炊飯器の保温、何時間までならOK? 電気代はどれくらい? 保温の疑問を徹底解説!
炊いたごはんは、そのまま保温する人もいれば、余ったらすぐ冷凍する人もいるでしょう。そこで気になるのが、「そもそも炊飯器は何時間まで保温していいの?」「長時間保温すると電気代はいくらかかる?」「保温するより冷凍したほうがいい?」といった疑問です。
この記事では、炊飯器の保温にまつわる基本の疑問をメーカーの公式情報などをもとに解説。さらに、長時間保温と「炊きたてを冷凍→電子レンジで温め直す」方法を、実在機種の公式データを使って「電気代」「おいしさ」の両面から比較します。家電のプロ・近藤克己さんの見解もあわせて紹介しながら、保温と冷凍をどう使い分ければいいのかを考えていきます。
記事末では、「長時間保温派」「すぐ冷凍派」それぞれにおすすめの炊飯器も紹介します。

その1 炊飯器の保温、何時間まで大丈夫?
一般的な「おいしさ」の目安は3~4時間

「一般的には、炊きたてに近いおいしさを重視するなら3~4時間程度をひとつの目安にするといいでしょう」と、近藤さん。
一方で、各モデルによって推奨される保温時間が違うのも事実です。まずは自宅の炊飯器の取扱説明書で、推奨されている保温時間を確認しましょう。
また、いかに保温による劣化を抑えるか、各社が力を入れており、単に「最大○時間」という数字だけでなく、おいしさを保つ技術にも注目したいところです。
一晩保温しても大丈夫?
各モデルで推奨される保温時間が違うため、一晩保温できるかどうかは、使用している炊飯器の保温可能時間を確認するのが基本です。また、炊き込みごはんや玄米など、白米と同じ保温時間が適用できない場合も。「一晩なら大丈夫」と一律に考えるのではなく、何を炊いたのか、どのような保温モードを使っているのかまで確認しておきましょう。
保温中の温度は何℃くらい?

炊飯器の保温温度は、一般的に約60~75℃。メーカーや機種、保温モードによって異なります。多くの炊飯器が60℃以上で保温するのは、雑菌の繁殖を抑えるため。一方で、温度が高すぎるとメイラード反応による黄ばみが起こりやすくなるため、ごはんの状態を保ちながら適切な温度に制御しています。
また、常に同じ温度をキープしているとは限らない点にも注意が必要です。釜内の温度は必ずしも一定ではなく、機種によっては「高め保温」「低め保温」のように温度帯を選べるものもあります。この場合、ニオイを抑えたいときは高め、乾燥を抑えたいときは低めを選ぶ、といった使い分けも可能です。
長時間保温すると、ごはんはどう変化する?
長時間保温を続けると、主に次のような変化が起こります。
乾燥・パサつき:水分が徐々に蒸発し、粒が硬く締まってくる 黄ばみ:メイラード反応により、白かったごはんが黄色っぽく変色する ニオイ:長時間の加熱によって独特のこもったニオイが出やすくなる 食感の劣化:もちもち感が失われ、表面がゴワつくこれらの変化を抑えるために、長時間保温に対応する機種は温度制御・水分蒸発抑制・スチームなど、さまざまな工夫を凝らしています。
【編集部員が10時間保温で味の変化を検証!】
10時間だとさすがに……アレ、意外とおいしいぞ?

パナソニックの「ライス&クッカーSR-UNX101」で北海道の品種「ゆめぴりか」を炊いて検証。炊きたては粒がしっかりしてもっちり。透明感があってツヤツヤです。1時間後には水分がなじみ、炊きたてよりもむしろおいしく感じました。

3~4時間後になると、水分でふやけてやわらかさが増し、香りや風味も徐々に低下。とはいえ、炊飯後に5~6時間保温しても十分においしく、気になる黄ばみや乾燥、嫌なニオイもほとんどありません。

このあたりで「おかしいぞ?」と思いはじめました。調べてみると、なんとSR-UNX101は、ごはんの黄ばみやニオイを抑える「いきいき保温」搭載モデルと判明。想定していた劣化が起こらず、失敗した~といった感じです。
それでも、さすがに7時間後になると黄ばみが出始め、10時間後にはわずかに硬い部分もちらほら。湿った木を思わせるような、少しこもったニオイも微妙に感じます。過去の経験からして、保温機能がなければもっと劣化したんだろうな……。と、奇しくも後述の保温機能の効果を実感する結果となりました。

その2 炊飯器の保温、電気代はいくら?
保温の電気代は1時間単位で見ると小さいものの、長時間になるほど積み重なっていきます。実際に、実在機種の公表値を使って計算してみましょう。
保温時消費電力量が公表されている、三菱電機の5.5合炊き「NJ-VP10J」を例にとると、保温時消費電力量は1時間あたり17.1Wh(公式仕様値)。電気料金は、全国家庭電気製品公正取引協議会が目安としている税込31円/kWh(1kWhは1000Wh)で計算すると(17.1Wh ÷ 1000 × 31円/kWh)、次のようになります。
1時間保温:約0.53円 6時間保温:約3.2円 12時間保温:約6.4円 24時間保温:約12.7円24時間保温しても約12.7円なので、1回あたりで見れば大きな金額ではありません。ただし、これを毎日続けるとどうなるでしょうか。24時間保温を1年間毎日続けた場合、単純計算で約4644円になります。1回あたり数円の積み重ねも、年間で見ると意外とバカにならない金額になるわけです。
もちろん、消費電力量は炊飯器の方式(マイコン式・IH式・圧力IH式)や容量によって異なります。自宅の炊飯器で正確に計算したい場合は、取扱説明書に記載されている「1時間あたりの保温時消費電力量(Wh)」を確認してみましょう。
その3 長時間保温 vs すぐ冷凍で電子レンジ、どっちがおトク?
【電気代】何時間で逆転する? メーカー公表値で試算してみた

電子レンジで冷凍ごはんを1回(150g)温める場合(※):
2分40秒加熱:1350W × (160秒÷3600) ÷ 1000 × 31円 = 約1.86円 3分加熱:1350W × (180秒÷3600) ÷ 1000 × 31円 = 約2.09円※日立の単機能電子レンジ「HMR-FT183」の公式FAQでは、冷凍ごはん150g(茶碗1杯分)を600W設定で2分40秒~3分加熱するのが目安とされています。同機種の定格消費電力は公式仕様で1350W(50Hz/60Hz共用)です。
炊飯器(NJ-VP10J・17.1Wh/h)で保温する場合(※):
1時間:約0.53円 3時間:約1.59円 4時間:約2.12円※三菱電機の5.5合炊き「NJ-VP10J」の保温時消費電力量(1時間あたり17.1Wh・公式仕様値)をもとに試算。
計算によると、一般的な電子レンジで冷凍ごはん150gを1回温める電気代は約1.86~2.09円。これは、一般的な炊飯器(NJ-VP10J)で約3.5~4時間保温する電気代に相当することになります。

【おいしさ】長時間保存するなら冷凍が有利

電気代以上に差が出やすいのが「おいしさ」です。長時間保温すると、前述のとおり乾燥・黄ばみ・ニオイ・食感の劣化が進みます。一方、炊きたてを適切に冷凍することで、長時間保温するよりも水分や食感の変化を抑えやすくなります。
この点について、家電ライター・近藤克己さんは次のように話します。
「おいしさを考えるなら、長時間保温するより炊きたてを冷凍したほうが断然いい。炊きたての状態がもっとも水分を含んでおり、その後、だんだん水分が失われ、酸化も進みます。その点、炊きたてをすぐに冷凍にすることで、水分を閉じ込めることができ、レンジ加熱で炊きたてのホクホクを再現できます」
保温は時間の経過とともに劣化が進む一方通行の変化ですが、冷凍であれば、長時間保温するよりも炊きたてに近い水分量や食感を保ちやすくなります。特に半日~1日以上ごはんをキープしたい場合は、保温よりも冷凍のほうがおいしさを保ちやすいというのが近藤さんの見解です。
では、電気代でもおいしさでも冷凍に分があるとして、なぜ多くの炊飯器に30時間、40時間もの長時間保温機能が搭載されているのでしょうか。そこには、おいしさや電気代とは別の大きなメリットがあります。
その4 それでも「長時間保温」が便利なのはどんな家庭?

すぐ温かいごはんを食べられるのがメリット
長時間保温の最大のメリットは、食べたいときにすぐ温かいごはんを食べられることです。長時間保温が向いているのは、たとえば次のような人・家庭です。
家族の食事時間がバラバラで、それぞれのタイミングでごはんを食べたい 食べたいと思ったときに、すぐ茶碗によそって食べたい 冷凍・解凍の手間(小分け・ラップ・レンジ加熱)をできるだけ省きたい 一日に何度もごはんを食べる、あるいは何度もお代わりする習慣があるたとえば、18時に子どもが夕食を食べ、21時に親が帰宅するような家庭では、そのたびに冷凍ごはんを解凍するより、炊飯器からよそったほうが手軽です。
つまり、「おいしさをなるべく維持して保存する」のが冷凍、「食べたいときにすぐ食べられる状態を維持する」のが保温であり、両者には異なるメリットがあります。
「最大保温時間」の数字だけで選ばない
長時間保温をよく使うなら、炊飯器選びでも保温性能をチェックしたいところです。近藤さんによると、ポイントは単純な最大保温時間だけではないとのこと。
「長時間保温を重視するなら、まず見てほしいのが保温可能時間です。一般的な機種は12~24時間程度が目安ですが、上位モデルには30~40時間クラスの保温に対応するものもあります。もうひとつのポイントは、乾燥を抑える仕組みがあるかどうか。内ぶたを二重構造にして水分の蒸発を抑えたり、釜底や蓋のセンサーで温度をきめ細かく制御したり、ごはんの残量に応じて保温の強さを変えたりする機能を搭載したモデルは、同じ保温時間でも仕上がりの差が出やすいです。長時間保温をよく使うなら、この2点は必ずチェックしてほしいですね」(近藤さん)
また、「長時間保温」でも、温度制御・水分蒸発抑制・スチームなど、メーカーによってアプローチが違う点に注目してみましょう。
【長時間保温派におすすめの炊飯器】
象印マホービン「炎舞炊き NX-AB10」
「極め保温」で最大40時間の保温に対応。温度をコントロールして水分の蒸発を抑え、長時間でもおいしく保温します。
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ポチップ 日立「ふっくら御膳 RZ-W100JM」
「スチーム保温」で最大40時間の保温に対応。「給水レス オートスチーマー」にためた水分をスチームにして送り込み、ごはんをしっとり保ちます。
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ポチップ パナソニック「ビストロ SR-X910E」
リアルタイム赤外線センサーでごはんの残量を検知し、量に合わせて保温を自動調整する「うるおいキープ保温」を搭載。最大30時間の保温に対応します。
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ポチップ その5 おいしさ重視なら「冷凍ごはん」機能に注目
水分を多く閉じ込めるように炊き上げるのがポイント
長時間保存するなら冷凍派、という人におすすめしたいのが、近年増えている「冷凍ごはん」専用コースです。これは、冷凍・解凍したときにおいしく食べられるよう、あらかじめ炊き方を調整してくれる機能です。
近藤さんによると、「冷凍ごはん」専用コースのポイントは、冷凍・再加熱することを前提に、炊き上げることにあります。
「冷凍ごはんコースは、米の中に水分を多く閉じ込めるように炊くため、電子レンジで再加熱してもベタつきやゴワつきが抑えられ、ふっくらとした炊きたてのような食感を楽しめます。毎回ごはんを炊くのは面倒、あるいは時間がないけれど、おいしいごはんを食べたいという人にオススメです」(近藤さん)
こうした機能は、必ずしも高級モデルだけの特別な機能というわけではありません。「毎回炊きたてを食べるわけではない」という人なら、高価な炊飯技術だけを追い求めるより、自分が普段どうやってごはんを保存しているかという点から炊飯器を選ぶほうが、満足度は高くなります。
【すぐ冷凍派におすすめの炊飯器】
パナソニック「SR-N510E」
「冷凍用ごはんコース」を搭載。冷凍保存したごはんを電子レンジで再加熱したときも、おいしさが保たれるように炊き上げます。
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ポチップ タイガー魔法瓶「JPA-Z100」
「冷凍ご飯」メニューを搭載。通常の白米より長く吸水させることで、電子レンジで再加熱した際のパサつきやべたつきを抑えます。
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ポチップ 三菱電機「NJ-VP10J」
白米・無洗米に対応した「冷凍用」モードを搭載。じっくり吸水して炊き上げることで、一度冷凍しても炊きたてに近い粒感とみずみずしさを保ちやすいのが特徴です。
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ポチップ まとめ 「保温する時間」から炊飯器を選ぼう
今回の試算では、電子レンジでの再加熱にかかる電気代は、約3.5~4時間分の保温に相当しました。これを踏まえて、自分や家族が「普段どのくらいの時間、ごはんを保温しているか」を振り返ってみるのが重要。保温か冷凍かで迷ったら、以下を参考にしてご自身の暮らし方に合った方法を選んでください。
●数時間程度で食べきる場合:4時間以内であれば、ふつうに保温でOK。電気代もそれほどかからない(保温4時間で約2.12円)
●家族の食事時間がバラバラな場合、または食べたいときすぐ食べたい場合:5時間を超える保温をする場合は、劣化を抑える機能を持つ炊飯器が便利
●翌日以降まで保存することが多い場合、おいしさや電気代を重視する場合:炊きたてをラップなどに包んで早めに冷凍し、電子レンジで再加熱するのがオススメ

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