香港アジア電視台が6日午後6時のニュース番組で、中国共産党前総書記・国家主席の江沢民氏(写真)が死去したと報じたことで、同日から7日にかけて、各メディアがさまざまな報道を繰り返すことになった。新華社が7日正午ごろに、江沢民氏の死去を「純粋な噂」と否定することで、とりあえずは決着がついた形だが、中国国内では強い報道規制が敷かれているとみられ「噂」が発生したことすら伝えられていない。

写真拡大

 香港アジア電視台が6日午後6時のニュース番組で、中国共産党前総書記・国家主席の江沢民氏(写真)が死去したと報じたことで、同日から7日にかけて、各メディアがさまざまな報道を繰り返すことになった。新華社が7日正午ごろに、江沢民氏の死去を「純粋な噂」と否定することで、とりあえずは決着がついた形だが、中国国内では強い報道規制が敷かれているとみられ「噂」が発生したことすら報じられなかった。

 7日午後5時15分現在、国営の新華社、中国新聞社の運営するニュースサイト、中国共産党系の人民日報のニュースサイトともに、「江沢民氏に関する最新情報」は、いっさい掲載されていない。中国国外では「江沢民死去」、「昏睡(こんすい)状態」、「生命維持装置で心臓だけは動いている」などさまざまな“情報”が乱れ飛んだが、中国国内の国民は、当局により報道から遮断された状態になった。

 ただし、さまざまな手段で情報を入手する人も多く、ミニブログなどで江沢民氏の死去を論じたり、各種ジョークの披露も相次ぎ、掲載と削除の「いたちごっこ」が発生することになった。

 当局の情報統制能力はいまだに相当な「威力」を持つが、インターネットなどの民間向け通信機器の発達で「ほころび」も目立つようになり、情報の透明性に対する庶民の不信感がさらに増大するという、昨今の「中国情報事情」を象徴する結果になった。

 江沢民氏は、胡錦濤現政権と対立する「上海閥」のシンボル的存在とされ、その動向は次期政権や党・政府上層部の人事に大きく影響すると考えられていることから、中国国外での報道が過熱したと考えられる。1989年の「天安門事件」に対する評価も、江沢民氏らの存命中は不可能との見方もあった。

 江沢民氏は7月1日の共産党成立90周年の祝賀大会にも欠席していることから、体調が万全でないことは、確実視されている。(編集担当:如月隼人)



■最新記事
中国共産党90周年…祝賀大会に元幹部の姿、江沢民氏は欠席か
江沢民前主席の“養父”江上青の生誕100年記念、盛大に=江蘇
温家宝首相の「仕事」に高い評価…「90点以上」7割超…中国人
中国次期指導者が「愛国教育」を肯定=習近平副主席
胡錦濤主席が国防大学代表に会見…江沢民思想に言及・習副主席同行