「大卒30歳賃金が高い会社」ランキング

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大卒30歳賃金で1位になったサイバーエージェントは、2016年4月からテレビ朝日と組んで、インターネット放送局「Abema TV」を開局。開局時の式典で壇上に上がる藤田晋社長 (撮影:今 祥雄)

「給料はどのくらいなのか?」。

就職活動中の学生がまず気にするのが、志望企業の初任給かもしれない。しかし、その会社の本当の給与水準を知るためには、初任給とあわせて、一定年数経過後の金額も知っておきたいところだ。

最高額と最低額で、社内同期の「差」も見える


そこで、今回は『CSR企業総覧(雇用・人材活用編)』2018年版の掲載データを使い、「大卒30歳平均賃金」ランキングを作成した。30歳は、仕事にも慣れ、職場では少しずつリーダーとして活躍し始める時期。結婚する人も出てくるだろうし、定期的な支出も増え、それなりの収入も必要になってくる。入社する前に、その頃の賃金水準を知ることができれば、将来の生活もイメージしやすい。

データは、大卒・総合職の「実在者平均の月例賃金」を基本とするが、一部例外もある(ランキング下の「注」を参照)。表中の「注」には、各社の賃金の算出条件などを記載している。さらに「最高」「最低」の金額も、開示がある場合は掲載した。

では、ランキングを見ていこう。1位はネット広告を中心に、最近はテレビ朝日との合弁でネットテレビ局「Abema(アベマ)TV」などにも積極的に展開している、サイバーエージェントだ。AbemaTVは、元SMAP3人のメンバーによる『72時間ホンネテレビ』を実現したことで、業界で大きな話題を呼んだ。大卒30歳の平均賃金は、53万4204円。最高は150万円、最低は29万円と、差も大きい。同社の平均年齢は31.7歳と若いが、平均年収でも779万5000円と、高いレベルにある。

社内公募制度やFA制度など、やる気のある社員は会社が全面的にバックアップする。中でも企業内ベンチャー制度「ジギョつく」がよく知られる。年2回、事業プランコンテストを実施し、経営者・起業家育成・イノベーションを発揮する場として活用。優勝者には賞金100万円と事業責任者の権利が与えられる魅力的な制度だ。

女性管理職比率は18.9%、女性部長比率も11.8%と女性登用も進んでいる。男女にかかわらず責任あるポジションを任せられる環境でもある。

ただ、一般的にネット関係企業は、タフな職場環境とされる。同社の年間総労働時間や月平均残業時間の開示はなかったために詳細は不明だが、年間有給休暇取得日数が4.0日(2016年度)と、平均よりも少ないことから、働くほうにウエートが高いと想像できる。それでも若いうちからバリバリ仕事をし能力アップしたい人にはピッタリの職場かもしれない。

2位は大和証券グループ本社の52万0449円。最高は73万5372円、最低は32万5625円で、同じ年代で20万円程度の差が出ている。残業時間は月23.5時間と1日1時間程度の水準。この2社が月額50万円を超えている。

以下、3位が第一生命ホールディングスで47万2667円、4位の三井物産が47万0382円、5位商船三井(46万8076円)、6位三菱商事(46万2736円)、7位双日(46万2500円)、8位住友商事(46万2000円)と続く。

積水ハウスの最高賃金は177万円

最高賃金が最も高かったのは9位の積水ハウスで、平均45万7019円に対し、最高は177万3564円だった。

21位のSBIホールディングス(40万0609円)までが40万円を超えており、ランキング100位のネットポータルを運営するエキサイトで34万8125円。199位の三菱電機新光商事でも31万8000円と、対象企業はすべて30万円を上回っている。

今回、金額が開示されていた643社のうち、年収ベースの3社を除いた640社の平均月額金額は30万1474円。東洋経済CSR評価では、「大卒30歳平均賃金30万円以上」を、待遇面での”優良企業”の目安と考えている。それは開示企業の平均値が例年ほぼこのあたりになるからだ。

ちなみに30万円以上は296社で全体の46.3%、25万円以上は571社の89.2%。事業内容や企業規模、所在地の物価水準などを考慮しても、「25万円以上」を企業側にはクリアしてほしい。

今回のランキング上位200社は、30歳時点で月額30万円以上をもらえる会社ばかり。普通に生活するには十分な金額で、社会人としての経済基盤は安定しており、仕事に集中できる環境と考えてよい。

さらには、これらの会社の事業内容や働きやすさなどの情報を見ることで、より深い企業研究ができる。その際、『CSR企業総覧』掲載の1413社の情報を参考にすることでより、有利に就活が進められるだろう。