マグロ漁船で開発?知的創造できる理想オフィス大激論
コタツ、畳、寝そべりながらプログラミングできるスーパーシート……。創造性を発揮できるのは、そのオフィス環境にあった!? IT・Web企業で研究開発に携わるエンジニアが集まり、理想のオフィスを議論。やまざきゆにこ氏のグラフィック・ファシリテーションを交えてレポートする。

■今、最先端エンジニアのオフィスはこんなにオモシロい!
 一昔前は、工場のように無機質だったエンジニアたちのオフィス。それが今変わりつつある。古くは、青や赤に塗られた部屋があり熱帯魚や犬もいる日本オラクルのオフィス、新しくはバランスボールの上で仕事をするグーグルのオフィスなどが話題になった。エンジニアたちの創造力の源泉は、リラックスしながら開発に集中できる快適なワークスペース。同時に、社内外の人と自在に交流できるコミュニティの存在も重要だ。個と集団の知的作業をスパークさせるには、どんな仕掛けを凝らせばいいか。今回は、4社の最先端IT・Webテクノロジーラボのエンジニアに理想のオフィスを議論してもらった。

■ラボ×ラボ座談会出席者
・サイボウズ・ラボ 竹迫良範さん
・ウノウ 尾藤正人さん
・面白法人カヤック 瀬尾浩二郎さん/玉田雄以さん
・リクルート メディアテクノロジーラボ 円城寺博さん/川崎有亮さん

■縁側風デスクが取り囲む、畳の舞台でブレーンストーミング
 鎌倉にオフィスを構えるカヤックは、「面白法人」を名乗るように、そのオフィスも意表を突く。その様子を語ってくれるのは、同社・閃光部(Flash開発)の瀬尾浩二郎さんと企画部の玉田雄似さん。
瀬 尾: 大きなテーブルの中央は畳み仕上げ。その上で、座り込んで打合わせをする人がいる一方で、その座敷をテーブルとして使うエンジニアたちがいます。設計はユニクロ銀座店を設計したことでも知られるクライン、ダイサムの両氏。場所が鎌倉だってことで、和風の“縁側”を意識したデザインになったみたいですね。
玉 田: 最初は畳テーブルに、靴を脱いで上がらなくちゃいけないのは抵抗ありましたけど、もう慣れました。畳の上では、正座したり、ゴロ寝しながらミーティングしていたり。うちはブレストをよくやる会社なんで、テーブルの上下で話をすることも。実際に使ってみないと、その面白さはなかなか伝わらないんですが。

 そもそもカヤックが鎌倉に本社を据えたのも、周囲に海・山の自然が広がり、かつ、オフィス街ではなく観光地という異質性を、開発の刺激にしたかったから。「仕事に煮詰まったらすぐに気分転換できます」と玉田さんは言う。

■ジェットコースターの走るオフィスで、半分は個人研究
 ラボ型オフィスでは研究テーマの自由度が、エンジニアのやる気にかかわる。「勤務時間の50%は自分が決めたテーマを研究してよい」という“50%ルール”をもつのが、サイボウズ・ラボ。
竹 迫: 情報共有というテーマに即していれば何をやってもいい。私の場合はWebのセキュリテイの仕組みづくりを今のテーマにしています。
 ラボではお互いの雑談のなかでインスピレーションが生まれることが多いので、壁やパーティションをなるべく取り払ったワンフロアのオフィスとして設計しています。室内をジェットコースターの模型が走ってたり、私物のレゴブロックが転がっていたりと、なかなかにぎやかです。
 椅子と机は、岡村製作所さんの“クルーズ&アトラス”を入れています。人間工学の研究から生まれたもので、斜めに傾く低いテーブルと、仰向きにリクライニングできる椅子のセット。これ、長時間、プログラミングしていていても、カラダが全然疲れないんですよ。

■絨毯を3色に色分け。大手企業のなかのラボ組織を色彩でアピール