水の中を進むタクシー、道路を渡る人がいても停止すると水没するのでそのまま進んでくる(筆者撮影)

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タイの首都バンコクは、40年ぶりの大雨で、主要幹線道路31路線の135カ所が冠水し、近隣の建築物も多数が浸水。在住日本人を含む多くの住民の生活に混乱をきたしている。

9月25日をピークとした大雨が24日ごろから広域的に降ったことが引き金と考えられ、記事執筆時点の28日22時現在(日本時間29日0時ごろ)、雨はほぼ止んだものの、いまだ冠水は多く残っている。

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タイ防災・減災局が発表した27日6時時点の集計では、洪水被害はタイ全土のうち25県、17万4803世帯・54万5022人だった。ところが24時間後の同集計では被災地に2県とバンコク都50区も加わり、57万6449世帯・179万3887人が被害に遭っていると修正している。

タイは例年5月~10月末が雨季で、この期間に雨が集中する。雨季終盤の9月10月は地方で洪水災害も頻発。しかし、基本的には局地的な集中豪雨が短時間で発生するだけで、今回のように数日間も降り続けることがほぼない。

チャッチャート・シティパン都知事が26日「24日16時からの累積雨量がバンコクの一部で300ミリを超えた。数十年前の大雨と近い規模」と説明。これは1983年もしくは1986年の大雨に近い水準となる。

25日にタイ気象局は、タイ東部の強い低気圧域が中部へ移動、タイ上空を横切るモンスーントラフ、アンダマン海・南部・タイランド湾を覆う南西モンスーンが重なって、雨雲が長時間居座ると予報。結果、特に中部・東部・バンコクで25~27日にかけて非常に激しい雨が発生した。

中でも25日の雨量が突出していたため、バンコクの排水が間に合わず、場所によってはひざ下程度、ひどいところで1メートル以上も冠水。バンコクの隣、サムットプラカン県はタイランド湾に面していて高潮が重なり、海面水位上昇によって25万9824世帯ともっとも被害世帯が多かった。

10キロにおよぶ冠水、コンビニは買い占めで品薄に

27日6時時点でタイ防災・減災局による集計では、今回の洪水関連の死者は全地域で8人。サムットプラカン県の住宅地では水深が約1.2メートルになり、水没乗用車のレッカー移動の際、クレーン先端が電線に接触。レッカー車運転手、水没車所有者の2人が感電死した。タイの洪水では汚水による感染症だけでなく、雑な電気工事による感電のおそれもある。

ドンムアン国際空港(バンコクの北方面)の前を走るヴィパワディー・ランシット通りは10キロにおよぶ冠水地帯が確認され、水深1メートルに近い場所も。28日時点で首都圏警察が確認したところ、バンコク都内の道路上で故障・水没していた車は185台だった。

また、浸水をおそれた車保有者が陸橋や運河の橋、なにかしらの高架橋などに勝手に避難駐車。その数は約200台で、いまだ水が引かない地域では橋の上に無断駐車が続く。警察は水没車を撤去するためにレッカー車66台を投入したものの、1週間は撤去に時間がかかるとしている。

配送車の運行もままならないため、バンコク都内および郊外のコンビニエンスストア、スーパーマーケットでは生鮮食品、弁当、冷凍食品、缶詰、インスタント麺などが25日夕方から品薄状態だ。地域によっては医薬品も不足している事態も報告されている。これはタイ人が冠水のニュースを見てすぐさま買い占め行動に走った結果でもある。

弁当、冷凍食品、生鮮食品などが完全に品切れになっているコンビニ(筆者撮影)

28日執筆時点で被害総額は確定していない。タイ商工会議所大学の経済・ビジネス予測センターが25~29日の5日間を対象に経済損失を推計。その額は122億8300万バーツ(約585億円)としている。ただし、住宅・自動車・農業などの物的被害は含まれていない。この額はGDP比では約0.066%、バンコクだけでも約70億バーツ(約333億円)の損失となる。

28日夕方時点でタイ政府はバンコクの降雨量は減少、多くの場所で排水が進行し一部地域では交通が通常に戻りつつあるとしている。バンコク都庁も被災者支援を加速させることを発表。しかし、執筆時点では完全に水が引いていない状態であるのは変わりなく、タイはまだ雨季の最中であるので警戒は必要な状況だ。

文/髙田胤臣 内外タイムス