ユーロ2012予選に臨むフランス代表について、ローラン・ブラン新監督のメンバー構成の特徴を挙げるとすれば、6人というディフェンスの少なさがそのひとつであろう。センターバックの控えが1人、右サイドバックに至っては控えなしという少数態勢だ。

 唯一の右サイドバックであったバカリ・サニャ(アーセナル)がケガで欠場となり、その代わりにアントニー・レヴェイエール(リヨン)が招集された。レヴェイエールは所属クラブでこそ通算出場400試合を超えるベテランだが、代表経験はわずか6試合、そのほとんどが親善試合だ。

 レキップ紙によると、ブラン監督が大事な予選にそのレヴェイエールを起用してくるかは疑問で、すでにドメネク監督時代に右サイドバックでプレーしたことのあるラサナ・ディアラ(“ラス”、レアル・マドリード)を選ぶ可能性がある。これまで右サイドバックを1人しか招集してこなかったのも、そのオプションがあるためだ。

 しかし当のディアラは、「ケガ人の穴を埋めるのはOK。でもほんとうの力を発揮するポジションじゃない。僕は何よりまず中盤なんだ」と右サイドバックでプレーするのが本意ではないことをはっきり主張している。

 ちなみにディアラを右サイドバックとしてはじめて起用したのはドメネク前代表監督ではない。チェルシー時代のジョゼ・モウリーニョ監督だ。ディアラは本来のポジションでないうえに、カップ戦ばかりでプレーさせるモウリーニョ監督の起用法に不満を抱き、結局チェルシーを去ってアーセナル、ポーツマスと渡り歩き、レアルにたどりついた。

 そして今季から再びかつての指揮官のもとでプレーすることになったディアラ。常勝を義務づけられた監督がターンオーバーを選択するのは必然だが、「2試合に1度」の出場では不満が生じてくる。「カリム(・ベンゼマ)も僕もエキストラじゃない。サッカーの選手なんだ。いま何かを言うのは早いが、1月が来たら、状況を判断する。そのときに満足できていなければ、解決策を見つけるだろう」と語り、出場機会を求めた移籍の可能性も除外していない。

 主張の強さで知られ、25歳ながらすでに4度の移籍を経験しているラサナ・ディアラだけに、あながちブラフと言えないところがある。そして実際、ユベントスやマンチェスター・ユナイテッドなど、“ラス”を欲しがるビッグクラブには事欠かないという報道もある。