北京大学アフリカ研究センター秘書長の劉海方准教授はこのほど、西側諸国にある「中国はアフリカで新植民主義を進めている」との見方に反論した。中国は平等と尊重というどだいの上にアフリカに対する援助政策を実施して、ウィン・ウィンを実現していると主張した。中国新聞社が報じた。

 ガーナで11月に開催された20カ国の首脳が出席した会議で、胡錦濤主席は、中国がアフリカ諸国に対する関税の減免措置を堅持すると述べた。劉准教授によると、関税の減免措置が背景にあり、対中輸出を考える中国企業がアフリカへの進出を進めているが、進出先の技術や工業の水準を引き上げて、現地経済の発展を大いに引き上げている。現地の就業機会も増大させるなどの効果も大きい。

 中国の対アフリカ投資は2010年に100億ドルを超え、2003年末の20倍に達した。農業、製造業、建築業、鉱業、金融業、商業など各分野で1600社以上がアフリカに投資し、雇用した現地人は8万人を超えたという。

 欧米では最近、中国のアフリカ進出を「外科手術式の植民地主義」とする批判が高まっている。自然を破壊してまでも、資源を“根こそぎ”取っていくとの主張だ。

 劉准教授は「あるいは忘れてしまったのだろうか。西側国家が数百年にわたり実施した植民地活動こそ、まぎれもない略奪史だった」と主張。中国のアフリカとの接し方について「中国は子どもに飴(あめ)を与えるサンタクロースではない。しかし、西側メディアが誹謗(ひぼう)するような植民地主義では絶対にない」、「アフリカとの協力は一貫して、互恵原則にもとづいたものだった」と述べた。

 劉准教授は中国のアフリカ進出の一例として、スーダンにおける石油事業を挙げた。西側諸国はスーダンで原油を採掘するが製油所は建設しなかったため、同国は巨額の費用で製品油を輸入するという状態が続いていた。

 一方、中国企業の中国石油天然気集団は2000年、スーダン政府と契約して、中国企業が海外で手がけたものとしては最大規模の製油所の建設に着手した。進出に当たっては、油田周辺の荒野4万平方キロメートルの緑化事業を推進するなど、公益事業にも力を入れたという。

 劉准教授は中国政府の奨学金により、中国は2007年9月末までにアフリカ人の留学生延べ2万1000人を受け入れてきたと説明。中国で学んだアフリカ出身の自費留学生も延べ8000人に達するという。

 劉准教授は、「中国がアフリカ人留学生を引きつける理由は奨学金だけでなく、もっとも主要な理由は、中国が彼らを平等に扱い、尊重しているからだ」と主張した。

**********

◆解説◆ 中華人民共和国は成立当初から対アフリカ政策を重視した。当初は「植民地解放の支持」という大義名分があり、その後は米国諸国との西側ともソ連とも対立した国際情勢の中で、「仲間を確保する」という意味合いが強まった。1970年から75年にかけては、自らが貧困に苦しむ中でタンザニアとザンビアを結ぶタンザン鉄道の建設を全面的に支援した。

 1990年代からは、アジア・アフリカ諸国との関係で「資源確保」の側面が強まった。西側諸国が人権問題などを問題視する国に対しても中国は「内政不干渉」を理由に接近したので、批判の声が次第に高まった。

 中国政府はアフリカ諸国などに対して一貫して平等、相互尊重、相互互恵などの政策を主張している。ただし、庶民の次元でみれば、開発が遅れている国の人を見下すような発言をする人も珍しくない。

 中国製品の氾濫(はんらん)や、粗悪製品の多さで中国に対して反感をつのらせるアフリカ人も多いとされる。(編集担当:如月隼人)