石破茂首相が政権運営の基本に据える「国民の納得と共感」を欠いたまま、防衛政策を転換してはならない。首相は自民党総裁選まで、得意とする安全保障政策を積極的に発信していた。首相になった途端に持論を封印し、所信表明演説や党の公約でも触れなかった。国内のみならず、関係国からの反発や外交への悪影響に配慮したようだ。それほど安全保障に関する首相の考えは刺激が強い。その象徴がアジア版NATO(北大西洋条約機