うつ病患者に対して「頑張れ」と言ってはいけない理由「もう頑張っているから」

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以前は「特別な病気」というイメージも強かった「うつ病」。しかしうつ病患者は増加の一途にあり、「誰がかかってもおかしくない病気」という認識も広まっています。さてそんなうつ病で悩む人には「頑張れ」という一言が禁句だと言われていますが、あなたはその理由をご存じですか?

うつ病とは

うつ病とは、物事に取り組む意欲が低下し、何もする気が起きないという心の病です。人生には苦しいことがつきものですが、通常人は、適度な気分転換で気持ちをリフレッシュさせるもの。またそれができなかったとしても、時間の経過と共に気持ちは楽になるものです。

これができなくなると、人は「うつ状態」になります。病気が進行すれば、食欲低下や睡眠障害、時には「もう生きていたくない」という思いにとらわれてしまうことも……。こんな人が身近にいれば、「なんとかしてあげたい」と思うのも無理はないでしょう。

■もう頑張っています

うつ病の人を見ると、「ただ自分の意志でなまけているだけ」「気の持ちようだ」と思う方もいるかもしれません。しかし本来うつ病になりやすいのは「誰よりも真面目な人」や「完璧主義で努力家の人」なのです。誰よりも真面目に頑張ったのに、力が及ばなかった……こんな自責の念にとらわれていることも多いもの。

もしもそこに「頑張れ!」という言葉をかけてしまったら……相手は「よし頑張ろう!」とポジティブにとらえるのではなく、「まだ頑張りが足りないんだ……でもこれ以上どうやって?」とネガティブにとらえてしまうのです。

努力をして頑張って、それでもだめだったときに「もっと頑張れ」と言われてしまったら、どうにもならない気持ちになる方は多いことでしょう。うつ病患者の場合、「もうだめだ……」と人生を悲観してしまうことも、じゅうぶんに考えられるのです。

■頑張れ!ではなく「一緒に頑張ろう」

「頑張れ!」という励ましの一言が使えないとなると、病気の人とどう接すれば良いのか、悩む方も多いはず。こんなときはまず、相手の辛さに共感をしてあげるのが良いでしょう。辛い気持ちを打ち明けてくれたら、「そうだね。

辛かったね」と、ただ寄り添ってあげてください。一緒に美味しい物を食べるのも良いでしょう。相手を励ましたいときには、「叱責」ではなく「心の寄り添い」を意識してみてください。

その上でより積極的に相手の治療に関わりたいときには、「一緒に頑張ろう」と伝えてあげてください。薬を正しく飲むためのお手伝いを買って出るのも良いですし、ただ相手に関心を持っていると伝えるだけでも、じゅうぶんな励ましになるのです。

うつ病の人の心はとても繊細です。接し方には注意が必要ですし、良くなるまでに時間がかかることも珍しくありません。しかしうつ秒は決して「不治の病」ではありません。根気強い周囲の支えがあれば、きっと改善の方向へと動いていくはず。

相手の心に寄り添った言動を心掛けましょう。