インテルに移籍し6試合目で初ゴールをあげた日本代表DF長友佑都の活躍が、ついにイタリアのお隣フランスでも語られるようになった。

 フランス最大手のスポーツ紙レキップは10日、ウェブ版に「インテルのモビレット(小型バイク)、長友」と題する記事を掲載した。同紙はまず、W杯南ア大会に出場したものの「1月初めの時点では無名だった」長友が、日本代表とともにアジア杯を制したことで、「一躍世界に向けて名を轟かせた」と紹介している。

 名門インテルから声がかかるまでの経緯については、「大会のベスト左サイドバックに選ばれ、その小さな身体(170センチ)は欧州の数々のクラブ(ユベントス、バルセロナ、マンチェスター、ビジャレアル、エヴァートン、トッテナム)の目をみはらせた。決勝オーストラリア戦で李忠成のゴールを生んだ決勝アシストが大きく影響したとともに、彼の特異なタイプ、運動量、スピードがモノを言った」と書かれている。

 記事ではさらに、「ユウトはその才能とクオリティでここへたどり着いた。彼は誇りをもって日本を代表している。我々にとって楽しみなオプションのひとつとなる」というインテルのレオナルド監督の賛辞や、「うまくやれると確信している。彼は今日の日本サッカーをよく表している。熱意にあふれた練習家なんだ」というザッケローニ監督の言葉が引用され、長友への高い期待を印象づけた。

 同紙の記者は、長友がチームメイト全員とすっかり溶け込んでいることを挙げ、「彼も、中田英寿や中村俊輔のように、国を遠く離れて活躍するのに必要なすべての特質をそなえているようだ」と指摘、「日本の新しいスターとして、現在“サムライ・ブルー”のリーダーである本田圭祐や香川真司に取って代わりさえする可能性もある。何しろ彼が来たのはほかでもない、世界最高のクラブ、インテルなのだ」とすでにフランスの読者にもなじみのある名前と並べて、注目を促した。

 そのインテルが長友の完全移籍に踏み切るかが早くも関心の的になりつつあるが、レキップ紙記者の見方はむしろ、「この小さな怪物をシーズン終了後もチームに留まらせるためには、ネラッズーリ首脳陣は600万ユーロ(約6億9000万円)の買い取りオプションを支払わなければならない。この金額は、真の才能を逃さないためのものである。そして新たな商業的市場がこれに付いてくる」と長友の価値をすでに大きく認める論調で表されている。