ラーメン店に集まった22人の税理士が、次々とシャンパンを開ける。

一見すると、少し派手な交流会にも見える光景だ。だが、シャンパン1本が開くたびに、その店では学生5人が無料でラーメンを食べられる仕組みになっていた。

大阪のラーメン店「麺処 とりとん」で行われたのは、大人が先にお金を支払い、その分を学生の食事代に充てる取り組みだ。

同店では、大人が代金を先払いし、学生がそのチケットを使ってラーメンを食べられる「やる気チケット」という仕組みを取り入れている。

今回集まったのは22人の税理士。さらにこの日は、シャンパンを1本注文すると、学生5人分のラーメン代につながる仕掛けも用意された。

通常であれば、酒を注文して楽しめば、その場で消費は終わる。

しかしここでは、大人が楽しむために使ったお金の一部が、その場にはいない学生の食事へと変わっていく。

「学生を応援する」という行為を、特別な寄付ではなく、日常の消費の中に組み込んだ形だ。

税理士と聞くと、税金や決算、節税など「お金を守る仕事」をイメージする人も多い。

一方で、実際には中小企業の経営者と日々向き合い、売上や利益、資金繰り、事業の継続について相談を受ける立場でもある。

そんな、お金に近い場所で働く人たちがこの日考えたのは、「どう残すか」だけではなく、「どう渡すか」だった。

店には売上が残る。

大人は食事や交流を楽しめる。

そして学生には、一杯のラーメンが届く。

誰か一人が負担するのではなく、関わる人それぞれに意味がある形にすることで、支援を続けやすくする狙いがある。

寄付や社会貢献と聞くと、自分のお金を削って誰かに渡す行為を思い浮かべる人もいる。

今回の仕組みは少し違う。

飲む。食べる。人と会う。

普段と変わらない消費行動の先に、誰かへの支援をつなげている。

「社会貢献のために何かを我慢する」のではなく、「普段使うお金の行き先を少し変える」。

そう考えれば、支援に参加するハードルは下がる。

学生にとって、1000円前後の食事代は決して小さくない。

しかし社会に出て、30代、40代と年齢を重ねていく中で、その1000円の意味は少しずつ変わる。

かつて自分にとって大きかった一杯を、今度は自分より若い世代に渡せるようになる。

大きな寄付をする必要はない。

特別な活動を始める必要もない。

チャンネル情報

鯉淵 拓真 KOIBUCHI TAKUMA 公認会計士・税理士 クレディシップグループ代表 クレディシップ税理士法人 / クレディシップ社会保険労務士法人 / クレディシップ株式会社 / NexTable株式会社 ホンモノを未来へ繋ぐために、起業家を支援し、理論だけで終わらない“現場で動く経営”を発信します。