こちらは、桂由美氏がデザインした『世界最薄のシルクで作ったウェディングドレス』。

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皆さん、お正月はいかがお過ごしでしたか? 私の周囲には、海外旅行をチョイスするタイプが多く、楽しそうでした。しかし、帰国後の彼ら彼女らからは、このようなセリフをよく聞きます。

「やっぱ、日本が一番だわ!」

確かに。我々はつい見過ごしがちになっているが、日本にこそオンリーワンの技術が溢れているのです。それを再確認させてくれるのは、日本科学未来館にて5月6日まで開催される「THE 世界一展〜極める日本! モノづくり〜」。
この企画展会場内には世界でオンリーワン・ナンバーワンの価値を持つ200点以上もの製品・技術が一堂に会し、日本の技術文化をわかりやすく説明してくれるらしいんです。
そんな興味深きイベントへ、私も実際に行って参りました!

さて、まず個人的に注目したいのは、戦後高度成長期に開発されたプロダクトたち。この中には、世界を変えた製品が数多く存在します。例えば、「音楽を運ぶ」という新概念を生み出した『ウォークマン』(ソニー株式会社)。当時は「録音機能のないテープレコーダーは売れない」という声も上がったものの、社内の反対を押し切り開発された商品だそうです。新しい音楽の楽しみ方は世界中の若者達に支持され、現在までに多くの類似製品が製造されています。

「インスタントラーメンを国際商品に」と容器入りのアイデアを元に商品化された『カップヌードル』(日清食品株式会社)も、見過ごせません。“ヌードル”という麺の呼び方も食べ方も斬新で、爆発的人気商品に。2011年には累計販売数が310億食を突破し、今では世界80ヶ国以上で発売されています。

いや、何も派手なプロダクトばかりに目を向ける必要はない。日常生活で何気なく使っているアイテムにも、世界一の技術は数多く用いられているんです。
衣食住の「衣」に目を向けると、特殊な二重構造で紫外線や暑さを防ぐ『ソルシールド』(三菱レイヨン株式会社)。太陽光を熱に変えて赤外線を放射し、理想的な温かさを実現する『サーモトロン・ラジポカ』(ユニチカトレーディング株式会社)。品質への信頼性は日本一を誇る、YKK株式会社の『ファスナー』等。
「食」ならば、1958年に松下電気器具製作所(現・パナソニック製作所)が開発した、寝ている間にご飯が炊ける『電気炊飯器』。食欲を喚起する“リアルさ"や本物以上に美味しそうな“シズル感”を兼ね備えた、いわさきグループの『食品サンプル』。1970年代に誕生した「カニ風味蒲鉾」によって世界的カニカマ市場を開拓した、株式会社ヤナギヤの『カニカマ製造装置』。
「住」に関して言えば、LEDに続く次世代照明として注目されているLumiotec株式会社の『有機EL』。泉製紙株式会社が開発し、トイレットペーパーにも活用されている『古紙再生技術』などなどが挙げられます。

ちょっと肩の力を抜いて「遊」カテゴリに目を向けても、やはり日本ならではの技術は数多いですね。
「日本の子どもたちに国産車のミニカーを届けたい」との思いから生まれた『トミカ』(株式会社タカラトミー)は、現在まで850種以上、5億台を超す販売台数を誇っています。日本のヴァーチャル歌姫『初音ミク』(クリプトン・フューチャー・メディア株式会社)のコンサートは国内外で行われており、その人気は世界レベルで広がりを見せています。動物を飼えない人々のために開発されたロボット『Paro』(株式会社 知能システム)は海外での評価も高く、世界20ヶ国で試験的に使用されている。
「ヨーロッパでこういう製品の開発は、有り得ないことです。神が生き物を作っており、それに反する行為になります。しかし日本人は物に魂を、そして動物と同じような感情を込められます。『鉄腕アトム』もそうですが、社会がそれを理解でき、研究費を出せる国なんです」(同展を監修した「国立科学博物館」鈴木和義氏)

他にも、展示品は盛りだくさん! でも、とても紹介しきれません。
「基準を満たすことは不可能」とまで言われたアメリカの排ガス規制法「マスキー法」を世界で初めてクリアした『CIVIC CVCCエンジン』も、世界初のコンピュータ制御式イカ釣り機『はまで式全自動イカ釣り機』も、今や生活に不可欠となった『おサイフケータイ』も、全て日本の“モノづくり"の結晶。
日本企業の低迷が懸念されている昨今だけども、実は日本のモノづくりはますます意気盛ん。世界シェア100%近くを誇る企業もひしめいています。
(寺西ジャジューカ)