基本、飛ぶほうがいいでしょ!?

春先は「何かが飛ぶ」という話題が心に刺さる時期なのでしょうか。今年もやってまいりました、恒例の「飛ぶボール」騒動が。桜の花びら、花粉、ボール。春はいろいろなものがよく飛びますね。

10日にNPBが発表したところによると、公式戦で使用している統一球の反発係数を調べたところ統一球の反発係数の規定上限である0.4234を上回る「平均0.426」という数値が出たとのこと。昨年4月の検査では平均0.416だったと言いますから、昨年よりも「飛ぶボール」であると明らかになったのだとか。

この調査が本当に正しく行なわれたのか。実験ノートは2冊くらいしかないのではないか。資料画像はコピペではないのか。そういった前段の疑いは一旦スルーし、この調査結果が正しかったとしましょう。正しかったとしてもなお、やはりこのこと自体はまったく問題がない…僕はそのように思います。

野球の華はホームラン。現場で見る投手戦は、投手がスゴイのか打線がショボいのかわからない。しかし、ホームランは誰が見てもわかる。数秒間の沈黙と、歓喜・落胆の交錯。その瞬間ドッとわき立ち上がる大観衆。ホームランには雄大な夢があります。ボールをバットで引っ叩いたらスゴイ飛んだ。突き詰めれば、その大飛球を見るために野球というのはあるのではないでしょうか。

だから、基本的にボールは飛ぶほうがいいのです。

打ちすぎて試合が終わらないとか、打球が速すぎて客が危ないとか、別の問題を生じないかぎりにおいて。

本件においては「飛ぶボール」などと連呼し、あたかもそれが犯罪であるかのように非難する向きもあります。しかし、飛ぶほうがいいのですから、これは本義的には「いいボール」と呼ぶべきもの。選手会の一部からは「ボールのせいで生活が変わる」という意見もあるようですが、それは「いいボール」を使い華やかで夢のある試合が演じられたら、お客が増え満足度も上がり、選手の生活も必然よくなっていくという意味でとらえたいところ。

「飛ぶボール」ではなく「いいボール」。

「いいボール」で楽しい野球を見たいものですね。

ということで、開幕とゴールデンウィークの間をつなぐ定番の話題としての統一球問題について、今年も喧々諤々していきましょう。


◆去年の規定なら何の問題もないボールに急に嫌悪感出すおかしな世間!

まずは今回の調査結果についての確認から。反発係数の検査はこれまでも年数回行われており、今年は3月29日の使用球を6球場から1ダースずつ抽出して実施したとのこと。その結果、規定を上回る結果が出たのだとか。

↓東京ドームがもっとも飛びやすく、西武ドームがもっとも飛びにくいとのこと!
<プロ野球の統一球、基準より飛びやすかった NPB発表>

反発係数の検査は毎年3〜5回行っている。1回目の今回は3月29日の使用球を、6球場から各1ダース抽出。日本車両検査協会に委託して反発係数を計測した。NPBは統一球の反発係数を0.4034〜0.4234と定めているが、検査結果では5球場のボールの平均値がNPBの上限値を上回った。最も数値が高かったのは東京ドームの0.428で、最も低かった西武ドームでも上限ぎりぎりの0.423だった。

http://www.asahi.com/articles/ASG4B65LCG4BKJZR01H.html

何かこれだけ聞くと、インチキでゴムマリ使ってるみたいだな!

湿気とか気圧とかの問題もあわせて調査しないとよくわからない!


さて、そもそも、この反発係数はどこの誰が決めているのか。野球協約におけるボールの規定は「ボールはコルク、ゴムまたはこれに類する材料の小さい芯に糸を巻きつけ、白色の馬皮または牛皮2片でこれを包み、頑丈に縫い合わせて作る。重量は5オンスないし5オンス1/4(141.7g〜148.8g)、周囲は9インチないし9インチ1/4(22.9cm〜23.5cm)とする」とあるのみ。反発係数のハの字もありません。実は、今回取りざたされている反発係数の規定を決めているのは日本野球機構。要するに自分たちで決めた基準です。

↓日本野球機構は年明けの1月20日に、今季の統一球の規定を「0.4034〜0.4234」とすると発表!
日本野球機構(NPB)は20日、機構理事会と実行委員会を開き、セ、パ両リーグのアグリーメントに規定されている統一球の反発係数の基準値について、2013年の統一球の仕様に合わせ、「0.4134〜0.4374」から「0.4034〜0.4234」に修正した。統一球そのものは今季も昨季と同じ仕様のものを使う。

http://www.asahi.com/articles/ASG1N6JDMG1NUTQP025.html

ん?1月20日って、つい最近だな…?

要するにコレ「つい最近決まったばかりの自主ルール」じゃないのか…?


この記事中にある昨年の基準値「0.4134〜0.4374」。これに照らせば、今まさに取りざたされている「飛ぶボール」とやらは、去年までならまったく問題ない、基準内のボールであることがわかります。0.4134と0.4374の中間を取れば「0.4254」。この数字は、このたびの調査で2014年の統一球が平均値として記録した数値とほぼドンピシャで一致するもの。去年の規定で言えば「ほぼドンピシャで作られた、性能のバラつきもない、素晴らしいボール」とさえ言えるでしょう。

さらに昨年までならばこの基準範囲に対して製造上やむない誤差(公差)を「上下0.01」まで許容していました。そして、その公差も今年から廃止されているのです。去年なら公差を含めて「0.4034〜0.4474」におさまっていればよかったものを、今年の1月20日から「0.4034〜0.4234カッキリまで」としたわけです。

そして発表にあるように「統一球そのものは今季も昨季と同じ仕様のものを使う」わけです。昨年の基準に沿って考え出した昨年の仕様のボールを今季も使用しながら、年明けに基準だけ変わった…これは本当にミズノ社の製造責任であるとか品質管理を問うべき問題でしょうか。

もちろんNPB側から内々に「来年はちょっと基準下目にするつもりだから、先行して微調整しといてくれよ」と告げられていた可能性はあります。しかし、ハッキリ確実に基準が修正されたのは1月20日なのです。そこからわずか3ヶ月足らずの間に、あの大量のボールを微調整して生産することなどできるのでしょうか。結果として自主ルールから外れるものだったとして、それが「規定オーバーの違反球」と断罪するほどに問題があるでしょうか。

↓この大飛球も去年までなら世紀の一発だったのに、何となく「違反球でのインチキ大飛球」のように見えてしまうじゃないか!


試合後の村田:「一番飛んだ」
試合後の村田:「ハマスタで打った場外ホームランより、はるかに飛んだ」
試合後の村田:「日本人離れしてる」
試合後の村田:「モンゴルの血かも?家系を調べないと」

モンゴルwwwwwwwww

違うってwwwwゴムマリだからだってwwww


↓京セラドームでもバンバン天井に当たるのは「違反球でのインチキ大飛球」だかららしいぞ!


全部ゴムマリwwwwwww

痛烈なファウルが客にバンバン当たりそうwwww


しかし、どんなボールを使ったとしても、やることは一緒。みんなで同じボールを使っているのですから、そこに不公平はありません。今回の調査でも球場による環境の差も極めて軽微であることが確認されています。メートル単位で違いのある球場のサイズより、はるかにボールは「公平」なのです。

ホームランを何本打った、何点取られた、そういう基準で出来高契約でも結んでいれば都合の悪い人もいるでしょう。しかし、全員同じボールでやっているなら絶対数は変わっても、相対的な優劣というのは公平に出るはずです。

巨人の原監督は「コミッショナーが出したボールで戦う。全く疑心はない。与えられたボールで戦うことに、何ら変わりはありません」と言っています。その心意気やヨシ。ボールにケチをつけても仕方ありません。ボールが飛ぶほうが面白い試合はできる。その中で60本ホームランを打つ打者であったり、24連勝無敗の投手であったり、歴史を塗り替える働きを見せてこそ本当のヒーローと言えるのではないでしょうか。球に文句を言うヒマがあったら、素振りなり投げ込みをしてもらいたいものですね。

↓ちなみに先ほどのモンゴル系男性の感覚では「そんなに違わない」そうです!
<飛び過ぎ統一球/監督、選手らの反応一覧>

◆巨人村田(東京ドームで特大弾) そんなに大きな誤差ではないと思う。発表のタイミングについても自分は気にしていない。

http://www.nikkansports.com/baseball/news/f-bb-tp0-20140411-1283576.html

「モンゴルの血筋>>反発係数」ってことだなwww

発表のタイミングも最高にあてつけ感あるけど、心強いなwww


最近は佐村河内氏とかSTAP細胞とか、いろいろ猜疑心を煽る事件が多くありました。その影響か、今回の件にも僕は底意地の悪い猜疑心を抱いてしまいます。

NPBでは2016年シーズンを見据え、統一球の供給メーカーを決めるコンペを2015年初頭に開催するとしています。そこに参入を表明しているのがアメリカのローリングス社。もし僕がローリングス社から金をもらったNPB内部の裏切り者であったなら、「よっしゃミズノにケチつけたろ」「ミズノは飛びすぎって悪評立てたろ」「そしてゴムマリ御殿を建てるんや」くらい考えるかもしれません。

ミズノに特に肩入れするわけではありませんが、「飛ばない」ことだけを指向して、去年なら基準ドンピシャであったボールに突如として違反球のレッテルを貼り、国内メーカーを用具供給から締め出すようなことが万一にも起きたなら、日本野球に何のメリットがあるのでしょうか。

ミズノのボール、いいボールじゃないですか。カーンと飛んで。楽しい試合が見られて。いちファンとして、今年のボール、何にも気になりません。


空振りさせればどんなゴムマリもホームランにはならない!それは確実!