「花粉症対策といえば、ヨーグルト」そう信じている人は多い。日本発酵文化協会上席講師 藤本倫子さんは「間違ってはいない。ただし、鼻の症状に効くのは乳酸菌ではなく、酢酸菌。これは通常のヨーグルトや乳酸菌飲料には含まれていない」と言う。酢酸菌が含まれる“意外な飲み物の正体”に、ライターの笹間聖子さんが迫った--。
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※写真はイメージです - 写真=iStock.com/vadimrysev

■「ヨーグルトは効く」でも、鼻には届かない

「花粉症にヨーグルトって本当に効くんですか?」

筆者は毎朝ヨーグルトを食べているのに、花粉症が一向に改善されない。長年の疑問をぶつけると、歯に衣着せぬ解説で知られる日本発酵文化協会上席講師 藤本倫子さんは、少し考えてからこう答えた。

画像提供=藤本さん
日本発酵文化協会上席講師 藤本倫子さん - 画像提供=藤本さん

「免疫を高めるという意味では効きますよ。効果はゼロじゃない。でも、花粉症で特に辛い鼻のグズグズや鼻詰まりに直接効くかというと、そこは別の話ね」

どういうことか。前回の記事でも触れたが、花粉症の鼻の症状を緩和するには、人間の免疫細胞がもつ「Toll様受容体(TLR)」の1つ、「TLR4」を刺激する必要がある。TLR4を刺激できる発酵食品の微生物は、「にごり酢」に含まれる酢酸菌だけなのだ。

ヨーグルトに含まれる乳酸菌をはじめ、ほかの発酵食品が刺激するのは、「TLR2」という別の受容体である。TLR2は免疫全体を底上げはするが、花粉症の鼻づまり・鼻水に特化したTLR4の効果には届かない。だから「ヨーグルトを毎日食べていても、鼻づまり・鼻水がよくならない」という状態が生まれてしまうのだ。

「別に乳酸菌が悪いわけじゃない。風邪の予防とか、免疫全体を高めるという意味ではちゃんと意味があります。ただ、花粉症の鼻の症状は、酢酸菌も一緒に摂らないとカバーできないんです」

酢酸菌(顕微鏡拡大画像)(キユーピーリリースより)

■「合う人、合わない人」がいる

もうひとつ、見落とされがちな問題があると藤本先生は指摘する。ヨーグルトと日本人との相性だ。

「ヨーグルトって、明治初期に日本にきたから、日本人にとってはまだ歴史が浅い食品なんですよ。だから乳酸菌を分解する能力を持っている人と、持っていない人がいる。もし4週間摂っても効かないと感じたら、やめた方がいい。合わないんだな、と思って。どんな発酵食品も、だいたい4週間で身体に変化が起きるかが判別できます」

では、たとえば2021年に発売され、大ヒットした乳酸菌飲料『ヤクルト1000』ではどうか。発売から歴史は浅いが、花粉症への効果は期待できるのか。

「ヤクルト1000は睡眠の質を上げたり、ストレスを緩和したりという効果が報告されていますよね。でも、鼻の症状に特化した効果は、残念ながら期待しにくいんですよ」

こちらもやはりTLR4を刺激できないからだ、と藤本先生は続ける。結局、酢酸菌が入っていなければ花粉症の鼻症状への直接的な効果は見込めないのだ。

「ヤクルト1000を飲みながら、それとは別ににごり酢で酢酸菌も摂る、というのが免疫的には最強の組み合わせね」

両方摂る……。しかし、毎日となると、ちょっと面倒な気がする。それに、にごり酢の摂り方は「そのまま飲む」のが藤本先生のおすすめだが、酸味が苦手な人にはハードルが高い。

■「酢酸菌」入り乳酸菌飲料がある

そこで藤本先生が紹介してくれたのが、『ピルクル 免疫スタイル』である。ドラッグストアやスーパーの乳酸菌飲料コーナーに並んでいる。

ピルクル、そういえばよく目にするが、なんとなく幼児向けな気がして買ったことはなかった。

撮影=プレジデントオンライン編集部
『ピルクル 免疫スタイル』。沖縄を除く全国のスーパーやドラッグストアで販売している。 - 撮影=プレジデントオンライン編集部

「ピルクルの『免疫スタイル』には、キユーピーが自社製品のにごり酢に使っている『酢酸菌GK-1』が入っているのよ。それも1本65mlで90億個。つまり、にごり酢大さじ1杯15mlと、全く同じ量の酢酸菌が摂れるということです。お酢が苦手な人への答えは、もうこれでいいんじゃない?」

ピルクルは甘くて飲みやすいため、子どもでも続けやすい。しかも、乳酸菌NY1301株も400億個入っているため、腸内環境の改善と免疫機能の維持にも役立つ。「お酢を毎日飲むのは無理」という人への、現実的な代替案と言えそうだ。

■調味料を置き換える手もある

それも毎日続けるのが難しい、という人には、さらに手軽な選択肢も現れている。

マヨネーズとドレッシングだ。キユーピーは今年1月、酢酸菌GK-1を配合したマヨネーズとドレッシングを機能性表示食品として発売した。

「いつものマヨネーズやドレッシングを換えるだけでいい。何かを足すんじゃなくて、置き換えるだけだから続けやすいよね」

1日の摂取目安量は、マヨネーズは大さじ約1杯(15g)、ドレッシングは大さじ約1杯強(20g)だ。それなら、確かにハードルは限りなく低いと言えるだろう。

また、サプリという選択肢もある。キユーピーは「ディアレプラス」という機能性表示食品サプリメントを販売しており、一日の摂取目安量2粒あたり、酢酸菌GK-1が400億個配合されている。

ただし藤本先生は、サプリを手放しには勧めない。

「サプリは菌体を濃縮して錠剤にしたものだから、成分自体は本物です。ただ、食品として体に入れるのとは腸の反応が違う。発酵食品は、その食品のほかの栄養も一緒に摂れるから。サプリだけに頼るのは、栄養をひとつずつサプリで補おうとするのと同じで、ちょっともったいないなとは思います」

それでも続けないよりは、続けられる方がいい。だが、サプリはあくまで「どうしても食品では無理」という場合の最終手段として考えるのが賢明だ。

■ヤクルトもヨーグルトも正解、でも…

最後に整理しておこう。

ヨーグルトもヤクルト1000も、乳酸菌という意味では体にいい。免疫全体を底上げし、腸内環境を整え、風邪を引きにくくする効果は本物だ。ただし、花粉症の鼻づまり・鼻水という症状に特化したいなら、それだけでは足りない。

「全部やめろと言っているわけじゃない。ヨーグルトもヤクルト1000も飲み続けていい。ただ、それに加えて酢酸菌を摂る習慣をつけてほしいんです。お酢が飲めるならにごり酢を、無理なら、ピルクルの免疫スタイルを1本。または、 酢酸菌GK-1を配合したマヨネーズかドレッシング、サプリでもいい。これだけで全然違います」

それにしても、キユーピーが50年以上の研究で確立した酢酸菌GK-1が、あのピルクルに入っているとは驚きだ。ピルクル免疫スタイルの価格は、スーパーや時期にもよるが、1本50円程度。エビデンスのある菌がこの値段で摂れるなら、安い買い物かもしれない。

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笹間 聖子(ささま・せいこ)
フリーライター、編集者
おもなジャンルは「ホテル」「ビジネス」「発酵」「幼児教育」。編集プロダクション2社を経て2019年に独立。ホテル業界専門誌で17年執筆を続けており、ホテルと経営者の取材経験多数。編集者としては、発酵食品メーカーの会員誌を10年以上担当し、多彩な発酵食品を取材した経験を持つ。「東洋経済オンライン」「月刊ホテレス」「ダイヤモンド・チェーンストアオンライン」「FQ Kids」などで執筆中。大阪在住。
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(フリーライター、編集者 笹間 聖子)