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中学生だけでの施設内への入場お断りーー。岩手県の商業施設が、こうした措置を取っていることが報じられました

報道によると、岩手県奥州市の「いわて生協コープアテルイ」は、スーパー店内での迷惑行為が改善されないことを理由に、保護者を同伴しない中学生の敷地内、店内への立入を禁止する措置に踏み切ったとされています。

2025年夏ごろから、土日や祝日を中心に中学生が集まり、通路に座り込んだり、大音量で音楽を流したり、注意した客に暴言を吐いたりするようになり、多いときは数十人に上ったそうです。

いわて生協は、警察に巡回を頼むなどしましたが、「生徒や学校の特定が困難な状況となり、全中学生を対象とすることになった」と説明したそうです。

この措置では、迷惑行為と関係のない中学生も、一律で中学生だけでは入店できなくなります。迷惑行為をした本人だけでなく、中学生というだけで一律に入店を断ることは許されるのでしょうか。簡単に解説します。

●客を選ぶ自由と、その限界

店には、法令に特別の定めがある場合を除いて、契約をするかどうかを自由に決める自由があります(民法521条1項)。

また、所有や占有にもとづいて、施設に誰を入れるかを決める権限(施設管理権)もあります。

ただし、店が常に自由に利用拒否できるというわけではなく、差別的な利用拒否が違法とされることもあります。

●利用拒否が違法とされた具体例

たとえば、北海道小樽市の入浴施設で、外国人客の入浴マナーをめぐるトラブルをきっかけに、外国人に見える人の入浴を一律に断ったことが問題になったケース(札幌地裁平成14年(2002年)11月11日判決)があります。

この施設を経営する会社は、外国人の一部が入浴マナーを守らず、ほかの客から苦情が出たことを受けて、外国人の入場を断る張り紙を出していました。

小樽市は、入浴マナーをロシア語で説明するチラシを作って船員らに配り、浴場でトラブルがあれば市の職員が駆けつける態勢も用意したうえで、浴場側に外国人の受け入れを求めました。

その後、男性3人が、外国人に見えるという理由で入浴を断られ、会社と小樽市を訴えました。

裁判所は、公衆浴場でも、ほかの客に迷惑をかける人の利用を断ったり、退場を求めたりすることは許されるとしつつ、外国人全員を一律に断るのは明らかに合理性を欠くとして、会社に対して慰謝料の支払いを命じています(小樽市への請求は退けています)。

●今回の中学生の一律禁止はどうか

もっとも、小樽の判決は、公共性の高い公衆浴場で、「外国人」という属性による区別が問われた事案で、そのまま今回に当てはまるわけではありません。

ただ、まずは迷惑行為をした人に個別に対処すべきだ、という考え方は、今回の店側の措置について考えるうえでも参考になります。

今回の店は、迷惑行為が目立ち始めた2025年夏から、警察に店内の巡回を頼んできたそうです。

それでも収まらなかったため、7月20日には店長名で、座り込みや大音量での撮影などを見つけた場合は「即時退店および警察への通報対象」とする警告の貼り紙を出したとのことです。

しかし、多いときは数十人が入れ替わりで集まる状況で、生協は、迷惑行為をしている生徒やその学校の「特定が困難」になったとして、8月から一律の制限に踏み切ったそうです。

ただ、店が迷惑行為をした生徒に実際に退店を求めたり、警察に通報したりしたのかは、報道からは分かりません。

制限の中身を見ると、中学生の入店を全面的に禁じたわけではありません。具体的には、保護者などが同伴すれば入店でき、期間も来年3月末まで(予定)と区切られています。

私見ですが、今回の措置の評価は、店が迷惑行為をした生徒に実際に退店を求めていたかどうかで分かれると考えます。

警告の貼り紙どおりに退店を求めても、入れ替わる数十人を相手に追いつかなかったのであれば、一律の制限に踏み切る必要はあったといえるでしょう。

このような事情があるのであれば、保護者同伴なら入れる形にとどめ、期限も区切っていることもあわせて、違法とはいえないように思います。

逆に、形だけの注意で済ませ、本来であれば個別に対処できたのに一律の制限をした、ということであれば、違法とされるおそれがあるでしょう。

小倉匡洋(弁護士ドットコムニュース編集部記者・弁護士