牧野コーチに先導していただき、代々木公園をランニング。気持ち良かった!

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「寒いから暖まろうか」というセリフがあるが、その通りだ。体を動かし、汗をかいて暖まりたい。いや、変な意味じゃなくてですね……。

というわけで、行ってきました! ミズノはメディア関係者に向け、「冬からはじめるランニング」なるイベントを開催。「走る」どころか「歩く」機会さえうなぎ下がりの自分にとって、スルーできない学びの場となる予感がします。

さて、講師として現れたのは「Japan マラソンクラブ」代表である牧野仁コーチ。
「新年会、お正月などの大イベントによって、この時期は“冬太り”を起こしやすいです」(牧野氏)
そうなんですよ! でも、不思議でもある。だって冬は寒いので、体が震えますよね。この時、自分の体の中で体温を上げようとする動きがあり、結果、代謝は上がります。……なのに、どうして体重が増えるんですか!
「理由は簡単で、外出しないからです(笑)」(牧野氏)
外出しなければ体も震えないだろうし、代謝も落ちていく。したがって、熱効率は悪くなっていく。
「さらに、注目は『食欲』です。夏場を起点に、食欲って上がっていくんですね。暑い夏には『サッパリしたものを食べよう』と思いがちですが、冬場には鍋から雑炊に行ったり、食欲がピークの季節になります」(牧野氏)
代謝が下がって食欲がピークになると、食べたものは脂肪となるだけ! ここで、食い止めるべき一手が必要となるな……。というわけで、マラソンがクローズアップされてくるわけです。

ここで一つの“大いなる誤解”について、牧野コーチは言及してくれました。よく、「20分以上運動して、初めて脂肪が燃焼し始める」なんて話を聞きます。でも、そんな事実はないらしい。
「運動によって燃焼するのは、実は『糖』なんです。脂肪が糖に変換し、初めて脂肪が燃焼する状態となります。もっと言うと100メートル競争などの無酸素運動でも、1パーセントくらいは脂肪も燃えます。ただピークを考えると、20分以上の継続により『脂肪4:糖6』の割合で燃えていくようになります」(牧野氏)

そしてもう一つ、ワンポイントアドバイスが。どうやら、痩せるには「強度の弱い運動」が最適なようです。……その「強い」「弱い」がわからない。まず「強度の強い運動」としてサッカーや野球が、「強度の弱い運動」として自転車やランニングが挙げられることを覚えておいてください。
「酸素を上手く取り込むと脂肪が燃えるのが『有酸素運動』で、酸素を取り込まなくても勝手に汗が出たり熱を生み出すのが『無酸素運動』です。強度が強いサッカーや野球などは瞬発的に動く場面も多く、これらは『無酸素運動』に当てはまります。一方、マラソンやランニング中に強度を弱くしてあげると、脂肪燃焼の効率は高くなっていきます」(牧野氏)
厳密に数字化すると、心拍数「120〜140拍/分」が脂肪燃焼しやすい運動のレベルとされているらしい。
「走りながら会話ができるくらいのレベルだとイメージしてください。あまり喋り過ぎると、呼吸がキツくなって脈が上がり、脂肪燃焼の効率が悪くなりますが(笑)」(牧野氏)

もちろん、痩せるには“走り方”も重要です。
「猫背になると、肺が小さくなるんですね。だから背筋が伸びている状態が続くと多くの酸素が入っていき、血管にエネルギーも熱も回る。結果、脂肪燃焼が上がっていきます」(牧野氏)

そして、またしても“大いなる誤解”について。
「走る時、『汗を出した方がいいんじゃないか?』と、サウナスーツを着る方がいらっしゃいます。でも、例えばボクサーは減量目的で着ているわけです。それは汗を出し、数字が減らしているだけなんですね。体の中身が減っているのとはワケが違います」(牧野氏)

なるほど……。では、次はいよいよ「夏」と「冬」の違いについて解説していただきます。まず、「夏」の方から。
「夏は体の中身として、手先から足先まで36度ならその体温の熱を持ちます。そこから体が熱くなっていくと、熱を外に出して冷やしてあげようとする。言わば、体の中にクーラーを入れている状態ですね。体の外に汗が出るというのは、エアコンで言うと外気の働きです」(牧野氏)
熱を外に出してあげれば、体も涼しくなっていく。もっと言うと、体を動かさないようにしようとする。これが、夏における我々の体だそう。

ところが冬場の場合、体の中が温かくなろうとします。
「冬は、体が震えて縮こまりますよね。体内を温めようとし、全身で熱を生み出そうとする。したがって、手先に血液が回っていない状態になります。秋から冬にかけて起こる『冷え性』は、まさにこうした現象の一つです。さらに人間の体は、動かしていないと毛細血管の数が少なくなってきます。ということは全身に熱が回らないから、代謝も下がっていく」(牧野氏)
そんな時、持久走のような運動をすれば毛細血管がドンドン増えていくとのこと。プラス、手袋やネックウォーマーといったアイテムを活用すれば、全身に熱が帯びていきます。

そして痩せる“冬のランニング”には、こんなアイテムも効果的。
「脂肪を燃焼させる際は、エネルギーを生み出す『クエン酸回路』が重要です。この回路については、観覧車をイメージしてみてください。ここが一周すると、エネルギーがドサッと生み出されるのです」(牧野氏)
この観覧車、糖と酸素をくっ付けた状態で乗ると回りが良くなるとのこと。さらに、そこに水を加えてあげると、もっと良く回ってくれる。エネルギーを出してくれるから、脂肪も燃えやすくなる。……というわけで、冬のランニングの際は「温かいドリンク」による水分補給を欠かさないでいただきたいのです。
また、水を摂ると汗が出る。吸汗速乾のウエアを着用することも大事になってきます。

さて色々と予備知識をご教授いただきましたが、肝心な要素が一つだけ残ってました。
「運動をし始めるもその強度が一定だと、急激に心拍数だけが上がります。マラソンの場合、最初はウォーキングからスタートし、徐々に脈が上がるくらいのペースの方が良いです」
「ランニングが終わったら『はい、終了!』ではなく、クールダウンも大事です。例えば公園を一周したら、歩いて帰ってくる。そうすると脈は、急激にではなく徐々に下がっていきます。歩いている間も、脂肪は燃焼していますからね」(牧野氏)
急に運動をストップすると、体が急激に体温を下げにかかってしまいます。結果、汗が多量に出ることになる。この現象、冬場は特に気を付けないといけない!
「さらに、マラソンには良い効果があるんです。一日一回運動すると、体はその熱をおよそ24時間持ち続けます。ということは、運動している人の方がしていない人より一日における燃焼カロリーが多くなりますよね。だいたい、約2倍は燃焼します」(牧野氏)

さあ、ここまでの講義で“冬ランニング”の重要性は十二分にインプットされました。ここからは、いよいよ実践編。ミズノの新作ランニングシューズ『WAVE RIDER 17』を履いて、代々木公園を実際にランニングしてみようと思います! まずは10分弱を費やし、徒歩で代々木公園に向かいましょうか。このくだりが、まさにウォーミングアップにあたるわけで。
さぁ、到着しましたよ。ここで牧野コーチから靴紐の結び方や姿勢についてアドバイスをいただき、それを踏まえて出発! ペースは、本当に無理の無い速度をキープします。本当に、お喋りしながらでも無理のないスピード。すると、およそ20分弱で一周(約2キロメートル)を走り終えちゃいました。あっという間だったし、爽快だし、それでいて効果はあるみたい。なんか、いい事だらけじゃないですか!
さぁ、ここからは歩いて帰りましょうか。このくだりは、いわゆるクールダウンの役割を果たしています。大事!

ちなみに人間の最も体温が高い時間帯って、御存知ですか? 実は15〜18時の間らしいのです。当然、この時間に運動すると熱効率も良くなる。言わば、マラソンのゴールデンタイム。これらの情報を総動員したら、きっと痩せます! ……もちろん、油断は大敵ですが。
「“冬マラソン”で痩せた人は、そこからが勝負です。週2〜3日で運動を続けていけば、一ヶ月後にはまた体重が減っているはずです。習慣になれば、自分の体は変わりますから」(牧野氏)
リバウンドを防ぐための、ラストアドバイスでした!
(寺西ジャジューカ)