〈福岡県議会のデタラメ〉「“海外旅行”のカネを全部返せ」1泊16万9000円、夕食会20万円…乱痴気宴会&セクハラ動画に県民激怒、“ドン”蔵内前議長の元秘書は裏アカで告発議員を攻撃
1泊16万円の宿泊や1食20万円の夕食など、常軌を逸した贅沢ぶりが問題になっている福岡県議会議員による“海外視察”。暴露された視察中の動画や写真には、ネクタイを頭に巻いての乱痴気騒ぎやセクハラと指摘される余興など、公人とは思えない痴態が記録されていた。福岡県民の税金は一体何に使われてきたのか。
【写真】「生態系を柔らかく結びつける象徴となるゲートです」という説明で3億円投じて造られたワンヘルスのモニュメント
ネクタイを頭に巻き「タイタニック」…問題となった宴会動画
「謝って済むわけがない。参加した議員は“海外旅行費”を全額返して(議会から)いなくなってほしい」
そう話すのは福岡県在住の40代の女性だ。ネットメディア「センキョタイムズWEB」やNHKなどで発信された動画を見て怒り心頭だという。
センキョタイムズが2024年1月のタイ・バンコク視察時のものとして報じた動画では、“県議会のドン”と呼ばれ、海外視察や失言で批判が高まり8月に議員を辞職した自民党の前県議会議長・蔵内勇夫氏(72)や、熊本地震発生当日に政治資金パーティーを開き「やってよかった」と言って炎上、自民党福岡県議団会長を辞任した松尾統章氏(53)ら10人を超える県議が、宴会でドンチャン騒ぎをしている様子が映し出されている。
「松尾氏は舞台で蔵内氏を『ドン・クラウチオーネが世界に挑戦します』とヨイショし、別の場面では蔵内氏ら男女数人が頭にネクタイを巻いて舞台で踊り回っています。
さらに女性議員4人が舞台でキャンディーズの『年下の男の子』を歌って騒いでいる場面もあります」(地元記者)
この4人は当時国民民主党の県連代表だった大田京子氏(48)と、いずれも当時民主県政県議団(9月1日に分裂)に所属した豊福るみ子氏(59)と後藤香織氏(46)、室屋美香氏(53)だとセンキョタイムズは報道。
全員が非自民党だが「福岡県議会は長年、ほぼ自民党を中心とする“オール与党”体制で、ごく少数の異を唱える議員の声は聞き入れられず、緊張感もない状態が続いてきた」と政界関係者は指摘する。
センキョタイムズが報じた同じ宴会の写真には、舞台の上で大田氏の腰を蔵内氏が後ろから抱き、映画『タイタニック』のポーズを取る姿が映っている。蔵内氏の元秘書で自民党の林泰輔氏(52)も豊福氏の腰を同じように抱いている。
センキョタイムズは、この乱痴気騒ぎを「自民会派による『集団セクハラ』事件だ」とも指摘した。
さらに、福岡県は蔵内氏が主導し、“人と動物の健康や環境保全を一体的に考える”コンセプトだとする「ワンヘルス」を冠した多額の事業をこれまで進めており、最近になってその資金の使われ方にも厳しい目が注がれている。蔵内氏はバンコクで踊ったこの女性議員4人を「ワンヘルスエンジェルス」と命名したという。
また、2023年には国民民主党福岡県連は自民党と政策協定を結び、蔵内氏に対抗馬を立てなかった。
大田氏は“タイタニック写真”が出た後、SNSで「節度を欠く振る舞いがあった」と謝罪し県連代表の辞任も表明したが、こうした「自・国協力」については言及していない。
「海外視察」に総額2億円超…見えない公金の全容
福岡県議会事務局が8月に公開した海外視察記録によれば、2023年8月から今年4月までに県議会予算で23回の海外活動が行なわれ、総額は約2億6496万円に上る。
蔵内氏の前任議長の香原勝司氏(59)が、2024年2⽉のフランス視察で1泊16万9000円の部屋に泊まっていたことや、蔵内、松尾両氏らが昨年11月にフランスで1人あたり約20万円の夕食会に出席していたことも発覚した。
ところが、費用の全容は公開資料で見えてこないという。
「例えば問題のバンコク視察も、県議会資料では香原、蔵内、松尾氏ら県議5人と随行員が参加していますが、県議4人は別のベトナム視察から合流したため、この資料には会派代表者1人分の45万2000円のみが計上され、議長らの費用は別の資料に計上されています。そして現地の車両や通訳などの『委託費』は、当初契約の61万3000円から202万9000円と3.3倍に膨らみ、随行職員の費用を入れて計283万円かかっています。
しかも視察には他に福岡県タイ友好議員連盟の15人も参加しています。大田氏らが含まれるとみられますが、参加者名は公表されず、旅費も資料には記載がありません。
その後に、毎日新聞などの報道で、タイ友好議連を含む任意団体の各種議連に福岡県が毎年1200万円規模の補助⾦を出していたことが暴露されました。結局バンコク視察にいくら使われたのか、委託費がなぜ3倍以上に膨らんだのかも解明されていません」(地元記者)
こうした補助金の使い方を許してきた県の服部誠太郎知事(72)は「蔵内氏に知事にしてもらった」(県政界関係者)と評される人物。NHKは「海外視察のワンヘルス関連は服部知事はほとんど行っていて、かなりの税金が注ぎ込まれている」との視察同行者の声を報じている。県は現在、ワンヘルス施策の必要性や妥当性について行政改革審議会で検証・評価を進めている。
前議長の“弟子”が裏アカで告発議員を攻撃
蔵内氏は8月24日に突然議長も議員も辞めると表明し表舞台から消えたが、辞職理由はいまだに明確にされていない。そしてここへきて、蔵内氏の“弟子”ともいえる県議の林泰輔氏がSNSの匿名アカウントで蔵内氏の責任を追及した議員やメディアを攻撃していたことが発覚した。
「標的にされたのはかつて自民党県議団幹部から議⻑就任前に“カツアゲ”のように金を要求されたと告発した吉松源昭県議らです。
林氏は『みみず屋さん』と名乗るアカウントで吉松氏がラブホテルを使ったとの一部情報をもとに『おっ。ラブホ応援団!』と揶揄したり、センキョタイムズを『便所の落書きに命を懸けるとは哀れな物書き』と罵倒したりしていました。しかし裏アカと本アカを混同してポストしたことで、それが発覚し、本人も認めました」(地元記者)
記者団に囲まれた林氏は、
「戦い方として挑発をして燃やす形じゃないと発信力が足りないと、私自身がそういう風に思った。燃え上がったとしても見る人が多くなれば、その分サイレントマジョリティーのかたが見ていただけると思ってますんで、そういう意味では、あれは少し、わざとやりました」
と発言した。
SNS空間での匿名の攻撃は多くの人を苦しめ、兵庫県では県会議員が自死に追いこまれる一因になった可能性がある。今年7月にはSNSでの誹謗中傷から選挙の公正性を守るため、SNS事業者に偽情報や事実を歪曲する情報への「必要な措置」を求める法整備も行なわれている。
そんななかで、県議会のあり方には問題があると指摘した告発者に対して、県議の立場にいる者が匿名で“挑発をして燃やす”戦いをやっていた――。福岡県議会の闇はどれほど深いのか。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
