世界で460万本出荷の化物ゲーム、「バットマン・アーカムシティ」。街中に巣食う犯罪者達の狂った世界観が楽しいのなんの! バットスーツに身を包み、アーカムシティーを飛び回れ!

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ヒーローっていいよねー。いいよー。
困ったときに助けてくれるヒーローが心にいるだけで元気がわくよー。
でもヒーローって大抵何らかの能力を持っていますが、そうじゃないヒーローもいます。
世界的に有名な、能力を持たないヒーローの筆頭がバットマン。
コウモリを模したスーツに身をまとう世界的ヒーローの彼ですが、色々なアイテムを使って切り抜けはするものの彼本人は全くの普通の人間というのが最高に魅力的なんですよね。
 
そんな彼を主人公にした「バットマン・アーカムシティ」がが、PS3版とX-BOX360版で日本でも発売になりました。
アメリカとヨーロッパでは売上本数なんと一週間で460万本出荷という化物ゲームです。
前作の「バットマン・アーカム・アサイラム」もとんでもない高評価を得てめちゃくちゃな本数売れたのですが、日本では一部でしか話題になりませんでした。
これはもったいないですが、仕方ない。いかんせん「バットマン」への思い入れが海外と日本では違いますしね。
しかし今回の「アーカムシティ」本当に面白い。
前回は精神病院「アーカム・アサイラム」が舞台でしたが、今回は街全体を犯罪者収容所施設(施設か?)にしてしまったため、動き回れる自由度が増しまくり。
考えてみたらすごい話ですよ、「犯罪者は全部この町にぶちこんどけ」ってわけですもの。
バットマンもここに放り込まれ、世界では有名なヴィラン(怪人・犯罪者)と街中で戦うんだから、こりゃ楽しくないわけがない。
 
街全体が舞台って広くてめんどくさくない? と感じるかもしれませんが、グラップルを使いこなすことでスパイダーマンみたいにあちこちスイングしながら町の中をすいすいとびまわれます。マントでグライドもできるので、遠くのビルまでひとっ飛び。まさにコウモリ。
とはいえ、「アサシンクリード」や「グランドセフトオート」ほど自由ではありません。悪人は殴れるけど一般人は殴れませんし、やりきれないくらいたくさんのサイドミッションはあるものの、町壊したりゴミ箱蹴っ飛ばしたりするほどフリーダムには動けません。
けれども、それをはるかに凌駕するくらいこの作品楽しくて仕方ないポイントがあります。
1つ目は爽快感。殴り合いでもボタンひとつで簡単につながるコンボ、それでいて多彩な技を出すこともできるし、スロー演出でパンチの重みが半端ない。移動、攻撃、探索と、何から何までかゆいところまで手が届き、スピーディーです。
2つ目はバットマンが人間なので打たれ弱いこと。スーパーマンじゃないのです。銃で撃たられたらすぐ死にます。まじで。そのかわりちゃんとコンボで武器破壊もできるという安心設計。腕を磨きましょう。
3つ目は狂った雰囲気とキャラクター達。これが最大の魅力です。犯罪者・怪人達がとにかくクレイジー。ただの夜の町ではなく、狂気に満ちた町として作りこみまくられています。歩きまわるだけで楽しいのなんの。
少し、今回登場するバットマンの有名なヴィラン達を紹介してみます。
 
ジョーカー
言わずと知れたバットマンの天敵にしてライバルにして、対になる存在。映画「ダークナイト」でも強烈な役柄として描かれていました。
かなりの狂人で、ピエロメイクに派手なスーツ、数々のおもちゃのような武器でバットマンを邪魔し続けます。バットマンを追い詰めるためなら人殺しなんて平気でする男で、犯罪は彼にとってはゲーム。完全犯罪をせずに、犯行後にジョーカーのトランプを置いて回るのは今回も健在。
バットマンは絶対に犯罪者を殺さない、というのを逆手にとり、残虐な道化を演じながらバットマンを挑発しつづけます。「アーカム・アサイラム」のラスボスであり、今回の「アーカムシティ」でもバットマン最大の難敵になります。なんせ殺せないですから。犯罪あるところにジョーカーあり、ジョーカーあるところにバットマンあり。

リドラー
日本では「ナゾラー」と言われていた、ハテナマークと緑の服が目印の奇抜なヤツ。どうしてもその妙な格好と「なぞなぞ」がメイン、特に強いわけでもない、ということで目立ちづらいキャラですが、今回はほぼメインの敵キャラ。町のあちこちになぞかけの「?」を仕掛けているのですが、それを解かないと人質をどんどん殺していく極悪人に仕上がっています。今までのデザインの中でも、聡明にして狂気に侵された人間らしさがにじんでおり、目を合わせるとなかなか怖いです。ジョーカーのけたたましい笑いと正反対の、静かな笑いが恐ろしい。
クエスチョンをしかけるのは、自分の超天才頭脳をバットマンに越えさせるため。認知欲求の異常に強い復讐者です。

ペンギン
映画「バットマン・リターンズ」で有名になった、シルクハットにタキシード、武器をたんまり持っている異形の犯罪者。
ゲーム版では異形性はあまり強くなく、金持ちの狂えるコレクターとして登場しています。性格がころころコミックスでも変わってるキャラですが、悲惨さやコメディさはあまりなく、強欲で相手をいたぶることを楽しんでいる怪盗紳士、イライラするほど腹のたつ存在がゲーム版。
彼の性格が最もよく現れているのは博物館。ペンギンの巣窟になっていますが、博物館の展示品のかわりに殺した人間の死体をたくさん並べている狂気っぷりは一見の価値あり。夜の博物館はただでも歩きたくないのに!

トゥーフェイス
身体の半分に硫酸を浴びて大やけどをした、元地方検事。今やすっかりバットマンやキャットウーマンを恨む犯罪者になりました。自分の行動はすべてコインの裏表で決めるのも原作通り。
映画や原作ではかなり複雑な過去を持つバットマンの代表的な敵の一人として描かれていますが、ゲーム版では割りとアホな感じで登場。さっくり倒せちゃうあたりのへっぽこぶりが逆に楽しいです。手下にみんな半分顔のマスクをかぶせているのもへっぽこ。

ハーレクイン
元々はアーカム・アサイラムのカウンセラーだったのが、ジョーカーにすっかり魅せられて情婦になったのがハーレー。ジョーカーの手下としてバットマンを追い詰めます。
が、ジョーカーもそこまでハーレーが好きってわけでもなく、バットマンいわくハーレーはそんなに賢くない、とのこと。
なんとも言えない哀れなキャラです。ちなみにすごいかわいい。ぼくの好み。

ミスター・フリーズ
映画ではシュワちゃんがやっていた役。今回はゲームでもメインをはるほど目立っています。
零度以下でしか生きられない身体の低温学者で、冷凍スーツと冷凍銃を身にまとった強敵。倒すのに非常に苦労することになるはず。
心まで凍った冷たい男に見えますが、ものすごく妻を愛している男で、絶対他の悪党と手を組まない中立派。今回はゲームでバットマンを苦しめることになりますが、物語を見ていけばきっと好きになること間違い無しのナイスガイ。

ラーズ・アル・グール
何世紀も生きてきた不死身の魔人。他のキャラの様な狂ったデザインではなく、男前すぎる様子で登場します。
環境破壊し続ける今の人間の世を見て滅ぼすことを考える思想家であり、テロリスト。ニンジャのような部隊を手下に引き連れ、バットマンを後継者にできないかと企んでいます。娘のタリア・アル・グールはバットマンと恋に落ちたこともあり、そのへんも今回出ているので必見。

マッドハッター
ある条件を満たすと登場するサイドミッションキャラ。名前の通り不思議の国のアリスの帽子屋の格好の敵です。
人の心を操るのが得意で、「アリス」世界のような狂気に相手の精神を落としこむのが得意な犯罪者。

ミスター・ザズー
やたらバットマンに電話をかけてくる、かまってちゃんな殺人鬼。電話に間に合わないと人質を殺す困ったちゃん。
人を殺しては身体にキズを付ける、というのが彼の生きがいという超電波さん。電話がかかってくるたびにハラハラします。

他にもポイズン・アイビー、ベイン、クレイフェイスなど、バットマンの主要ヴィランが続々登場。知っていても知らなくても、存分に彼らの狂った世界を楽しめます。
ポイズン・アイビーやキラークロック、スケアクロウは「アーカム・アサイラム」の方で活躍するので、興味のある方はそちらも是非。
やっぱり「バットマン」の魅力は、普通の人間が正義のために戦うけれども、どこまでが正義でどこからが犯罪か分からない、という部分を突き詰めたら狂気になる、ってとこだと思うんですよ。
それをゲームにした本作はすごい。ストーリー追っていくたびに、ジョーカーのいうことがどこまで正しいのかわからなくなりますぜ。
(たまごまご)