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シリコンバレーのファッションをビジネスに変えようとするベンチャー企業

サンフランシスコの4thストリートとTownsendに建てられたOriginal Stitchのポップアップ店舗の前を通った男性が「それ、いいシャツだね」と店員に気軽に声をかける。

Original Stitchのポップアップ店舗

彼が綺麗に畳まれた二枚のボタンシャツを眺める横には巨大な寄付用の箱が設置されている。このポップアップ店舗はOriginal Stitchというカスタムシャツをネットで注文できるベンチャー企業が設置したもので、これは同社が企画したサンフランシスコ市民にスウェットパーカーを寄付してもらう代わりに無料でボタンシャツをプレゼントする「#DitchTheHoodie(パーカーを脱ぎ捨てよう)」運動の一環である。

このベンチャー企業は「#DitchTheHoodie(パーカーを脱ぎ捨てよう)」運動を展開している

「技術オタクにボタンシャツ」のアイデアは全く新しいものではない。今多くのベンチャー企業がシリコンバレーで働くファッションに無頓着な人たちを対象にビジネスを模索しているのだ。その中でも最近頻繁にバズられているのがBlack V Clubだ。このベンチャーは黒いVネックのシャツを販売している。忙しくて毎日のファッションを気にしていられない企業家はとにかくこのVネックを着ておけばバッチリだという。

パーカーと交換でもらえるボタンシャツ

マスメディアやThe Social Network、HBOのSilicon Valley等の映画でもおなじみかもしれないが、実際サンフランシスコの技術者たちはスウェットパーカーを多用している。頻繁に見かけるこのスタイルこそIT業界に対するステレオタイプとなり、ものぐさな技術オタクの悪いイメージの象徴ともなっている。

人々は喜んで自分のパーカーを放り込む

今の流行やトレンドを一切気にせず、典型的なプログラマーは会社支給のTシャツにスウェットパーカーを羽織ってせっせと出社する。

パーカーをリサイクルする儀式

確かに多くの人はIT業界のファッションを改善したいと考えているようだ。確かにスウェットパーカーは軽量で柔らかく便利なため、ゆえに決して無くなりはしないだろう。しかしその恰好が象徴するシリコンバレーのイメージは今脱ぎ捨てられようとしているのだ。

私はパーカーを寄付しボタンシャツと引き換える人々に、サンフランシスコにおけるパーカー信者たちについての意見を聞いてみた。

ボタンシャツについて話すリチャードとマット・シム兄弟

リチャードとマット・シム兄弟はシリコンバレーがお洒落になる必要があると話している。彼らいわく今ファッションに特化したベンチャー企業に勢いがあるのだという。

マットはグーグルのカスタマー・オペレーション・スペシャリストだ。彼にはスーツを月単位でレンタルしている友達がいるという。「今シリコンバレーはファッションに対する大きな需要を抱えています」と彼は話す。

リチャードとマット・シム兄弟と彼らが寄付するスウェットパーカー

Duran HCPでテクニカル・ソーサーとして働くリチャードにもシリコンバレーにおけるファッションの今を聞いてみた。

「いや、ファッション感覚は今無いですよ」と彼は話す。「見た目ですぐに誰がマーケティング担当で誰がエンジニアか分かりますね。道を歩いている彼らを見ると一目瞭然ですよ。エンジニアの多くは大学生がベッドから這い出てきたような恰好をしています。彼らは会社からもらった洋服なら何でも着ますしね。もっともサイズがピッタリ合うようなら彼らはきっとエンジニアではないでしょう」

アラン・ファインバーグのエンジニアとしてのコーディネート

アラン・ファインバーグはSquareに勤務するiOS担当のエンジニアだ。彼は珍しく体にあった洋服を着ている。驚くことに彼は特別スタイルを気にしたことないようでSquareの社員は誰もが意外とお洒落だという。

アランいわくSquareの社員は皆それなりにお洒落だという。

「Squareの社員は皆お洒落ですよ」とアラン。「私は以前弊社にドレスコードがあるのかと聞かれたことがあるぐらいです。うちの社員は皆デザインに興味があるのでそれが自然に見た目や選ぶ洋服にそれが現れるのだと思います」

リアム・ハースマンが自分のトルコ色のスウェットを見せつける。

「シリコンバレーにおけるファッションは最悪ですよ」とリアム・ハースマンは話してくれた。彼はBatemanというPR会社で勤務しており、IT業界のファッションは一部の目立った人(フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ等)によって世の中から過剰な注目を浴びていると話す。

リアムはシリコンバレーのファッションにはもう少し変化があるべきだと思っている。

「皆同じような恰好をしていますが、それが決してカッコいい訳でもありません」とリアムは言う。「IT業界の男性ファッションは団体心理に左右されていると思います。決まった格好をするべきだと皆思っている。皆もっとレパートリーを変えてお洒落を目指すべきですね」

Original Stitchのシャツを着こなすジェイソン・パーク

Original Stitchのポップアップ店舗を担当したジェイソン・パークは、IT企業やベンチャー企業が世界へと拡大していく中でよりお洒落な服装は必須だと考えている。

「伝統的にエンジニアはあまり洋服を気にしていませんし、我々は今そんなエンジニアで溢れかえった町に住んでいます」とジェイソンは話す。「ITはもはや社会に浸透しニッチ産業とは呼べなくなっています。エンジニアはより多くの人と対話し、会議にも頻繁に出席し、外部の会社との接点も増える一方です。彼らはそこで好印象を与えるべく服装を装いアピールすべきでしょう。でもそういった必要性の面だけでなく、見た目もいいほうがクールじゃないですか」

画像提供:Stephanie Chan

Stephanie Chan
[原文]