【心理実験】「本物のプロ」が道ばたで3.5億円のバイオリンで演奏→「誰も見向きもしない」

写真拡大

才能に長(た)けた貧しい人たちが「地下鉄」などの場でバイオリンやギターの演奏をしてお金を集める光景は、海外ではよく目にする。

一日に何百、何千もの人が行き交いする中で、実際にお金を渡す人はどのくらい存在するのだろうか。そして、すてきな音色に耳を傾けている人たちはどのくらい存在するのだろうか。

そんな疑問を抱いたのは、ニューヨークでも名高いバイオリニストであるジョシュア・ベル氏。

「最も高額で売れる曲を作った現代のバイオリニスト」として知られているそんな彼が、ある実験を試みた。実験内容は至って簡単なもので、ニューヨーク都心部の地下鉄で数時間バイオリンを演奏してみるというものだ。ピュリツァー賞にも輝いたこの実験の結果は以下の通り。

演奏4分後:女性が帽子に小銭を投入。演奏に耳は傾けぬまま、足早に去る。

演奏6分後:地下鉄が来るまでの数分の間に耳を傾けた男性も、列車が到着したと同時にその場を去る。

演奏10分後:3歳の男の子が母親に言われお金を帽子に投入。男の子が興味深い様子で見ていると「行くわよ」と母親が手を引っ張りその場を去る。

演奏45分後:6人が数分間足を止めたが、すぐその場を去る。20人が金銭を投入し、集まった金額は35ドル。

演奏1時間後:演奏を終えたベル氏に気付いた人は誰もおらず、拍手をしてくれた人はもちろんいない。

ちなみに、ベル氏がこの実験を行った前日に、彼は「1席100ドル」のコンサートを市内で行っており、この実験ではコンサートで使用したバイオリンと同じものを使用している。そして、そのバイオリンはなんと3億5,000万円相当のものだ。

この実験は「人の才能は普段と異なる環境に置かれた時に気付いてもらえるのか」「人は足を止めてシアワセを見つけることができるのか」という質問を世界中の人たちに問いかけるキッカケとなり、現代社会における「冷めた心」の問題を提起するかたちとなった。

※当記事は、ハイブリッド翻訳のワールドジャンパー(http://www.worldjumper.com)の協力により執筆されました。

参考:Do you have a moment for pure genius?
http://blog.longnow.org/02011/05/17/do-you-have-a-moment-for-pure-genius/