台数が桁違いに小さいため大手メーカーが無視するような「ロングテール製品」にフォーカスする超ミニメーカーが勃興する兆しがある。彼らの武器は新「3種の神器」である。

総計1万個に満たない数しか出ないような消費者向け製品は大手メーカーにとっては勘定が合わず、企画段階で却下される。しかし多少高価でも「自分だけの商品」や独特のデザインを欲しがる、コアなユーザー向けの「ロングテール製品」(ネット販売を前提にしたニッチ商品群)の領域が世の中では着実に拡がっている。

こういうのはファッション品が先行したのだが、今や家電や自動車部品などの大量生産モデルの典型製品でさえ、1個〜数10個単位で製造し販売するケースが出てきた。造り手は数人〜10数人という超ミニメーカーが主流であり、「1人家電メーカー」さえ登場している。その最大の武器が、価格が1〜2桁下がった3D-CADソフトと3Dプリンターである。特に後者には最近注目が集まっている。

これらを活用することで、従来なら数週間かかったような試作工程が、速ければ2〜3日で済んでしまう。3Dプリンターのデータを送ればすぐ試作用部品を作ってくれる工房があり、翌日には届く。それで設計が固まった試作品をもとに量産工程に移ることで、開発・設計コストは大幅に抑制できる。

従来の「型」による生産方式では難しかった中空(ちゅうくう)構造など、複雑な構造もお手の物である。プラスチックなどで均一に出来上がるタイプのものであれば、3Dプリンターさえ手元にあれば1個ずつ製品を「生産」できる。究極の多品種少量生産である。とはいえ多くの場合、3Dプリンターでの制作に向いているのは最終完成品より部品である。プリント「生産」したパーツを使って、電子回路などを組み込んで製品を組み立てるのが、今の「ロングテール製品」の生産方式の典型パターンである。

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