「お父さん食堂」でNPO法人ここちちのメンバーが作った料理を弁当箱に詰める親子=2026年6月、札幌市

 父親同士がつながるきっかけをつくろうと、札幌市で「お父さん食堂」が開かれている。運営するのは有志の父親でつくるNPO法人ここちち。男性が子育ての悩みを共有できる機会はまだまだ少ないといい、代表の岩渕聖矢さん(34)は「子どもとの時間を楽しみながら、気軽に話せる場所にしたい」と語る。(共同通信=篠崎真希)

 6月下旬、地域の集会室の机に唐揚げや卵焼きなどおかずがずらりと並んだ。4組の家族が参加し、持参した弁当箱に詰めていく。「いただきます」。父親(33)は女の子(2)と顔を見合わせ笑う。食後はカードゲームで盛り上がるグループもいれば、父親に肩車してもらって遊ぶ子もいた。

 この日、食堂を準備したのはここちちのメンバー8人。理学療法士や運送業など職業はさまざまだが、子育てを楽しみたいと集まったお父さんだ。食堂は2024年から2カ月に1度開催する。

 活動のきっかけは岩渕さんの元勤務先で、男性職員が育児に悩んで休職したこと。力になれなかったと後悔し、父親同士で子育てについて話せる場をつくりたいと2021年にサークルを立ち上げた。3人の子を持つ岩渕さんは「子育ては大変だけど、楽しいと思えたのは助けてくれる人がいたから」と笑顔を見せる。

 食堂の利用者だった会社員佐藤圭一さん(40)は「パパ友」を作ろうと運営側の一員になった。保育園で顔を合わせる保護者は仕事や家事に追われあいさつするのがやっとで、ママ友の輪にも入りづらかった。「心配なことがあっても他のお父さんと過ごすうちに、深く考えなくて良いのだと思えた」と振り返る。

 団体は食堂の他にも農業体験や、キャンプなど親子で参加できる交流の場を設ける。岩渕さんは「根っこにあるのはお父さんが子育てを楽しむこと。親子で過ごす時間を豊かにしたい」と力を込めた。

有志の父親でつくるNPO法人ここちちが運営する「お父さん食堂」=2026年6月、札幌市(名札にモザイク加工しています)

「お父さん食堂」を運営する岩渕聖矢さん(前列右から2人目)らNPO法人ここちちのメンバー=2026年6月、札幌市