昔の田舎芝居という限定つき評価なら、渡部恒三という政治家は、大時代なせりふ回しで、なかなかの役者だといえる。4月29日の衆院予算委員会で、その真骨頂を見ることができた。「渡部恒三であります。最初にお許しを得てこの1000年に一度といわれる災害で尊い命を失った皆さんの霊に手を合わせてお詫び申し上げたいと思います」。かつて国会中継の画面で、うやうやしく合掌した議員の姿を見た記憶は、筆者にはない。犠牲者の冥福