テンションMAXでライブ(打ち上げ)中のオリンポス16闘神。メンバーの本職は医者や大学教員、IT企業経営者などそうそうたる顔ぶれなのだが……?

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葛飾区・新小岩といえば、安くてうまい居酒屋がたくさんあるエリアとして有名だ。そんな新小岩を拠点に活動する、“ある意味世界規模”なバンドが存在するという。

オリンポス16闘神は2002年に結成されたミクスチャーメタルバンド。医者や大学教員、マンガ家、IT企業経営者など10数名のメンバーが在籍していて、その中からライブによりスターティングメンバーを変える、ざっくり言えば某A○B48のようなシステムを採用しているらしい。キャッチフレーズは“日本一音楽にこだわらないバンド”。
ちなみに彼らの“ライブ”にはライブハウスなどで行うライブと居酒屋にメンバーとファンで集まるライブ(打ち上げ)があり、非常にややこしい。

このバンドが“メンバーが大好きだから”という理由で、勝手に居酒屋チェーン「さくら水産」のテーマソング「マグロのアラ煮は80円」を制作。これが『潜入!リアルスコープ』(フジテレビ系)などメディアに取り上げられたことで「さくら水産」の売り上げがアップし、結果的にこの曲が「さくら水産」の公認ソングになってしまった。しかも番組放映時にはiTunesの世界ランキングで6位にランクインし、あのレディー・ガガやレッチリに“一瞬”はさまれるという快挙を成し遂げたそう。

これをきっかけに彼らは、世界初のBtoBtoC(企業の消費者向け事業をサポートする)バンドとして活動中。昨年7月には「大衆鳥酒場 鳥椿」の依頼を受けた公認テーマソング『チンチロリンハイボォォォル!』をリリース。12月にはメンバーが入り浸っているという「唐揚げ専門店 鳥丸」とのコラボを実現させ、やはり公認テーマソング『から揚げセラピー』をリリースしている。

と、いろいろ説明してみたがツッコミポイントが多いうえ、実態がよくわからないこのバンド。いや、バンドなのか!? さまざまな疑問を解決するべく、バンドの代表であるギターの長山マモルさんに話を聞いてみた。

――10年以上活動されているそうですが、結成当初はどういうバンド(団体)を目標にしていたんですか?
「元々仲のよかった連中で『なにかやろう』という発想でしたので、バンドという案は割と後でした。最初はドッジボールチームとか、どうせやるなら世界一になれるようななにかをしたい、と思っていましたが、全員音楽経験があった事もあって、『じゃあバンドでもやるか』という志の低いきっかけです。しかし各自の職業や思想が個性的であることから、現在は株式法人を目的として、いずれは国政に参戦、その後国家を創るというテーマで活動しております。結果として音楽から乖離した活動が増えて“雑音と素敵なサムシング浴びせる業界のツラ汚し”として確固たる地位を築いております」

――メンバーの方々が影響を受けたアーティストや著名人の方がいたら教えてください。
「ダイソーの矢野博丈社長です。『数年前まで“ダイソーは潰れる”と確信を持っていた』など、発言の数々が実にネガティブなことで知られていますが、結果的に前向きなところに共感しています」

――「現在の活動展開のきっかけになったのは「さくら水産」のテーマソングだと思うのですが、あの曲が世の中に意外にウケたことを、メンバーのみなさんはどう思っていましたか?
「さくら水産が好きで勝手に作った曲だったのですが、最初にテレビで紹介されたときには普段のライブ(飲み会)が放映されただけでしたので、その時点では特に感想はありませんでした。しかし非常に反響を呼び、さくら水産の本部から連絡が来たときは怒られるかと思い、恐縮しました。しかし内容はお礼だったことで、当初は歌詞を『さくらsweet sun』として、空耳的に『さくら水産』と歌っておりましたが、許諾をいただいて正式に歌詞に『さくら水産』として歌詞に入れられることになりました。この曲をきっかけに、今では私が経営するIT企業『ネットショップ総研』で、さくら水産のWEB運営管理を受託させていただいたりしています」

――最新シングルの『から揚げセラピー』も、お店とのコラボで公認テーマソングとしてリリースしたそうですが、どんな思いを込めて作られたんでしょうか? 
「10年以上多くのバンドマンとライブ(飲み会)を行う中で“バンドマンが最も好きな食べ物は唐揚げである”というリサーチ結果が事前にありまして。無論僕自身も馬鹿みたいに唐揚げが大好きです。僕にとって唐揚げは食べ物を超えた『癒し』であってセラピーであると考え、事務所近くの鳥丸さんの唐揚げを食べながら歌詞を書きました。この歌では一般的な商品テーマソングと違い、必ずしも讃えているだけではない事が特徴です。いくら美味しくても食べ過ぎると太っちゃうよ、という健康志向なメッセージも含めており、およそテーマソングにはあり得ない“痛風”とか“糖尿”とかそんなワードも入っております」

――次はどんなお店や業界とコラボしたいと考えていらっしゃるか、嘘でもいいので教えていただけると……。
「鉄鋼業界とコラボしたいですね! メタルというワードの関連性のみです。あとは僕がサウナ大好きなのでサウナ業界とコラボしたいですね。実はすでに『汗と泪と男とサウナ』というサウナをテーマにした曲も作っていて、日本サウナ協会に持ち込んだのですが、大人の対応で丁重にお断りいただきました」

――(笑)。曲を聴いたり、ライブを見ている実際のファンの方からはこれまでにどんな反応がありましたか?
「私共はありがたくも楽曲クオリティは高く評価いただく事が多く、ステージパフォーマンスも、楽器パートで“ほら貝”や“和太鼓”、“演説”といったメンバーも居ることから“インパクトが凄かった”という感想をいただくことが多いです。しかし本当のライブ(ライブ後の打ち上げ)が残念ながら最も高い評価を得ることが多く、最近では煩わしい演奏を排除して、最初から打ち上げを行うという暴挙が好評を得ております。『(秋葉原で)いつでも会えるアイドル』がA○B48の立ち上げコンセプトだったようですが、多くの指摘がある通り、すでにこのコンセプトは崩壊しています。対して私共は『居酒屋で会える社会人』なんですが、何の変哲もないただのオジサンですね」

――2/1には久々に正真正銘のライブに出演されるそうですが、意気込みを聞かせてください。
「食品衛生管理者の資格を持つバンドスタッフがおりますので、当日は会場でハンバーグをふるまいます。最上級の肉を5キロ使用し、『安心・安全・美味』を掲げ、スパイシーなサウンドを香辛料として至極の肉をたしなむ『ハンバーグライブ』で、さしずめ『ライブハンバーグ』と言ったところです」

――ライブ以降の今後の予定は?
「今年はジャイアンの次くらいに新曲が期待されないオリンポス16闘神の3rdアルバムが発売されます。従来アーティストが新譜を発売時に行う“レコード発売記念ライブ”という事を一切行いません。そんな供給者論理は押し付けません。私共はカスタマーサティスファイを追求した結果、新譜発売時には“レコード発売BBQ”を行ってきております。熟練の調理師、機材をふんだんに活かし、より良い食の安全を供給してまいります」

……最終的には食の安全を叫ばれてしまったのだが、彼らが何者なのかは正真正銘のライブや音源でぜひ確認してほしい。彼らがただの食いしん坊ではないことは保証します。
(古知屋ジュン)

『青春プログレッシブナイト Vol.3 ナミダロジック presents』
会場:高円寺CLUB LINER
※東京都杉並区梅里2-9-11 小池ビルB1
日時:2月1日(土)開演時間未定
出演:ナミダロジック/The JFK/地球コーラ/river(ロマンチック日本代表!!!)/
オリンポス16闘神/ほか
◆入場料未定