3日のプレミアリーグ第7節のマンチェスター・シティ戦で、左足の脛骨と腓骨を骨折するという重傷を負ったニューカッスルのフランス人MFハテム・ベン・アルファ(23)。

 第5節のエヴァートン戦でプレミア初ゴールをあげ、新天地でいよいよ才能を開花させようとしていた矢先に、マンCのニヘル・デ・ヨンクから受けた「粗暴なタックル」(スカイスポーツ)で、最初の診断では全治6ヶ月。レキップ紙によると、4日に受けた手術は無事に成功したものの、完全な状態でプレーできるようになるには9ヶ月を要する可能性もあるという。

 デ・ヨンクのラフプレーは、フランスサッカー界期待の星のキャリアを脅かす“凶行”として、大きな波紋を生んでいる。デ・ヨンクにはW杯決勝で見せたシャビ・アロンソの胸部へのハイキックという有名な“前科”もある。オランダ代表のファン・マルワイク監督は、デ・ヨンクを一時的にメンバーから外すほど事態を重く見ている。

 9日にルーマニア戦を控えて合宿に入ったフランス代表にもショックが伝わっている。ローラン・ブラン監督は、骨折に関係なく今回はベン・アルファの招集を見送っていたが、「重いケガだ。忍耐が必要になる。ベン・アルファにとって残念なこと。勇気をもてと伝えたい。いまは回復を祈るしかない」とレキップ紙に話した。“加害者”のデ・ヨンクについては、「口に出すのは微妙。思うところはあるが、何も言わずにおきたい」と怒りを抑えるように語った。

 一方で、ユース時代からベン・アルファといっしょにプレーしてきた同い年のサミル・ナスリ(アーセナル)は、2年半前に同じようなタックルでキャリアに足踏みをさせられた経験をもつだけに、「がっかりだ」と自分のことのように落胆している。さらには、「ハテムは酸素マスクまで付けて担架で運ばれたというのに、デ・ヨンクには警告すらなかった。こういうジャッジには戦慄をおぼえる。(攻撃側の)選手たちは十分に守られていない」と怒りをあらわにした。

 当のベン・アルファは「ハードなリハビリをして、再びニューカッスルのユニフォームでプレーできるようがんばる。道のりは長いが、前向きでありつづけなくてはならない」と覚悟を決めている。ナスリが「友人として」呼びかけたように「この試練を通じて成長し、乗り越えること」を願うばかりだ。