銀行の“退職金特別プラン”に「3000万円」預けたら、1年で「3360万円」に!? 元本保証で“金利12%”はかなりお得だけど、高金利は数ヶ月で終了?「投資より得」とは言えない理由

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「退職金3000万円を受け取ったら、できるだけ安全に運用したい」   そんな人が銀行の退職者向けプランで「年12%」という数字を目にしたら、驚くのではないでしょうか。   退職金3000万円を年12%で1年間運用できると単純計算すれば、利息だけで360万円、元本と合わせて3360万円です。「元本保証でここまで増えるなら、株式や投資信託などより安心では」と思ってしまうかもしれません。   ただし、実際のプランを確認すると、3000万円全てに年12%が付く仕組みではありません。本記事では、三菱UFJ信託銀行の「ご退職者特別プラン」を例として、注意したいポイントについて分かりやすく解説します。

年12%が付くのは預け入れ額の一部だけ

三菱UFJ信託銀行の退職者向けプランには、円定期預金と投資信託などを組み合わせた複数のコースが用意されています。そのうち「投信コース」は、預け入れ総額の50%以上を投資信託に、残る50%以下を円定期預金に振り分ける仕組みです。
つまり、退職金3000万円をこのコースに預ける場合でも、全額を年12%の定期預金に回せるわけではありません。定期預金に充てられるのは総額の半分以下で、残り半分以上は投資信託に振り分けることになります。
「3000万円を年12%で1年運用すれば3360万円」という試算を、そのままこのプランに当てはめることはできない点は押さえておきたいところです。

特別金利が付くのは3ヶ月間

もう1つ確認したいのが期間です。投信コースで年12.0%が適用されるのは、円定期預金の預入期間3ヶ月に限られます。
公式の計算例では、総額1000万円のうち500万円を3ヶ月の円定期預金に預けた場合、税引前の利息は15万円、税引後では11万9528円です。
「500万円が3ヶ月で約12万円増える」となれば魅力的に映るかもしれませんが、これは預け入れ額の半分についての話にすぎません。もう半分は投資信託に振り分けられています。

投資信託が値上がりすれば利息にプラスも

投資信託に振り分ける部分があるからといって、このプランが不利というわけではありません。投資信託は価格が変動するため下落する可能性がある一方で、基準価額が上昇すれば値上がり益も期待できます。
仮に投信コースで50%を超える資金で投資信託を購入し、その基準価額が3ヶ月の間に上昇していれば、円定期預金の利息に加えて値上がり分も受け取れる計算になります。

投資信託が値下がりした場合は利息分が帳消しに?

一方で、購入した投資信託が値下がりした場合はどうでしょうか。500万円の投資信託が3ヶ月で2.4%下落したと仮定すると、評価額は約12万円減少します。これは、定期預金500万円の税引後利息(約11万9500円)とほぼ同じ金額です。
もっと大きく下落した場合は、定期預金の利息を加えても、預け入れ時の金額を下回る可能性もあるでしょう。
もちろん、実際にこのとおり値動きするとは限らず、あくまで1つの試算です。大切なのは、定期預金の利息と投資信託の値動きは別々のものとして考える必要があるという点です。

「年12%」の数字だけで判断しない

退職金を受け取った人が、できるだけ有利な条件で安全に運用したいと考えるのは自然なことです。「特別金利○○%」のように金利が大きく表示されていると、それだけで魅力的な商品だと感じるものでしょう。
ただ、まとまったお金を運用するときは、金利の数字だけでなく、

・年12%はどの部分に適用されるのか
・その金利は何ヶ月続くのか
・定期預金と投資信託の割合はどうなっているのか
・投資信託にはどのような値動きやコストがあるのか

を確認しておきたいところです。
「年12%だからお得」「投資信託が入るから危険」と単純に決めつけるのではなく、預けるお金のうち、いくらを元本保証の定期預金に、いくらを値動きのある投資信託に振り分けることになるのかを、事前に確かめておくことが大切ではないでしょうか?
執筆者 : 藤田寛子
1級ファイナンシャルプランニング技能士、証券外務員二種