大卒が高卒と偽りクビ 「厳しすぎ」とネットで議論
兵庫県尼崎市の水道局男性職員(37歳)が、大卒なのに最終学歴を高卒と偽り採用試験に合格していたことがわかり、2007年1月末に諭旨免職処分になった。公務員という「安定した仕事に就きたかった」ためのウソだったようだが、ネット上では同情する意見が大半だ。「高卒のほうが就職率がいい?「これって逆差別」など、学歴と就職に関する議論が交わされている。
この元水道局局員は、97年度の採用枠2人の中途採用試験を受験。受験資格の一つが「最終学歴が中学、高校卒程度」だった。担当した仕事は水道管の補修などだった。
「大卒→高卒はいいのでは!」
神戸新聞は07年2月1日付で、
「職員は、四年制大学に在学していた期間を含む89-97年、民間企業に勤務。履歴書には、最終学歴を高校とし、アルバイト経験と企業勤務の事実だけを記入(中略)。職員は事実を認めた上、『安定した仕事に就きたかった』などと話した」と書いている。
安定した職を失ったばかりか、市の規定で退職金が支払われない。
バブル以降の就職難に加え、大企業の倒産やリストラの嵐が本格的に吹き始めた頃の話だ。学歴を詐称してまでも安定した公務員になりたかったようだ。
学歴詐称が許されないのは当然だが、ヤフー、エキサイト、楽天などのブログでは学歴と就職に関してこんなやり取りがされている。
「高卒→大卒に詐称するのは禁止で理解できますが 大卒→高卒はいいのでは!個人的にですが ニートで働かない奴より よっぽどいいですよね!」
「逆差別と言う気もしますね、地方公務員3種に合格するために4年間勉強した場合との区別の根拠が不明確です」
「『大卒だと給料を高くしなければいけないし、プライドも高くて扱いにくい』とか、雇用する側に身構えられてしまって、入りづらい雰囲気を感じた事は私もありますね」
「通常、学歴の高い人のほうが給与も高いわけですよね。そういう人材を安くで雇えたのだから、真の雇用主である市民にとっても得なはずなのですが」
「低学歴じゃないと公務員になれないというのもナンセンスですね。。。」
「採用基準、何のための学歴条項か、本末転倒もいいところ。あきれる社会だ」
「こいつ特に悪いことしてなくね???」
「勉強する、卒業する、こういうことが『マイナス』面に働くことは日本ではよくあることですが、あんまりよろしくないですね。。。これだとプー太郎のほうがまだいいじゃんということになっちゃう」
「この採用試験は大卒未満人の就労機会確保が目的」
もっとも、
「記事にあるように『安定した職』というのが最大の魅力なのも事実です・・・公務員。でも、それなら、なぜ『大卒枠』で挑戦しないのか!」
という意見もある。
J-CASTニュースは、多くのブログに書かれていた「クビは厳しすぎないか」という質問を尼崎市水道局にぶつけてみた。実は、今回と同様の学歴詐称が06年6月に尼崎市教育委員会の職員に見つかっていて、その職員は免職。他に詐称していた職員はいないのかと該当する268人を調査し、今回の元水道局職員が引っかかったのだと言う。
同水道局は、
「処分をどうするかは他都市の例も参考にしていますが、この水道局職員採用試験は大卒未満の人の就労機会確保が目的でしたし、受験用件にもはっきり記載していました。本来なら受かっていたはずの人が不採用になったわけですから、免職という形でなければ示しがつかないということなんです」
と話した。
他の自治体ではどうなのか。千葉市人事課に聞いてみた。千葉市では学歴を詐称し採用され働いた職員の例はないという。そして、こんな説明をしてくれた。
「免職は厳しいとは思います。ただ、一般論としては公務員の場合、公平な競争の中で採用不採用が決まります。その入り口の段階で不正をしていたということは、公務員のあり方、原則を貫くということで、免職になるのはしかたのないことなんです」