地元の伝統産業を守る 長野市の小学生が奮闘 児童たちが蚕を飼育 シルクを活用した灯ろうを作る 灯ろうには地区にやってくるアサギマダラなどをデザイン【長野】
かつて養蚕で栄えた長野市の七二会地区。消えゆく地元の伝統産業を守ろうと小学生たちが奮闘しています。
児童たちは、蚕の飼育からシルクを活用した灯ろうづくりまで活動の幅を広げています。
6月。
「いやー!」
「かわいい」
蚕と初めて対面した長野市立七二会小学校の3年生。
この日、学校にやってきたのは、ふ化したばかりの1センチほどの蚕です。
七二会小学校では総合的な学習の一環で、3年生以上が蚕の世話をして、繭になるまで育てています。
「小さくてかわいい」
3年生
「いっぱいいて、びっくりした」
蚕学習は、今年で9年目。
餌の与え方などを6年生と5年生が下級生に教えながら、みんなで育てています。
七二会小学校では、児童たちが「七二会シルクコーポレーション」という会社のような組織を作って、養蚕を広め、シルク灯ろうを販売するという取り組みを行っています。
社長は、6年生の太田吏砂さんです。
七二会小学校6年生 太田吏砂さん
「大きくなるにつれて、蚕の小さき命の尊さが分かってきて、大切に育てたいなって思う気持ちが今では強くなりました」
今年は、3年生から6年生までの児童18人が、1500頭の蚕を丹精込めて育ててきました。
今年は、20日ほどで糸を吐き始め、約1か月で立派な繭になりました。
かつて、養蚕業が盛んだった長野県。
最盛期の大正時代には、県内に16万軒以上の農家があり、昭和40年まで全国トップでした。
上質な着物を仕立てるのに欠かせない信州の主要産業として、人々の暮らしを支えてきましたが、安くて大量生産が可能な化学繊維が、世界的に普及するなど次第に養蚕農家が減り、今、県内に残るは、わずか5軒です。
ここ、長野市七二会地区もかつては、養蚕の産地でした。
七二会小学校の校章は、蚕の餌となる桑の葉がモチーフ。
養蚕業で栄えた地域の歴史を今に伝えています。
夏休みが始まった7月下旬。
「あっつ」
この日、七二会小学校では、ほかの地域の小学生と一緒にシルク灯ろう作りを行いました。
普段からシルク灯ろうを制作している七二会小学校の児童たちが先生となり、参加した長野市内の小学1年生から6年生の6人とその保護者に教えました。
まずは、繭をお湯に入れて、柔らかくしてから、糸を取って紡いでいきます。
「引き上げてもらって上手上手」
「できた」
糸の準備ができたら、勢いよく回る灯ろうの台座に巻き付けていきます。
透き通って、輝くシルク。
1つの繭からは、距離にして約1.2キロの糸が取れるといいます。
今回作った灯ろうは、8個の繭を紡いで作ります。
この取り組みはシルク灯ろうを通じて、養蚕の歴史を知ってもらおうと始まり、今年で4年目です。
七二会小学校 西澤浩先生
「この地区はもともと大養蚕地帯だったんですよ。それを復活させたいと思ったわけもありますし、シルク・養蚕ってこういうことをやって、こういうものができるっていうことを広く知ってもらいたいってこと」
枠組みにシルクを一通り巻いたら…
「だから、こっちの方がいい」
七二会小学校周辺で採取した花や葉っぱを、乾燥させたものやレーザー加工機で作った切り絵を入れていきます。
七二会にやってくるチョウ、アサギマダラも。
この上からさらに、シルクの糸を巻いていきます。
最後にライトを入れたら完成。
2時間ほどで出来上がりました。
小学6年生
「おーぴったり!めっちゃいいやん」
こちらの小学6年生は去年に続き、2回目の参加だといいます。
お気に入りのポイントは、フクジュソウの上にアサギマダラをあしらったところです。
(どうしてこのフクジュソウの上にチョウを入れたんですか?)
小学6年生
「七二会っぽいから。おじいちゃんが七二会に住んでいるから、よく来る」
初めて参加した小学1年生は…
小学1年生
「巻いたのが楽しかった」
参加した児童たちは、夏休みのいい思い出になったようです。
七二会小学校6年生 小山朔さん
「地域以外の方に灯ろうを知ってもらえてよかったし、僕は去年も作っていて、去年よりもっとうまく伝えられたのでよかったなと思っています」
七二会小学校6年生 太田吏砂さん
「ほかの地域の人に来てもらって、シルク灯ろうのことをもっと知ってもらえてうれしかったし、シルクのぬくもりとか蚕の命の尊さとか一緒に学んでもらえたかなって」
消えゆく養蚕業をつないでいくために…
地域の先人たちが大切に守ってきた伝統文化は今を生きる子どもたちが未来へと、紡いでいます。
