「オランダは小国だから……」。オランダのサッカー関係者に話を聞けば、2人に1人はこのフレーズをまくらに話し始める。人口わずか1600万の小国が、強国でいられる理由は、あえて小国を装おうとする姿勢にある。小国には常に危機意識がある。うっかりしているとやられる。だから考える。頭を使い作戦を練る。受け身になりがちな強者に対し、敢闘精神旺盛に向かっていこうとする。オランダのサッカーが守備的ではない理由だ。

大国は受けに回りがち。安全策に出ようとする。だとすれば、小国は無欲で打って出るべき。攻撃的に行くべきなのだが、日本はどちらなのか。大国なのか、小国なのか。強者なのか、弱者なのか。その意識が希薄なように思う。

前々回のメルマガでも触れたが、相手との力関係を冷静に分析する能力に欠けている。というか、積極的に分析しようとはしない。そのあたりをすっ飛ばし、躊躇うことなく強者になりたがる傾向がある。予想は概して楽観的だ。「行ける、行ける」と煽ることと商売とが、あまりにも密接に関係しているからだが、それはサッカーに向いた気質とはいえない。

ネガティブな発言ばかりするなと各方面からよくお叱りをいただくが、僕としてはそれこそがポジティブな発言だと思っている。弱者でいる方が喜びはある。サッカーとはそう言うスポーツだと僕は思う。