ヤンキース・田中将大【写真:田口有史】

「32試合に先発してくれると我々は計算している」

 ヤンキースのジョー・ジラルディ監督が、田中将大投手に来季のフル稼働を要求した。サンディエゴで開催中のウィンターミーティングで記者会見を行い、今季は右肘の靭帯部分断裂で約2か月半、離脱した右腕について、32試合に先発することを望んでいると改めて発言。先発5人制ローテーションによる中4日での登板にも不安がないことを明かした。球団公式サイトが報じている。

 記事では、ヤンキースの来季の先発ローテーションについて言及。マイケル・ピネダはシーズンをフルに戦ったのがマリナーズ時代の2011年だけで、その時の投球回数は171イニングだった。CC・サバシアは右膝の手術明けとなるが、完全復活を遂げられるかは未知数。今季の開幕ローテーションで3番手だったイバン・ノバは右肘靭帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)を受け、復帰は5月意向になる見込みだ。

「心の中にいくつかの疑問符は存在する。ピネダは年間200イニングを投げていない。CCは怪我明け。現時点で我々は故障者の復帰にいい手応えを感じているが、本当のところはシーズンの佳境に入らなければ、実際に何が起こるか分からない」

 ジラルディ監督はこう話し、先発投手陣が不安を抱えているという懸念を認めている。

 そこで、大きな期待をかけているのが、今季20試合に先発して13勝5敗、防御率2.77という好成績を残した田中。ただ、ルーキーシーズンで開幕から圧巻のピンチングを続けた日本人右腕も、7月9日のインディアンス戦で右肘を負傷。靭帯の部分断裂と診断され、復帰までに2か月半を要した。

 焦点となるのは、復帰後の2試合の登板。9月21日のブルージェイズ戦は5回1/3を投げて5安打1失点で勝利投手に。一方、同27日のレッドソックス戦は1回1/3で7安打7失点(自責5)と大乱調に終わり、黒星を喫した。期待と不安の両方が浮かび上がったが、指揮官はこの2試合の投球内容に確かな手応えを感じているという。

中4日での登板も「今年以上に経験させる」

「彼は確かに怪我をした。1つの事象で怪我をしたのではなく、長年、積み重なったものだという話題も多く出た。だが、彼は復調したんだ。スピードも戻っている。スプリットの威力も戻っている。私が注視したいのはそこの部分だ」

 そして、田中に期待するものとして、以下のように話したという。

「彼が32試合に先発してくれると我々は計算している」

 同じ発言は、レギュラーシーズン終了直後の総括会見でも出ていた。これを改めて強調した形だ。

 32試合に先発するというのは、どういうことか。これは、メジャーで5人制ローテをフルに守らなければ、到達しない数字。つまり、中4日での登板が基本となる。ヤンキースは先発陣の負担軽減のために、日程が厳しい時期などに部分的に6人制ローテを導入するとも報じられているが、基本はあくまで5人制。右肘に不安を抱える田中も例外ではないということだ。

「シーズンが進むにつれて検討しなければいけないことだが、今年以上に先発5人のローテーションで彼をもう少しだけ経験させることになる。(5人制ローテで)彼はすごくいい仕事をしていた」

 ジラルディ監督はこう話し、フル稼働を求めている。

 故障再発のリスクは付いて回る状況だが、田中に期待されているのは、まさに大黒柱の役割。来季は名門球団の真のエースへと階段を上るシーズンになりそうだ。