではあまりないから。そういうのを見ていると、どんどん自分たちで盛り上げて明日の試合に良いテンションで入っていこうというのがわかる。」

 水野は続ける。「僕は年齢的に、若いからここに入れてもらえたというのもあると思う。監督からの間接的にですけど、『経験ある選手のもとでやって、自分の経験値を上げていけ』ということは言われている。まず、そういうことからはじめようと思っているけれど、もし試合に出るチャンスがあれば、欲張り過ぎないで、今までやってきたサッカーをリラックスして、いつもどおりにやりたい。飛び出せば、良いボールを出してくれる人はたくさんいるから。僕は使われる対場なんで、どんどんと行きたいですね!」

 練習でもトップ下から右サイドバックまで様々なポジションでプレーすることが多い水野。先発出場はないのかもしれないが、来るべきチャンスに備えた準備にも余念がない。「緊張するタイプじゃないですから」と笑った。何も知らない、未経験者だからこその思い切りの良さの爆発に期待したい。


―― text by Noriko TERANO ――

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