[9.28 キリンチャレンジカップ 日本 2-1 ベネズエラ Eピース]

 まさに明暗を分ける大仕事だった。日本代表MF久保建英(ソシエダ)は後半アディショナルタイム1分、負傷者で10人となっていた状況でペナルティリア右に攻め込むと、MFヤンヘル・エレーラに足を踏まれて転倒。その時点ではファウルの笛は鳴らされず、カウンターを受けて日本がPKを与える形となったが、VARレビューの結果、久保へのファウルが認められ、FW上田綺世の決勝PK弾につながった。

 久保が誇ったのはPKを獲得した自らの駆け引きではない。1-1という同点の状況でも恐れることなく、10人で勝ちに行ったチームの姿勢だった。

「結果的にボールがこぼれて、僕が先に足を出して踏まれた感じになってPKになったけど、その前にあそこで時間を稼ぐんじゃなくて点を取りに行こうと思ったこと。今は練習試合だけどトーナメントでああなる可能性もあるので、あそこでまだ延長があると考えた時、一人少ない状況でもあそこで狙いに行く姿勢が必要だったのかなと思う」

 久保が日本代表に定着した2019年夏以降、トーナメントでは2022年のカタールW杯ラウンド16のクロアチア戦、23年のアジア杯準々決勝イラン戦、そして今夏の北中米W杯ラウンド32のブラジル戦と、3度にわたって1-1の同点で試合終盤を迎え、後ろ重心の戦いを強いられたまま敗退している。3か月後にアジア杯を控えるなか、そうした教訓を未来につなぐ姿勢を意識していたようだ。

 とはいえ、リスクを背負って攻めに行くからこそ、きちんと仕留めることが大事。実際にこの場面では久保へのファウルが取られなければカウンターによって失点もののピンチを迎えていたはずで、久保の駆け引きが成功したことが結果においても大きかった。

 久保へのファウルを犯したのはソシエダのチームメートのエレーラ。久保によると、エレーラが近づいてきた時点で足を出してくることが分かっていたのだという。「僕が先に触ったからどうなるわけではなかったけど、絶対に足を出してくると思ったので読み通りでした」。試合後には「あんなのPKじゃねえだろって言われましたけど(笑)」と“一悶着”あったようだが、かつて2017年のU-20W杯で苦杯をなめた同僚相手にリベンジを果たした。

 そして審判の判定に話が及ぶと、久保はチームメートへの気遣いも見せた。

「正直ラ・リーガとかだったら微妙ですよね。吹かれてるかどうかは。最近のPKは『not enough』(接触の程度が『十分ではない』)みたいな精神があるんで。踏まれているけど果たしてそれがPKなのかって。僕は踏まれてたらPK派ですけど、今の基準的には微妙な判定ではあったことも事実なんで、彼らにはフラストレーションが溜まる結果になったのかなと思います」

 同じく同僚のDFジョン・アランブルからも「本当に踏んでたのか」と聞かれ、「まあまあ踏まれてた。でも(PKかは)微妙だよね」と返したという久保。不満をぶつける同僚たちを配慮しつつも、ソシエダでは自身のゴールやアシストがVARレビューで取り消される場面が頻発していたこともあり、「いつもVARにはね。(VARが)なかったらいいのにとか思ってましたけど、今回はVARがあって良かったと思います」と笑みを見せた。

(取材・文 竹内達也)