店頭に並ぶ25年産のこしひかり(右)と26年産の葉月みのり(9日、東京都板橋区で)

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 店頭に並び始めた2026年産の新米が25年産の古米より安い価格で販売される異例の「逆転現象」が起きている。

 卸業者が昨年仕入れたコメをスーパーなどに高値で卸す一方、豊作が見込まれる26年産の米価格が下がっているためだ。

 東京都板橋区の東武ストア前野町店の店頭では9日、5キロ・グラムで税込み2786円の新米「葉月みのり」の隣に、25年産の「こしひかり」が3866円で並んでいた。店を訪れた東京都板橋区の40歳代女性パート従業員は「コメは必需品。昨年に比べ新米が安くなっているので手が出しやすく助かる」と笑みを浮かべた。

 品種によっても異なるが、例年は新米が出ると人気のコシヒカリなどでも古米価格は下がるのが一般的だ。ただ、今年は各地のスーパーで、古米の方が高く販売される例が相次ぐ。同店の大谷明宏店長(52)は「新米が古米より安いのは異常事態だ」と話す。

 背景には、価格が高騰した「令和のコメ騒動」から一転、今年の新米価格が下がっていることがある。各地のJAでは、集荷の際に生産者に支払う概算金が前年より大幅に下落した。例えば、JA全農にいがた(新潟市)は26年産の一般コシヒカリ(60キロあたり)の概算金を1万8500円と、前年当初の3万円から大幅に引き下げた。

 一方、流通現場には、昨年高く仕入れた古米が積み上がり、安値で卸すわけにはいかないとの事情がある。農林水産省によると、今年6月末の民間在庫は243万トンと適正水準の180万~200万トンを大きく上回った。大手卸の担当者は「足元では在庫が積み上がっている。赤字覚悟で値下げしなければいけないが、限度がある」と嘆く。

 コメ余りとも言える状況に、政府は昨年放出した備蓄米の一部を月内に買い戻すことを決めている。さらに26年産の買い入れも決まっており、今後入庫する。備蓄米の追加の買い戻しも検討しており、今後は米価の引き締めにつながる可能性がある。

 日本総合研究所の三輪泰史チーフスペシャリストは「各地で、新米と古米の逆転現象が起きている。流通業者は高値で昨年産米を仕入れており、値段を一気に下げることが難しい状況だ」と分析している。