「お盆に来たばかりじゃないか…」孫4人の襲来に戦慄する〈年金月15万円〉72歳男性。「シルバーウィークも行くね!」娘からの帰省LINEが憂鬱なワケ
内閣府の『令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査結果』によると、高齢者世帯の約6割が収入より支出が多く、預貯金を取り崩して生活しているという現実があります。限られた年金収入のなかで、老後資金をどう守るかは多くのシニアにとって切実な課題です。本記事では、可愛い孫たちの相次ぐ「帰省」による出費に戦慄する72歳男性の事例をもとに、シニアが抱える家族への出費と老後資金の不安について解説します。
可愛いけれど出費がかさむ…年金月15万円・72歳男性を襲う「4人の孫の帰省」
地方都市の戸建てで一人暮らしをしているサトシさん(仮名・72歳)は、数年前に妻を見送り、現在は月に約15万円の年金と、1,500万円ほどの貯金で生活を送っています。
そんなサトシさんの最近の悩みは、近隣県に住む娘たちの存在です。長女と次女は仲が良く、先月のお盆休みには示し合わせたように、それぞれの子ども(孫)を2人ずつ、計4人を連れて実家に帰省してきました。
「じいじ、遊びに来たよ!」と元気に駆け込んでくる孫たちの姿は可愛いものの、現実は過酷でした。
滞在中のスーパーでの買い出しや外食代、レジャー施設へのチケット代、そして帰り際に持たせるお小遣いなどで、あっという間に3万円以上が消えていきました。
老後資金が底をつく恐怖…「シルバーウィークも行くね!」娘からのLINEに戦慄
お盆が過ぎ、平穏な日常を取り戻しかけていた9月上旬。長女から一通のLINEが届きました。
「今年はシルバーウィークがあるから、またみんなでそっちに行くね!」というメッセージを見た瞬間、サトシさんは戦慄しました。
「お盆に遊びに来たばかりなのに、また来るのか……」
娘たちは「お昼は私たちで出前を頼むから」と気遣いを見せますが、結局は朝晩の食費に加え、一緒に出かけた先で孫たちから「これ買って!」とおねだりされるおもちゃや服代など、予測できない出費が待っています。出前代を差し引いたとしても、再びまとまったお金が飛んでいくことは確実でした。
月に15万円の年金暮らしにとって、数万円の臨時出費は痛手です。足りない生活費は、1,500万円の貯金から取り崩して補填していますが、このペースで預金が減り続ければ、いずれ底をついてしまうのではないかという恐怖がよぎります。
内閣府の『令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査結果』によると、日常生活の支出のなかで収入より支出が多くなり「預貯金を取り崩すことがある」と回答した高齢者世帯は61.2%に上ります。
さらに、実際に取り崩している世帯の平均取り崩し額は月に6.8万円となっており、サトシさんのように日常の生活費に加えて孫や子どもの帰省に伴う臨時出費が重なることで、老後資金の減少に焦りを抱くシニアは少なくありません。
「来ないでほしい」と言えば孤独死の不安も…嫌われたくないという葛藤
「孫の顔を見るのは幸せだけど、正直来ないでほしい……」
それが、誰にも言えないサトシさんの本音でした。しかし、「お金がきついから来ないでくれ」と口にすれば、親孝行のつもりで来てくれている娘たちの機嫌を損ね、今度は本当に誰も寄りつかなくなって孤独死するのではないかという不安もあります。
「お金が厳しいから今回は遠慮してほしい」と正直に伝えたほうがいいのは痛いほどわかっています。「それでも、娘たちには嫌われたくない」と葛藤を抱えながら、サトシさんは憂鬱な気分でシルバーウィークを待っています。
内閣府の『孤独・孤立の実態把握に関する全国調査(令和7年実施)』によると、一人暮らしの人のうち孤独感を「しばしばある・常にある」と感じている割合は9.8%と、同居人がいる人(3.4%)の約3倍となっています。老後の一人暮らしの孤独感から、サトシさんのように経済的な無理をしてでも家族の帰省を受け入れてしまうケースは珍しくないでしょう。
親子の関係性を維持しながらお互いが負担を感じないセカンドライフを送るためには、無理のない範囲でのおもてなしや予算について、早い段階で率直なコミュニケーションを図ることが重要です。
※個人情報保護のため、登場人物の情報等は一部変更しています。

